16話 シラミツと逃走
「なんだろうこの香り。」
森の方から甘ったるい香りを感じた。
気になってそちら側へ進んでみる。
そこにあったのは猪の魔物の死体にツタが絡みつきそれに白い花が咲き誇っていた。
どうやら香りの元はこの花から垂れている蜜が原因なのだろう。
「この花は...そうだシラミツ。」
植物図鑑にあった魔草だ。
見つけ次第ギルドに報告と見つけた花は焼却が必要な魔草だったはず。
「とりあえずここにある分は焼かないと。」
魔物の死体を丸ごと火魔法の『火球』で焼く。
死体を焼いているとその時、体からツタの伸びた猪型の魔物が出てくる。
先ほどのウルフ同様に焦点の合わない目でこちらを見ている。
「さっきのウルフも、この魔物もシラミツが体に寄生していたのかな?」
おそらく寄生した魔物を狂暴化させているのだろうか、こちらの猪も突進の後、木にぶつかることも気にせずひたすら私に牙を突き立てんと突進を繰り替えす。
ならばと思い、『影槍』を使い串刺しにする。
範囲を広めに魔法を使って逃げ道の無いように囲んで串刺しにする。
猪の毛皮を簡単に貫いて何本もの影からできた槍が突き刺さり絶命する。
その死体も『影槍』を通じて『火球』を発動して内側から丸焼きにする。
とはいえ『火球』を発動したのは直感的にできそうと感じただけだったので驚いたが。
「もしかして森の奥でシラミツが寄生した動物が巣食っているのか…」
そう考えてつぶやいている途中に森の複数方向からこちらに向かってくる音が聞こえてくる。
「焼けた臭いでこっちを見つけたのか、それとも」
そういうことを考え、少しの思考の後とりあえず逃げることを最優先にすることにした。
逃げるにしてもどこに逃げるかという問題はあるが、それについては後回しだ。
とりあえずシラミツに寄生された魔物はこちらの大体の方角がわかっても、多分それは戦闘の音や火をたいた時の臭いに反応していると思われる。
なんでわかったかというと現在木の上でマントを目深にかぶっての木の上から見下ろしてるからだ。
とりあえず付近にある木の一番上まで登ってみた時にわかったことだが、今いる位置は太陽の登る側で、
日が沈む側に街があったはずなので、そちら側に結構進んできたけれどまだ、森が明ける気配がないので、現在も魔物が闊歩している中で木の上を飛び移って移動しているところである。
葉が茂っているところを突っ切っているので結構痒いのは今は無視だ無視。
というより結構進んだとは言ったが定期的に方向確認していると途中で曲がっていることがあったので、結構蛇行してたのかもしれない。
「とりあえず日が上がれば、魔物落ち着くのかな?」
下の方を見ると魔物同士で殺しあっているようでこっちはあまり気にしてる様子はない。
ちなみに途中からツタの生えたシラミツに寄生された魔物は減ってきていたので森の浅部に戻ってこれていると思われる。
シラミツに寄生された魔物はとりあえず共食いしていなかったので森の浅部の方が騒がしい。
そちら側に向かう途中、リスの魔獣などがいたけれどこちらを認識したとたんに踵を返していた。
なんだかんだで日が上がりちょうどおなかがすいたので、パンを一個口に含んで、その後も進むと、街道に出た。
踏み固められた道が街道で遠くに見える高い壁が街だろう。
森の中ほど気をつける必要もないし、そのあとはしばらく歩けば、門番の人にブラインドストレージに入れてあったギルド証で街に戻ってくることができた。
ちなみに街を出た時の門とは逆側だったので、途中で迷っているときに街側に偶然近づいていてのだろう。
…というより間違ってなかったら森の奥に進んでいたかもしれないようだ。
とりあえず無事に帰ってこれたので、今度から気を付けよう。
「そんなことより、」
ギルドにシラミツのことを報告する必要があった。
急いでギルドに行ってマオさんにシラミツのことを相談する。
「...それでどこなのそのシラミツが寄生した魔物がいたところは。」
私の話を聞いたマオさんは川に流されたということに呆れながら、シラミツのことを聞いてくる。
「多分川を下って行った先で見ました。」
「今年もこの季節か~」
森の地図を見て考えながら、何かを言っている。
「今年もっていうことは毎年出るんですか?」
「そうなんだよ、大体夏の終わり際に出るんだよね。」
シラミツの危険な点は魔物に寄生する点もそうだが、麻薬の材料にもなり栽培も容易であり、蜜には幻覚作用と多幸感があり、なおかつ森に自生していることから、見つけ次第の駆除対象になっているそうだ。
「もちろん薬にもなるんだけど、そういう時は国が栽培したものを使うからね。」
そういいながら、どうするかの計画を立てている。
「私も何か協力できますか?」
「ルナちゃんには後衛部隊とまとまって、焼き払いに協力してほしいかな。」
この町は冒険者がいるほうではあるが、魔法を使える人は少なく焼き払うのに少しで人手が欲しいらしい。
「明日また来てね、それまでに食料とかの森で遠征するための用意しといて。」
そう言ってギルドのカウンターのバックに行ってしまった。
とりあえず食べ物はパンと干し肉、後はおすすめされたので林檎も買っておいた。
とりあえず宿に戻って、置いていた荷物をまとめておく。
…と言ってもほとんどブラインドストレージに入れてあるのでほんと少しなのだが。
それで、今日は昨日寝てなかった分も兼ねてぐっすりと寝た。




