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シャルロッテは華麗に笑う ~新興貴族令嬢と護衛騎士の冒険~  作者: 朧 李奏
4章 ワイバーン討伐編
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39.作戦開始

 翌朝、私たちは再び大陸公路のワイバーン出没地点へと向かった。

 馬を走らせること一時間、昨日と同じ場所に到着した。


 周囲を見回すと、昨日の惨状がそのまま残っている。

 焼け焦げた馬車の残骸、血痕が残る地面・・・昨日の惨劇の痕だ。

 そして、少し離れた場所には、ベアトリクスとアルブレヒトが待っていた。

 その周囲には――

 牛が、30頭ほどいる。


「用意したわよ」

 ベアトリクスが憮然とした顔で近づいてくる。

「あら、牧童に転職したのかと思ったわ。似合ってるわよ」

 自分で手配させておいてシャルロッテがベアトリクスに憎まれ口をたたく。

「ワイバーンをおびき出すための餌よ。主に牛だけど、全部で30頭ほどいるわ」

 ベアトリクスは相手にしない・・・大人の対応だ。



「じゃあ、作戦を確認するわよ。まず、レオンくん、エリカ、アルの三人で、この牛たちを大陸公路に連れて行って、ワイバーンをおびき出すのよ」

 シャルロッテが作戦の最終確認を始める。

「ワイバーンが現れたら、、わたしとベアトリクスが風魔法で翼を攻撃して墜とす」

「了解です」

 私とエリカが答える。

「......はい」

 アルブレヒトも答えるが、その声は、少し震えている。


「わたしとベアトリクスは、魔法攻撃のため左右の見晴らしのいい場所に展開して待機するわ」

 ベアトリクスがやや緊張した面持ちで頷く。

「ワインバーンを地上に墜としたら、レオンくんとアルで距離を詰めて近接戦闘、わたし達が行くまでしのいでね。わたし達が合流次第、総力で討伐するわよ。エリカは距離を取って待機、負傷者が出次第、回復をお願いね」

 シャルロッテが全員を見ながら確認を締めた。

「では、作戦開始よ!」



 私たち三人は、牛たちを連れて大陸公路を帝都方向に進む。

 30頭の牛、かなりの数だ。

 私達は慣れない牧童仕事に苦戦しながら、牛を先導した。

 牛たちは、のんびりと草を食べながら着いてくる・・・自分たちが囮になってるとは知らないのでのんきなものだ。

 シャルロットとベアトリクスは、それぞれ左右の岩場へと登り、襲撃予想地域を見渡せる位置に立ち待機する。


「レオンハルト先輩・・・本当に、ワイバーンが来るのでしょうか......」

 アルの声は、震えている。

「来るさ。ワイバーンの襲撃頻度は日増しに増えている。それにヴェルザー伯爵令嬢は運がいいからな」

 私は答える。

「運がいい・・・ですか?」

「ああ、幸運か悪運かはとらえ方次第だが・・・彼女はトラブルが好きだし、トラブルから好かれているからな。ワイバーン襲撃なんて大きなトラブル彼女が望めばやってこないわけないさ」

 アルブレヒトが青白い顔で頷いた。

 私は、太刀に手をかける。

 ワイバーンが、必ず来る・・・シャルロッテの望み通り。



 それから、約一時間が経過した。

 太陽が、少しずつ上り、昼の時間帯に差し掛かろうとした時、遠くから、大きな物体が風を切る音が聞こえてきた。

 ゴォォォォー・・・

「来た!」

 ワイバーンだ・・・その威容は、昨日見た時と変わらず圧倒的だった。

 そして、牛たちに向かって巨大な影が降下してくる・・・あれなら急旋回で避けれない。



 予定通りベアトリクスが先に《テンペスト》の詠唱に入ったようだ。

 シャルロッテが間をおいて《ゼピュロス》の詠唱に入る。


 ワイバーンの右翼を中心に局所的な竜巻が起こった・・・シャルロッテの《ゼピュロス》が先に発動したようだ。


 その威力は絶大だ・・・ただの竜巻ではない。巻き込んだもの全てを切り裂く無形の刃だ。

 右翼を切り裂いて右腕も粉々にする勢いだ。

 ワイバーンの血を巻き上げて《ゼピュロス》は赤い竜巻に変容して、消えた。


 右翼は見る影もなくズタズタにされたワイバーンが、バランスを崩し地上へと落ち始めたその時、ベアトリクスの《テンペスト》が左翼をとらえた。

 《テンペスト》はワイバーンの左翼を球形に暴風で包み込む魔法のようで、包み込んだ左翼を暴風力で捻じりつぶした。

 《テンペスト》の威力もワイバーンの左翼を破壊するには十分だった。

 両翼を破壊されたワイバーンはそのまま地面に叩きつけられた。

 まずは、作戦第一段階成功・・・私は墜ちたワイバーンに向かって走り出した。


拙い文章、読んでいただきありがとうございます。


多少なりとも楽しんでいただけたのなら幸いです。

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