34. 大陸公路東進
シャルロッテとワイバーン討伐の作戦について話をした後、私は帝都図書館に行き、ワイバーンに関する資料を探した。
古い冒険者の手記、魔獣図鑑、討伐記録など様々な資料を読み、ワイバーンについての知識を深める。
ワイバーンは、通常は山岳地帯に生息しており、高い山の洞窟に巣を作り、そこを拠点として狩りをする。
獲物は、主に大型の動物・・・鹿、猪、時には熊なども襲うが人間を襲うことは稀だ。
…そもそも人間がワイバーンの縄張内に入らない様に生活してきた経緯がある。
今回のように急にワイバーンが出没するのは稀な例の様だ。
また、ワイバーンは知能の高い魔獣だ。
だから、討伐は非常に難しく、過去の討伐記録を見ると、多くの人がワイバーン討伐で命を落としている。
生存率は、約5割・・・非常に危険だ。
私は、護衛騎士として半数の死者にシャルロッテがならないように、護衛しなければならない・・・
翌朝、私たちは商会の前に集合した。
会長、私、そしてエリカの3人で商会所有の馬車に乗り込む。
馬車は大陸公路を東に進んで行く。
1時間くらいが経過した所でシャルロッテが口を開いた。
「レオンくん、昨日ギルドマスターが言ってた第二騎士団の遊撃隊の件だけど・・・」
「ああ、言ってましたね。何か分かったんですか?」
「レオンくん、情報はタダでは聞けないものよ。教えてほしければ報酬を提示しなさい」
・・・また始まった。
「今回の作戦に関係するかもしれないじゃないですか。そういった事はチームで共有すべきです」
私は正論をもって堂々と反論した。
エリカが興味津々といった感じで私たちのやり取りを見ている。
「ちぇっ、ケチね。まあ今回は特別に教えてあげるわよ。どうやら、ベアトリクスの奴らしいのよ」
「会長がおっしゃってるのはベアトリクス・フォン・クラム伯爵令嬢ですか?」
ベアトリクス・フォン・クラム・・・帝国建国期から続くクラム伯爵家の令嬢だ。
確かシャルロッテと同年齢で、高位貴族の子弟が通う帝立学院の同級生だったはずだ。
シャルロッテが首席で、ベアトリクスが次席、それ以下ははるか下といった具合に2人は飛びぬけた存在だったと騎士団で噂を聞いた気がする。
「そうよ。アイツは嫌なやつでね、昔からわたしのすることに何でもかんでも口うるさく注意してくるのよ。学院で次席だったクセに、うるさいったらありゃしない」
「私も騎士団でお二人の噂を聞いたことがありますよ。けた外れの天才が2人いるって」
「あのね、レオンくん。わたしとアイツを一緒にしないでくれるかしら。私は今まで血のにじむような努力して何かを習得したことなんてないの、いつも余裕だったわ。アイツは見えない所で努力している嫌なやつなのよ」
「会長が天才なのは十分存じてますよ。努力で天才の会長の実力に肉薄するエーデルシュタイン令嬢は真面目で立派な方じゃないですか」
ベアトリクス・フォン・クラム、生真面目で、正義感が強くて、努力家とういイメージが私の中で固まっていった・・・つまりはシャルロッテと正反対のタイプのイメージだ。
「なによ、ずいぶんベアトリクスを褒めるじゃない。レオンくんはああいった女が好みなのかしら?」
「何言ってるんですか。努力されて立派だと言っただけです。そもそも好みも何も私はクラム伯爵令嬢にお会いしたこともありませんよ」
「まあ、いいわ。とにかくアイツが出しゃばってくる可能性が高いってことよ。気を付けるように」
その後最初の宿場町に着くまで馬車の中は沈黙が支配した。
拙い文章、読んでいただきありがとうございます。
多少なりとも楽しんでいただけたのなら幸いです。




