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シャルロッテは華麗に笑う ~新興貴族令嬢と護衛騎士の冒険~  作者: 朧 李奏
4章 ワイバーン討伐編
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42.原因と再発防止策

 帝都に戻ってとりあえず戦利品のワイバーンの首と尻尾をシャルロッテの邸宅の庭園に運んでもらった。

 シャルロッテの魔法で凍結したままの状態だ。

「会長、これどうすんですか?」

「剥製にする予定よ。牙とかバラバラで売ってもいい値になるんだけど。剥製にしたら欲しがりそうな方もいるしね」

 なるほど・・・魔獣の剥製をこよなく愛するライフェンバッハ公爵に売る気だな。



 翌日、シャルロッテは冒険者ギルドにワイバーン討伐の報告に行った。

 受付でギルドマスターに取り次いでもらうと、すぐに奥の執務室へ通された。


「おう、さすがだな。こんなに早く討伐しちまうなんて」

 ギルドマスターがシャルロッテを称賛する。

「マスター褒めても貸しは貸しですよ」

「わかってるよ。それとシャルロッテ嬢はランク、まだ上がらないが、ユーリヒ卿は一階級飛ばしで《ゴルト》へ昇格だ。少人数であんな大物討伐しちまったんだから当然だな」


 会長からランク昇格を告げられたが正直戸惑った・・・別に私が討伐したわけではないし、そもそも冒険者として身を立てるつもりもないしな。

「レオンくんなら当然ね。なんてったって手合わせでわたしに勝ち越してる唯一の相手なんだから」


「おっ!シャルロッテ嬢が素直に人を褒めるなんて珍しいな」

「そんなことより、マスター例の件調べてくれました?」

「ワイバーンが大陸公路に出没するようになった理由だな。ギルドが調査を行ったところどうやら、どうやら、グリムヴァルト山脈での帝国の鉱山開発が原因だったようで」

「鉱山開発によって、ワイバーンの巣の近くで狩りができなくなったっていうことですか?」

「ワイバーンの獲物である大型動物が、鉱山開発によって生息地を追われたようだな。そのため、ワイバーンは新しい狩場を求めて、大陸公路に出没するようになったとのことだ」

「なるほど・・・人間の活動が、魔獣の生態に影響を与えていたのね」

「ああ、鉱山の開発で大陸公路が使えなくなったんじゃもともこもないよな。ギルドから帝国へ一応提言してはみるが、どれほど効果があるか・・・まあなにはともあれ討伐は成功だ。シャルロッテ譲、報酬は後日館へ届けさせるよ」

「分かりました。マスター情報ありがとうございます」

 ギルドマスターに謝意を告げギルドを後にした。



「さて、ワイバーンの首の件で、ライフェンバッハ公爵にお会いしにいかないと」

「アポイントを取らないでいいんですか?相手は公爵閣下ですよ」

「大丈夫よ。さっき連絡したら、いつでも来てくれですって」

 公爵閣下は相変わらずのようだ・・・


 そのまま公爵の屋敷を訪ねて、門番に用件を伝えると、すぐに中へ通された。

 応接室に案内され、しばらく待つと、ライフェンバッハ公爵が現れた。

「おお、ヴェルザー伯爵令嬢! よく来てくれた!」

 公爵が満面の笑みで迎える。

「お久しぶりです、公爵」

「それで、先ほど言ってた私におすすめのものとは何だね?」

 公爵が尋ねる・・・その目は、期待に輝いている。


「先日、ワイバーンを討伐いたしまして。ほぼ無傷の首を手に入れましたの。もしよろしければ剥製にして公爵閣下にお譲りいたしたいと思いまして」

 シャルロッテが上品に微笑みながら言った。

「なんと!!とうとう竜種の剥製が私のものになるのか!!」

「では剥製に仕上げて公爵閣下へお譲りいたしますわ」

「価格はいい値で払うから言ってくれたまえ!」

「通常なら、首だけの剥製とはいえ竜種の剥製ですから金貨50,000枚ほどで取引されるでしょう」

「金貨50,000枚か。安いものだ、構わんよ」

 公爵はあっさり言ったが、とんでもない金額ですよ?


「公爵閣下には、いつもお世話になっておりますし・・・今回は無料でお譲りいたします」

「ほう・・・、なにか私に頼みたいことでもあるのかね?」

「さすが閣下、お話が早い。実は今回討伐したワイバーンなんですが、閣下もお聞き及びとは存じますが、大陸公路に出没したんです」

「聞いておる。そのせいで暫く大陸公路が停滞していたらしいね。帝国としては大変な損害だ。君の実家もそうだろう?」


「ええ、そうですの。わたしの得た情報によりますと、ワイバーンが大陸公路に出没した原因はどうやら、帝国が新たに開発をすすめている鉱山にあるようなんです」

「ほう、あのリヒテンシュタイン侯爵が主導しているグリムヴァルト山脈の鉱山かね?」

「ええ、鉱山の新規開発ももちろん重要でしょうが、大陸公路の運営に影響が出るようでは元も子もありませんわ。そこで、閣下から元老院へ鉱山開発の際の調査を入念にするようにご提案いただけませんでしょうか?」

 公爵が考え込む。


「ちなみにグリムヴァルト山脈の鉱山はどうしたらいいかね?」

「おそらく、ワイバーンを討伐したので大丈夫かとは思いますが、もう一度調査をしてから進めた方がよろしいかと・・・」

「ふむ・・・中止する必要はないとなれば、リヒテンシュタイン侯爵も文句は言うだろうが大丈夫だろう。逆に大陸公路に影響が出た旨をチラつかせれば貸しをつくれそうだな」

 公爵が頷く。


「そのあたりは閣下にお任せいたしますわ。わたしの望みは今後同様なことが起こらないことだけですので・・・」

「わかった。その件は私に任せなさい。本当に代金はいらないのかね?」

「ええ、今後の大陸公路の安全を買えると思えば安いものです。閣下、今後ともよろしくお願いいたします」

 シャルロッテが笑顔答えた。

「また、いつでも来なさい。ヴェルザー伯爵令嬢ならアポイントもいらんよ」

 ライフェンバッハ公爵は、シャルロッテを気に入ったようだ。



 商会に戻ると、シャルロッテはオットーにワイバーンの剥製製作の指示を出した。

 オットーはすぐに手配するため部屋を出ていった。

「会長、公爵閣下へのお願い見事です。公爵閣下なら今後不用意な鉱山開発を上手くなくして下さるでしょう」

「あら、レオンくんが素直にわたしを褒めてくれるなんて珍しいわね。・・・まあ、なんだかんだ言っても商会をやってる以上大陸公路の運営に問題が生じると損失がでるのよね。実家のシルバーヴェーク護衛隊も一旦は護衛の依頼が増えたみたいだけど、すぐに大陸公路の通行量が減ったから大きな視点で見るとマイナスだしね。ライフェンバッハ公爵の信頼も得られたし今後を考えると金貨50,000枚くらい先行投資としては安いものよ」


「討伐も会長以外ではなしえないスピードで行えましたので、被害も最小限でした。お見事です」

「レオンくんにそんなに褒められると、なんだか気持ち悪いわね。・・・まあ、素直に受けっておくわ。それはそうと、この後、うちで討伐成功の祝杯を挙げるわよ。エリカやオットー達も呼ぶから、キミもくるのよ」


 決まりが悪いのかソッポを向いてシャルロッテが言った。

 その様子がおかしかったので、私は笑いながら

「仰せのままに」

 とわざと大仰な言い回しで答えた。


拙い文章、読んでいただきありがとうございます。


多少なりとも楽しんでいただけたのなら幸いです。

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