第199話
【エリシア視点】
出発前に、大雑把な作戦などの打ち合わせを行い、まず誰が仕切るかって話は、ジャコウさんとツナマサさんのどっちがやる?って感じで話が進み、最終的にはツナマサさんがリーダー、ジャコウさんは副リーダーといった感じですぐまとまった。
その後で大雑把に戦闘での各自の役割やポジションを確認し、猫の特急切符を使用してドワーフの国の国境沿いにある集落に私達は向かった。
「何ですかコレ・・・」
列車を下りた先にある景色。そこにあったのは真っ白に漂白された世界だった
「雪・・・じゃないね。建物を含めたありとあらゆる物が真っ白だ」
「≪分析≫・・・コレ全部、第一元素やな。どないなっとんや?」
「エリシアさん、第一元素って何すか?」
「えーっと第一元素って言うのは・・・」
ジャコウさんが魔法で分析して分かった「第一元素」
大雑把に説明すると「エネルギー」と「物質」の中間存在。
言ってしまえば「何にでもなれる不確定存在」だ
基本的に自然界には無い架空元素であり、大抵はすぐにエネルギーか物質に変わる。
例外は・・・
「極まった≪分解≫系統の魔法なら、僅かに取り出せるって話は聞いたことありますけど」
「あー。ソレデマや」
やっぱり?こんな集落丸ごと第一元素に変わるなら割と成功率が
「上澄みでも簡単にこんなマネできへんよ。
なんやねんコレ、第一元素が文字通り山盛りやんけ」
え゛
「全員、あんまり触らないようにね。安定はしてるけど、何かの拍子でここある物全部が物質かエネルギーに変わる可能性が高い。
というか、この状態で安定してるのが異常なんだけどね。封印措置もしてないのに第一元素が山積みだなんて、誰の仕業だろ?」
「とりあえず、調査と偵察を始めましょう。もしかしたらまだ近くに居るかも」
「そうやな」
ペロリさんの提案にジャコウさんが同意して二人は召喚魔法を行使
「≪5倍連続召喚≫≪小動物召喚:雪兎≫」
「≪5倍連続召喚≫≪蟲召喚:群蝶≫」
ペロリさんは口頭詠唱だが、ジャコウさんは片手で印を組んで魔法を行使
召喚されたのは白い毛並みに赤い目のカワイイ兎と無数の蝶の群れ
二人はそれぞれ指示を出して召喚クリーチャーに偵察を任せる
私はその間に探知系の魔法で周囲の情報を探り、霧隠れさんも斥候系のスキルで周囲を警戒
それ以外の面々は目視で探索してるが・・・聖女チームが観光
「死体を見っけた。ドワーフのだが」
直ぐに反応したのはサイモン。第一元素に埋もれたドワーフの死体を発見し、持ち帰ってきた
持ち物を見ると呪いの金貨を持ってた。回収し、何があったかを聞き出すためにインベントリ空間から蘇生薬を取り出す
使うのは・・・とりあえず一番低位のヤツで良いか
ミーカさんが蘇生魔法を使えるが、蘇生魔法はMP消費が激しいしMPを温存させたいから蘇生薬を使用する
蘇生薬を振りかけると肉体が再生し、死んでいたドワーフが息を吹き返した
「ゴホッ!ゴホッ!・・・なんじゃぁ・・・?ここは、あの世か?」
「現世ですよ。蘇生させました。何があったんですか?」
「頭が良くハッキリせんが・・・たしかぁ、そう。巨人族。アイツらが北から攻め込んできたんじゃ」
「ぎがす?」
「巨人のことだよ。針葉樹林より北に住む異種族だね」
「連中が針葉樹林にある黒い湖に馬鹿でかい石の塔を建てて、王の命令で軍が取り壊しに行ったんじゃ・・・そしたら、巨人族が押し寄せてきたんじゃ」
ん~。この情報だと断片的だが、巨人族にとって大事な物だったのか?
「ふむ。エリシア君、蘇生薬のストックは?」
「最低ランクの蘇生薬なら20あります」
「20個か」
「あ、違います。20スタック。数にして400個です」
このランクの蘇生薬は20個までスタックできるからね。
ランクが上がるとスタック出来る数が下がるのが難点だけど
「ちなみにランク問わずで蘇生薬の在庫は?」
「1000個持ってます。半分以上は中堅ランクですね最高級蘇生薬は2割くらいです。作れる材料が手に入らないので。ただ、最低ランクの蘇生薬なら時間があれば量産可能です」
「よし、とりあえず蘇生する優先順位を決めて、蘇生保留の人は封印系の魔法で保存してて欲しい。エリー君とミーカ君だったね?2人は≪遺体保存≫とかの封印魔法は?」
「問題無いよ」「はい。大丈夫です」
問題は、蘇生薬や蘇生魔法には限界もある。
具体的に言うと頭が吹き飛ばされている場合や3割以上肉体が損壊している場合は蘇生薬や蘇生魔法では復活できない。
「エリシア君。ここから少し移動した所にある針葉樹林にセーフハウスを作ってて欲しい。蘇生措置はそこで行おう」
「分かりました。目印はどうしますか?」
「そうだなぁ・・・サイモン君とクラウベル君。二人もエリシア君の護衛で付き合って、完成したら案内を頼むよ。作業が終わったら村の広場で落ち合おう」
「分かりました」
「分かった」
「了解」
ツナマサさんの指示で私達は針葉樹林に向かい、適当な木を1つ魔法で隠れ家に変える。・・・これで良し。
「サイモンさん、隠蔽お願いします」
「任せろ。≪隠遁:隠し戸の術≫」
サイモンが素早く両手で印を連続で組み、忍術を発動すると半透明な幕のような物が周囲を覆い、風景に擬態。
「これで目視では発見される事はないはずだ。念のため探知阻害系の忍術と少し離れた所にデコイとトラップを仕掛けてくる」
「お願いします」
サイモンは素早く木の上へと飛び上がり、森の中へと移動。
その間に私は持ち込んだ材料を使用して魔法で簡単な家具を作りながらメンバーとの合流を待つことにした
≪隠遁:隠し戸の術≫
種別:忍術
制限:上忍Lv8以上
射程:術者を中心に半径20m
形状:起点指定
忍者が習得する遁術の中で建物や建築物を隠す事を目的とした技。
使用すると周りの風景を映す光学迷彩のような幕が周囲を取り囲み、内部の様子を視覚的に誤魔化す。
実体が無くなるわけではないので幕の内側まで接近されると露見してしまうのが欠点




