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シャルロッテは華麗に笑う ~新興貴族令嬢と護衛騎士の冒険~  作者: 朧 李奏
4章 ワイバーン討伐編
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31. 冒険者ギルドからの依頼

 夏の暑気が去り、過ごしやすい季節がやってきた。

 平穏な日常・・・私は執務室で書類整理をしていた。

 護衛騎士としての報告書や、最近の警備状況についての記録だ。

 会長の護衛として、様々な場所に同行するため、その記録をまとめる必要がある。

 ......まあ、書類仕事は好きではないが、仕方がない。

 その時、執務室の扉がノックされる。

「失礼します」

 扉が開き、一人の男性が入ってきた。

 冒険者ギルドのバッジをつけているのでギルド職員の様だ。

「シャルロッテ・フォン・ヴェルザー様にお取次ぎいただきたいのですが」

「どのようなご用件でしょうか?」

「帝都冒険者ギルドマスターより、シャルロッテ様に至急の依頼がございます」

「わかりました。取次いたしますので、少々お待ちください。」


 ギルドマスターからの至急の依頼・・・嫌な予感がしつつも、急いでシャルロッテに取り次ぐことにした。

 急いでシャルロッテの執務室に行き扉をノックする。

「会長、帝都冒険者ギルドのギルドマスターから使者がきています。どうやら、至急の依頼があるようです」

 扉の外から声をかける。

 以前、返事がないので護衛として中の様子を確認するため入室したところ、ダガーが飛んできたことがある経験を踏まえてのことだ。

 シャルロッテいわく、乙女の部屋に許可なく入室するものは、何をされても仕方がないそうだ。


「すぐに行くから、少し待ってもらってちょうだい」

 中からシャルロッテの返答が聞こえたので、私は戻って使者に告げる。

 10分後シャルロッテが商会の執務室に現れる。

「お待たせしました。シャルロッテ・フォン・ヴェルザーよ」

 ギルドの使者へ名乗り、テーブルへ着く。

「帝都ギルドマスターから、シャルロッテ様宛の依頼書をお持ちしました」

 使者が冒険者ギルドの紋章の封蝋がしてある封書を差し出す。


 シャルロッテが立ち上がり、封書を受け取る。

「ギルドマスターより、至急ご確認いただきたいとのことです」

「分かったわ。すぐに確認します」

 シャルロッテが答えて、すぐに封書を開けて内容を確認する。


「・・・今日中にギルドに行くようにするわ。伝えておいて下さる?」

「承知いたしました。お伝えいたします」

 使者が一礼して、執務室を後にする。


「ギルドマスターから直々の依頼なんて、珍しいですね」

 私が護衛騎士に配属されてから初めてのことだ。

 よほど重要な案件かもしくは、よほど危険な案件か、どちらにしても、厄介な予感がする。

「大陸公路に出没する、ワイバーンの討伐依頼ですって」

 シャルロッテは笑顔で言った。


「ワイバーン討伐って・・・普通は騎士団が数個小隊であたる案件じゃないです!」

 ワイバーンは最強種である竜の亜種で、非常に危険な魔獣だ。

「ワイバーンについて、どれくらい知っているかしら?」

「いえ、詳しくは......」

 幸い私は遭遇したことはないので、私は首を振りながら答える。


「では、教えてあげるわ。ワイバーンは飛竜の一種で、全長15メートルを超える巨大な魔獣よ。前身は硬質な鱗に覆われ、鋭い爪と牙を持つ、背中には大きな翼が生えていて、空を自由に飛ぶことができる。特殊能力としては、まず炎のブレス、この火炎は非常に高温で、鉄を溶かすほどよ。有効射程は約10メートル。かなり遠くからでも攻撃できるわ。次に、尻尾の先端には毒針があって、刺されれば麻痺する。麻痺した状態で火炎を浴びれば......まあ、想像できるわね」


 麻痺して動けなくなり、火炎で焼かれる・・・最悪だ。

「解毒は可能なのですか?」

「ええ、可能よ。解毒魔法か、解毒薬があれば治療できる」

 全長15メートルを超える巨体に、火炎を吐く能力に、非常に硬い鱗、数個小隊が必要な訳だ。

「で、これがギルドからの依頼文書よ」

 言いながら、冒険者ギルドからの依頼書を見せてくれた。



【緊急依頼:ワイバーン討伐】

 依頼主:帝国冒険者ギルド ギルドマスター グンター・シュミット

 依頼内容大陸公路東部、グリムヴァルト山脈付近にワイバーンが出没。商隊を襲撃し、通行を妨げている。至急討伐を求む。

 報酬:金貨5,000枚

 危険度AA

 備考:同行者の選定は自由。ただし、戦闘能力の高い者を推奨する。

 --



 大陸公路に被害が出ているので、至急に解決したいわけか・・・しかし金貨5,000枚が高いのか安いのか判断に迷うところだ。

 金貨5,000枚は確かに大金だが、本来騎士団を数個小隊分の任務と考えると危険度の割に安いのではないか?と考えられる。

 おそらく複数の高ランク冒険者に依頼を出しているのであろうが、現在帝都にいてすぐ動ける適任者は少ないだろう。


 冒険者ギルドには、冒険者のランクがある。

 最低ランクの《ブロンズ》から始まり、《ジルバー》、《ゴルト》、《プラティン》、《ミスリル》、そして最高ランクの《アダマント》。

 シャルロッテは《プラティン》ランクの冒険者だ。

 《プラティン》ランクは、帝国内でも非常に希少な存在だ。

 冒険者ランク昇級には貴族の爵位は関係がない。

 シャルロッテも16歳の時に《ブロンズ》から始めたらしいが、初めての討伐でミスリルゴーレムを倒したのを皮切りに、立て続けて大物を討伐したったの2年で《プラティン》ランクに昇級したらしい。


 これは当時の帝都冒険者ギルドの最速昇級記録で現在も破られていない。

 シャルロッテは商会の会長業務の傍ら冒険者をやっていることを考えるとけた外れの偉業と言ってもいいだろう。

 《プラティン》の上の《ミスリル》は、大陸全体でも10人程度しかいない。

 そして最高ランクの《アダマント》に至っては、わずか5人程度だ。


 《アダマント》は実質的に名誉職のようなもので、現役で活動している冒険者は少ないと聞く。

 だから、《プラティン》ランクのシャルロッテは、帝国で最も優秀な現役冒険者の一人と言える。

 そんなシャルロッテに、ギルドマスターから直々の依頼が来るということは、それだけ重要かつ危険な依頼ということだ。


「会長、このご依頼受けられるんですか?」

 答えは分かっているが、一応聞いてみた。

「珍しくご指名の依頼だし、面白そうじゃない?」

 その表情は、まるで子供が新しい玩具を見つけたような表情だ。

「レオンくん、キミも同行してくれるわよね?」

「・・・護衛騎士ですので会長が行かれるのであれば同行します」

 私は、「個人的には行きたくない」という言葉を飲み込んで答えた。

「レオンくんも一応冒険者登録したわよね?」

「ええ、会長の指示で登録はしていますよ。ただ何の活動もしていないので《ブロンズ》のままですけど」

 私は別に冒険者として名を上げたいわけではない。

 あくまでシャルロッテを護衛するのに必要があるので登録しているだけだ。


「とりあえず、午後からギルドに行って、詳細を聞きましょう。2時間後に迎えに来てね」

 シャルロッテは言うだけ言って部屋を出ていった。

 私はとりあえずやりかけていた書類整理を片付けることにした。



拙い文章、読んでいただきありがとうございます。


多少なりとも楽しんでいただけたのなら幸いです。



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