第196話
作者「風呂敷とかけまして物語の設定と解きます」
エリシア「その心は?」
作者「広げ過ぎるとたたむのが大変です・・・」
【エリシア視点】
長いようで短かった王都での仕事が終わり、戴冠式は無事終了。
宰相ヴァラサフの案内で式典の片付けをしている城内を歩きながら私は約束通り王城の宝物殿で報酬を選ぶことになった
「ここだ。念のために杖や武器は入る前に預からせてもらう」
転移のマーキング防止か。まぁ私は転移系の魔法は使えないが、素直に応じておく。・・・ぶっちゃけ襲われてもインベントリから予備の武器を出せば良いし
宝物殿に入ると、流石と言うべきかやっぱこんなもんかと言うべきか、玉石混交の魔法の品の数々が並べられている。
プレイヤー基準ではしょーも無い物から構築が嚙み合えば使えそうな物もある・・・が、一部の台座が空だったり、妙な空白の空間がある・・・持ってかれては困るヤツを式典の最中に何処かに移動させたな?
まぁソコを指摘するほどヤボじゃないけどさ
多分ここにあるのは持ってかれてもそこまで痛手にならない物なんだろう
「鑑定魔法を使っても?」
「構わないが・・・杖無しで行使可能か?」
杖無しなら低位しか使えないが、それでもこの程度のアイテムなら鑑定可能だ
えーっと。コレは役に立ちそうにないな。コレは・・・持っていくほど価値も無いな。こっちは頑張れば魔法で再現できそうなレベルだな
アレコレと鑑定しながら効果を確認し
「これを貰います」
最終的に私が報酬として貰ったのはこっちの世界固有らしき魔法の品
名前は『腐敗の篝火』。ガラス製の筒の中に入っている黒い松明に黄緑色の炎が灯っている。炎の方が本体だ。
絶えず湿気を放ちながら燃える魔法の炎で水気がある限り消えないのだそうだ。
通常の炎と違って水気がある物ほど良く燃えるため、消すには砂をかけて乾かす以外に無いそうだ。
研究すれば初見殺しの必殺技にできそうだし、腐敗の篝火というだけあってこの炎は焼くのではなく腐らせるのが特徴だ
つまり・・・上手く管理すれば有機肥料が効率的に作れる!!
あと死体を効率的に硝化させたりと色々使い道はある。何より炎!エネルギーだ!!美味く管理すれば使っても消えない!!これほど素晴らしいアイテムは有るだろうか!
「そ、そうか・・・」
あれ、ちょっと引いてる?え?コレのせいで一回大規模な伝染病が流行った?
そりゃ管理の仕方が甘かったからだ。
私はのクラスは魔女。腐敗系、つまり負系統は専門分野であり、このくらいのアイテムは使いこなせる。
試しにちょっと魔力操作で干渉してみたら・・・あ?生意気にも炎の分際で抵抗してきたので魔力のごり押しで強引に屈服させた。
意志・・・じゃないな多分、安全装置とかそういった類だ。
多分だが本来の持ち主は自分以外が使いこなせないようにするための仕掛けなんだろうが・・・無駄だ。製作者は良くてLv40後半ってトコだからその程度で使いこなせるアイテムなら私でも使える
屈服させたおかげで大雑把な操り方も分かった。ほうほう・・・あー・・・
対生物用の攻撃アイテムとして作ったのか。体液に引火する炎を作ったらこうなったと・・・炎って演出で誤魔化してるが本質は毒とか病の系統だな
これ単体だと耐性とか云々を差し引いて、現地生物相手にしか使い物にならないし、後で改造しとこう
とりあえず即席で専用容器に腐敗の篝火を入れてインベントリ空間にポイ
無事に報酬を受け取りマーシャさん達と合流
「私はこの残骸を持って依頼主に報告しに行く。
その後でゲイリーウッズに向かう」
「分かりました。待ってますね」
クラウベルは王都の城下町で悪魔武器の残骸を持って別れたが、ドワーフの国への殴り込みまでには合流すると約束してくれた
その後は荷物を纏めて伯爵邸の庭で≪転移門≫のスクロールを使用し、ゲイリーウッズ村へと帰還
ぐるりと視界が回るような感覚のあと、やっと村に帰ってこれた
さて、息つく暇もないが・・・村のメンバーとチャーハンさんことアヤノさんとドワーフの国殴り込み作戦について話し合いだ
「久しぶり、エリシア」
「お久しぶりですアヤノさん」
軽く再会の挨拶をした後、プレイヤー全員で集まって話し合いを始める
「ドワーフの国への殴り込みです。私達を苦しめる悪魔武器を作っている聖域の情報を得るために、他のプレイヤー達と協力して聖域が支配するドワーフの国への潜入と奪取をすることになりました」
「問題は、誰が行くか」
流石に全員まとめてはダメだ。遠すぎる上に、守りが薄くなって何かが起こった時に対処できる人が必要だ
「まぁ、出せて5人ってトコね」
「そうですね。あとドワーフの方に案内も頼むので実際は6人ですね」
さて、誰が行くべきか・・・マーシャさんは確定として
「あ、悪いけどドワーフの国は私は今回見送らせてもらうわ」
唐突にマーシャさんがドワーフの国の殴りこみを辞退・・・え!?
「え、マーシャさん?!」
「悪いけど、そろそろキツイのよね・・・在庫が」
ここで、マーシャさんの一番の弱点が効いてきた。
マーシャさんは戦闘能力も諜報能力も高いスペックを発揮できるが本質は「道具使い」だ。
回復手段のある魔法やスキルでは無く使い捨ての投げナイフや矢を消費して戦うスタイル・・・つまり
「矢と投げナイフの在庫がね・・・対プレイヤー想定だと、もう無くなりそうなのよ」
この世界では・・・補給が効かないッ・・・!
≪矢≫
種別:矢玉/消耗品
希少度:―(一般級)~☆☆☆(伝承級)
弓系武器に使用される矢玉で弓と一緒に装備枠に入れることができる。
非常にポピュラーではあるが格安の3流店売り品から素材に拘った高級矢まで価値は差がある。
威力と射程を決めるのは弓だが、矢は「防御力の貫通性」や「命中率」に関わるため、安物では命中率が低く貫通性が低い。
逆に素材に徹底的に拘った高級矢の価値は拘れば天井知らずであり極まった品質の矢は文字通り財力とコネ、もしくは相応の制作能力が必須。
マーシャがゲームで使用するランクは主に☆☆以上の高級品モデルであり、ゲイリーウッズ村で入手できる程度の矢ではフルパワードローを行うと、放った矢が砕けるなどの不具合が起こる(放たれる矢の速度が速すぎて安物では矢柄が耐えきれなくなるらしい)




