1 夢夢夢 Ⅰ
第四章開幕です。
(……? あれ? ここは、どこ……?)
リヴィアの意識がフワッと浮上するゆっくりとゆっくりと浮上していく中、誰かが声を掛けてくる気がした。
「ーーーア、ーーーーーう」
「ーーンー、ーーりーーー」
(だれ? 何処?)
段々と声がハッキリしてくる。しかし、リヴィアは目を閉じているように前が見えない。
(誰なの? 私に何を言ってるの?)
「リヴィーー、ありがーーーー」
「本当に、ーーがとーーー」
(二人……? 男と女……)
声の相手が男女である事がわかったリヴィアは、無理矢理に瞼を開けようと試みる。しかし、思うように開かない。重いわけでも、塞がれている訳でもなくて、ただただ力が入りづらく、ぼんやりと見えてくる程度だった。
(アナタ達は……誰?)
「リヴィア、ありがとうね」
「本当に、ありがとうだぜ?」
(ミロ……ダール……?)
意識が少しずつ覚醒していく。
「ほら、ちゃんと謝りなさい?」
「わ、分かってる。……悪かったな、迷惑かけちまって」
(ち、違うのダール、ミロ! 私は何もしてない!)
もがくように手足を動かすリヴィア。身体中が重く動きづらい。さらに口を開こうとすると水の中にいるように、口の中へとなだれ込んでくる。
(ご、ゴホッ、ミロっ! ダール!)
頭の中で叫び続けるリヴィア。
「ヴァルにも言っといてくれ。わりぃってな!」
「ホント、男ってよく分からないわね。まぁいいわ! じゃあ私から最後にリヴィアに一言伝えますっ!」
(ミローーっ! ダールぅ!)
手を伸ばすリヴィア。必死にぼやける目でミロとダールのいる方へと進む。
「倒してね! 魔王。挫けないでね! 私達のヒーロー。世界を……救っちゃいなさい」
(!!!!!)
最後に聞こえたミロの言葉に目を見開くリヴィア。そこにはあの時のままの姿で手を繋ぎ、幸せそうな二人がいた。とても幸せそうに、そして笑顔で手を振ってリヴィアを見ていたのだった。
(ーーーーーーーーっ!)
「ミロっ! ダール!」
ゴチンッ
ガバッと起き上がるリヴィア。しかし、そこにはミロもダールもいなかった。代わりに真っ白な空間が広がっていた。
「こ、ここは……」
そう、そこはまだ夢の世界であった。
「ァーゥー……」
その声に振り向くと、ルゥが仰向けになって頭を押さえ、右、左とコロコロしている。
「る、ルゥちゃん!? ど、どうしたのっ!」
「ひどいー、ひどいなのーっ!」
余計にコロコロしていくルゥ。その勢いはまさに反復横跳びを連想させる。小さな身体が高速でコロコロする姿はなんとも可愛らしい。いっそこのまま見ていようとリヴィアが観察モードにシフトしようとした所でルゥがピタリと止まる。
「ルゥ……ちゃん?」
「…………」
うつ伏せになっていたルゥはスクッと立ち上がる。そして、肩を震わせてリヴィアに振り向いた。
「!!!」
振り向いたルゥの顔を見て息を止めるリヴィア。おでこが見事に腫れ上がっているルゥの泣き顔が可愛らし……ゲフンゲフン。愛らしい。……いや、痛々しい。
「リヴィアお姉ちゃん!」
「は、はいっ!」
「ルゥは……ルゥは今……モーレツに怒ってるなのーーっ!」
「はいいい!」
両手を握り締めて、軽く腰に当てながら膝を曲げて叫ぶルゥに、キュンとする……じゃくてヒュンとするリヴィア。
うがーーーーっとルゥが走ってくるが、リヴィアは軽く手を伸ばして、ルゥの頭を抑えてやる。すると頑張って進もうと足をバタバタさせ、腕をグルグルと回している。その場で。
リヴィアはそんなルゥを見てまた癒されるのであった。
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「ゴメンね、ルゥちゃん」
「つーーん、なのっ」
リヴィアが必死に謝っているが、その顔はうへへって顔をしている。いいモノ見してもらいやしたぜダンナァといった表情だ。ルゥも分かっているのか、ご立腹のようでリヴィアに背を向けて腕を組んでそっぽを向いている。
「ルゥちゃんお願〜い!」
「ムゥ……反省したなの?」
「したした! しましたっ!」
片手をピンと伸ばしてアピールするリヴィアだが絶対していない反応だった。ルゥはタメ息を一つしてリヴィアに向いて「もうしちゃダメなんだからね! なのっ!」っと腰に手を当て、メッのポーズをする。リヴィアの心は浄化されていく。ついでに腹の黒い部分も浄化して欲しい所だった。
「リヴィアお姉ちゃんが起きないから、顔を覗き込んだ瞬間に起き上がるなんて反則なのっ!」
「デヘヘへ……」
その変な笑い方にジト目になるルゥであったが、このままでは話が進まないままタイムリミットを迎えそうなので話を進めることにする見た目は子供、頭はリヴィアよりも大人なルゥだった。
「それで……? お姉ちゃんはもう平気なの?」
「……そうね。ルゥちゃんには隠せないもんね」
うんみゅ! と頷くルゥ。
「さっきね……ミロとダールの夢を見たの」
「…………」
ルゥは黙ってリヴィアの手を握る。小さな手が、リヴィアの人差し指をしっかりと握る。
「幸せそうに笑ってたわ……。ホントに……とても幸せそうに……」
「…………」
「私は何もやってないの。キアラちゃんとレッドとジハードちゃんがやってくれたのよ? それなのに、何故みんな私に感謝するの?」
「…………」
「私だって役に立ちたい。そして、目の前の人達を救いたい。それなのに……私ったら……何をしてるのかしらね」
「…………」
リヴィアの愚痴を黙って聞いてあげるルゥ。それからどれだけ弱音を吐いただろうか。魔王を倒す素質なんてない、封印なんて見つけなければよかった……など。
どれも悔やんでも仕方のない話ではあるが、リヴィアに取っては悔やんでも悔やみ切れないのだ。だが吐けるだけ吐いたリヴィアは、思いっきり頬を叩く。
パァァァァん
「よっし! 悔やむのおしまいっ!」
強く叩き過ぎたせいで涙が出てるのかよく分からないが、リヴィアは涙を拭いて前を向いた。ルゥも笑顔になる。
「強くなったなのっ!」
「ふふん。魔王を倒すんだからね! こんな所で立ち止まれないわ!」
リヴィアは首に下げた透明な珠をギュッと握る。自然と身体を包み込む心地よい温もりを感じ、リヴィアの心に安らぎを与える。
「約束……したからね」
「うんみゅ!」
リヴィアの足に抱き着くルゥ。その頭を優しくリヴィアは撫でる。二人はまるで姉妹のように支え合うのだった。
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