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心理学は正しいのか?  作者: シンリーベクトル


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9/22

HSS型HSPについて考えてみる

HSS型HSPとは何か


──刺激を求めて、刺激に消耗する人たち


一般的に言われているHSS型HSP


HSS型HSPとは、

**HSP(Highly Sensitive Person)**の特性に、

**HSS(High Sensation Seeking:刺激追求傾向)**が重なった状態を指す言葉だ。

医学的な診断名ではないが、日本では自己理解の文脈でよく使われている。


一般的には、次のような特徴が語られる。

• 新しいことに興味を持ちやすい

• 行動の初速が速く、挑戦も嫌いではない

• 人付き合いもできる

• ただし、途中で急激に疲れる

• 一人の時間がないと回復しない


周囲からは、

• 元気そうなのに突然消耗する

• 社交的なのに引きこもる

• 行動派なのに繊細


と見られやすい。



一般的な説明の、少し足りないところ


HSS型HSPはよく、

• 繊細さと刺激欲求の両立

• 気質の矛盾

• バランスが難しい性格


として説明される。


だが、この説明だと一つ疑問が残る。


なぜ行動する前ではなく、

行動してから強く消耗するのか。


刺激に弱いだけなら、

そもそも最初から避けるはずだ。


ここで、

「刺激」ではなく別の軸で見る必要が出てくる。



サイサイセオリー的解釈


──HSS型HSPは「刺激過敏」ではなく「予測過剰」かもしれない


焦点を刺激から予測へずらす


サイサイセオリー的に見ると、

HSS型HSPのしんどさは、

• 刺激が強すぎる

ではなく

• 刺激の先を予測しすぎる


ところにある可能性が高い。


ここでいう「予測」とは、

• 先の展開を想像する

• 相手の反応を読む

• 失敗した場合をシミュレーションする


といった、

起きていない未来を先回りで処理することを指す。



予測の上に、さらに予測を立てる構造


HSS型HSPの人は、行動前後で

次のような多層処理に入りやすい。

1. 何が起きそうか(一次予測)

2. それが外れたらどうなるか(二次予測)

3. そのとき自分はどう評価されるか(三次予測)

4. その評価が関係性や将来にどう影響するか(四次予測)


ここが重要だが、

一次予測だけで行動は起動する。


だから、

• 興味を持つ

• とりあえず手を出す

• 話しかける・参加する


までは速い。


しかし、動き出した直後から

二次・三次・四次予測が同時に走り、

内部負荷が一気に上がる。


結果として、

• まだ何も起きていないのに疲れる

• 進んでいるのに消耗する


という状態になる。



なぜHSS型で目立つのか


この構造自体は、

HSP全体にある程度見られる。


だがHSS型の場合、

• 行動起動が速い

• 新規性に反応しやすい


ため、

予測が立ち上がる場面がそもそも多い。


結果として、

予測過剰による消耗が

日常的に表に出やすくなる。



行動対策①:予測は一段で止める


対策は「考えないこと」ではない。


むしろ、


予測の深さに上限を設ける。


たとえば、

• 「とりあえず30分だけやってみる」

• 「評価は今日は考えない」

• 「失敗したら元に戻る前提で進む」


と、

一次予測だけで行動を許可する。



行動対策②:判断は行動後にまとめてやる


HSS型HSPは、

• 行動前に考えすぎ

• 行動中に消耗し

• 行動後に振り返る余力がなくなる


ことが多い。


順序を逆にする。

• 行動前:最低限

• 行動後:まとめて評価


「考える時間を後ろにずらす」だけで、

消耗はかなり減る。



行動対策③:回復を工程として組み込む


この構造を持つ人にとって、

回復時間は気分の問題ではない。

• 予定の後に何も入れない

• 人に会った日は一人の時間を確保する


これは逃げではなく、

処理能力を維持するための必須工程だ。



まとめ


HSS型HSPは、

• 矛盾した性格

• 気難しい気質


ではない。


予測を多層に生成しやすい認知構造を持つ人だ。


重要なのは、

• 自分が弱いかどうか

ではなく

• どこで予測を止めるか

• どう負荷を設計するか


という点に目を向けること。


構造が分かれば、

自己否定よりも、

扱い方の調整に意識が向く。


それが、

HSS型HSPが楽になる一番現実的な道だ。


予測過剰は「才能」ではなく「適応」かもしれない


人が予測を増やすのは、

失敗や不利益を避けながら生きるためだ。


とくに次のような環境では、

予測を重ねることが合理的になりやすい。

• 正解が頻繁に変わる

• 判断基準が人によって違う

• 後出しで評価される

• 一貫性のない叱責や期待がある


この環境では、


一段の予測では足りない

先を読まないと損をする


という学習が起きやすい。



「予測を重ねた人」だけが損をしにくかった環境


たとえば、こんな経験はないだろうか。

• 空気を読んだ人だけが責められなかった

• 先回りして動いた人だけが評価された

• 深く考えずに動いた人が割を食った


この環境では、

• 反応が速いだけでは足りず

• 反応の“その先”まで想像できる人が残る


結果として、


予測を重ねる → 不利な立場を避けられる


という成功体験が蓄積される。



なぜHSS要素と結びつくのか


ここが重要なポイントだ。


予測過剰だけなら、

人は基本的に慎重になる。


ではなぜ、

• 行動が速く

• 新しい刺激にも手を出す


HSS要素と結びつくのか。


理由はシンプルだ。


「考えた上で動けば、大きな失敗を避けられた」

という学習があるからだ。

• 考えた

• 読んだ

• 想定した


その上で動けば、

致命的なミスは回避できた。


すると、


予測+行動=問題が起きにくい


という回路が形成される。



しかし環境が変わると、構造だけが残る


問題は、環境が変わったあとだ。

• 子ども時代

• 厳しい職場

• 不安定な家庭関係


では機能していた予測過剰が、

より自由で不確実性の高い環境に移ると、

• 予測を回しすぎる

• 判断は速いのに消耗する

• 行動後の反動が大きくなる


つまり、


適応として身につけた構造が、

いまの環境では負荷になっている。



発生原因を性格に固定しないという意味


HSS型HSPを

「こういう人だから」と固定してしまうと、

• 自己否定

• 無理な我慢

• 環境調整の放棄


につながりやすい。


だが、発生原因を


予測を重ねないと不利だった環境への適応


と捉えると、見え方が変わる。

• 壊れているわけではない

• 状況に対して装備が重いだけ

• 調整の余地がある


という理解になる。



結論(暫定)


HSS型HSPの少なくとも一部は、

• 先天的な気質

だけでなく

• 評価や正解が揺れ続ける環境への適応


として形成された可能性が高い。


刺激に弱いわけでも、

繊細すぎるわけでもない。


考え続けないと、立場を保てなかっただけだ。


だから必要なのは、

自分を責めることではなく、


いまの環境に合った

予測の深さへ調整すること。


この視点を持てるかどうかが、

HSS型HSPを「しんどさ」から

「扱える構造」へ変える分かれ目になる。

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