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シャルロッテは華麗に笑う ~新興貴族令嬢と護衛騎士の冒険~  作者: 朧 李奏
4章 ワイバーン討伐編
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33. 事前作戦草案

 冒険者ギルドを出た後、私たちはシルバーレーヴェ商会に戻った。

「さて、準備を始めましょう」

 その口調は、まるで「さあ、楽しいことが始まるわよ」と言っているようだ。


「まず、同行者の選定ね。ワイバーンの毒の尻尾と火炎のブレスを考えると、回復魔法と解毒魔法が使える人が必要だわ」

「商会のスタッフで、誰か適任者はいますか?」

「エリカがいいわね」


 エリカ・シュミット、商会の経理担当で、回復魔法と解毒魔法が使える優秀なスタッフだ。

 真面目で几帳面な性格で、数字に強い、魔法の腕も確かだと聞いている。

 さらに、彼女は斥候までできる変わり種だ。

 加えて、シャルロットのことを心から尊敬し、信頼している・・・物好きなことに。


「彼女なら、戦場でもパニックにならないでしょうし、回復魔法も解毒魔法も使えるわ。レオンくん呼んできてもらえるかしら?」

「では、呼んできます」

 私は執務室を出て、商会の事務所に向かった。

 商会の事務所は、執務室の隣にある広い部屋だ。

 書類整理をする者、帳簿をつける者、商品の在庫を確認する者、皆忙しそうに働いている。


「エリカさん、会長がお呼びです」

 私はエリカの机に近づき、声をかける。

「はい、すぐに参ります」

 エリカが笑顔で答える・・・シャルロッテに呼ばれるのがうれしいようだ。

 エリカを伴って執務室に戻った。


「会長、エリカさんをお連れしました」

「エリカ、あなたに頼みたいことがあるの」

「はい、何でしょうか、会長?」

「今度帝都冒険者ギルドマスターの依頼でワイバーン討伐をすることになったのよ。そこで、回復魔法がつかえて斥候までできるあなたに同行してもらいたいんだけど、どうかしら?」

「はい! 喜んでお供させていただきます!」

 エリカが即答する・・・その表情は、まるで光栄に思っているかのようだ。


「ありがとう、エリカ。ただし、危険な任務であることは承知しているわよね?」

「はい、もちろんです。でも、会長のお役に立てるのならうれしいです。それに、会長とご一緒なら大丈夫に決まってます」

「ありがとう、頼りにしているわ。急で悪いんだけど明日の午前中に出発になるんだけど商会の仕事は大丈夫かしら?おそらく討伐には最短でも10日前後はかかると思うの」

「はい、取り急ぎの業務はありませんし、通常業務は他の担当者とオットーさんで十分回せると思います」

「わかったわ。わたしからオットーには伝えておくから、今日はもう帰って出発の準備をしてちょうだい」

「はい、分かりました。ありがとうございます」

 エリカが執務室を後にする。


 エリカが去った後、シャルロッテは地図を机に上に広げた。

「さて、レオンくん、作戦を考えましょう」


 地図には、大陸公路、グリムヴァルト山脈、そして周辺の村や町など、帝国東部の地形が描かれている。

 大陸公路シルバーヴェークは、帝国の重要な交通路というだけでなく、帝国の富の中心でもある。

 大陸公路は毎日数えきれない商隊が交易品を運び行き来している。

 その商隊や旅人たちのために公路沿いには数多くの宿場町があり、宿泊施設も豊富にある。

 商人や旅人は、これらの宿場町で休憩し、宿泊しながら旅をするのだが、当然宿泊費・飲食代・更には遊興費をそれぞれの宿場町で落としていく。

 帝国はそれらの商人・宿場町などから税を取っており、その金額たるや天文学的数字になる。

 大陸公路の通行が滞るということは単純に物流が滞るだけではないのだ。


 シャルロッテの実家である、ヴェルザー伯爵家が運営しているシルバーヴェーク護衛隊も大陸公路を行き来する商隊の護衛が最も大きな収入源であり、今回の件は長引けば大きな影響がでるだろう。


「ワイバーンは、グリムヴァルト山脈から出没しているみたいね。おそらく、山脈に巣をあるんでしょうね」

「そこから、大陸公路に降りてきて、餌をさがしていると・・・」

「でも、なぜ急にワイバーンが大陸公路に出没するようになったのか、それが謎ね。通常、ワイバーンと人間の生活圏はかぶらないはずよ。人間はそういった場所を避けてきたわけだからね」

「......確かに、不自然ですね」

「まあ、今はワイバーンを討伐することが急務で、原因の考察は後回しにするしかないわね」

 確かに考察している時間はない。


「それで、作戦ですが、どうやって倒しますか?ワイバーンは強大な敵ですよ」

「とりあえず飛んでるワイバーン相手に勝ち目はないから、まずはワイバーンを地上に落とす。落としたのち近接戦闘で討ち取る。まあ地上に落としてしまえば、わたしとレオンくんなら勝てるでしょう」

 気楽に言ってくれる・・・地上に落とせたとしても、炎のブレスと毒の尻尾、竜種の強靭な体躯、相当厄介な敵であることに変わりはないと思うのだが。


「今回はわたしの魔法でワイバーンを地面に墜とすわ。風魔法でワイバーンの翼を切り刻むから」

 シャルロッテが自信満々に言う。

 ・・・確かに、その作戦なら成功する可能性が高くなる。


「私の風魔法の射程は、約50メートルよ。だから、ワイバーンが射程に入った瞬間に、攻撃して地上に落とす」

「あとは、2人で地上に落ちたワイバーンを討伐して終了よ」

「墜とした後はどう攻めます?火炎のブレスや、毒の尻尾と牙と爪どれをとっても厄介な相手ですよ」

「そうね・・・ブレスや毒の尻尾は間合いが遠い方が厄介かな。だから落とした後は間合いを詰めて戦いましょう。間合いを詰めてしまえば、地上でのスピードはわたし達の方がはるかに速いはずだからね」

「・・・確かにその方が戦いやすそうですね。あとは牙と爪をかいくぐって攻撃ですね」

「ええ、とりあえず討伐の流れはその方向にしましょう。エリカは基本的に距離を取ってバックアップに専念ね」

 大枠の作戦はとりあえず決まった・・・


拙い文章、読んでいただきありがとうございます。


多少なりとも楽しんでいただけたのなら幸いです。

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