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Rd end (アールドエンド)  作者: 十画
第三章 魔の歴史
69/216

15 犠牲とは、尊いものだろう?

「どお? ジハードちゃん、誰か見つかったー?」


 グオオン(いないな)


「マァ、第一印象がアレでしたしね〜」


 ガル(あん)


「ァ、ィエ、なんでもございません」

「ジハードちゃんだって反省してるんだよ? 虐めないでっ!」


 キアラが猫耳をピンと立てて、人差し指でメッ! のポーズをしている。


 クルルル(ヨヨヨヨ)……


「あっ! ジハードちゃん泣いちゃったよ? ホラ謝って! ちゃんと謝って!」

「ス、スミマセンデシタ。ど、どうか、お許しください」


 何故か怒られる緑の冤罪スーツ。そんな姿を見てジハードはボソッと言う。


 グオオッ(友達)……


「ジハードちゃん?」


 グオオオッグルルッ(友達になれば許す)


「! ジハードちゃんが友達になってくれたら許してくれるって!」

「ェッ……友達……?」


 やったネっと両手いっぱいに広げてアピールするキアラ。しかし、まるで予想していなかったというように、緑の鎧は電源が抜けたかのように固まる。


(友達……デスか。ハハハ……まさかドラゴンの友達だなんて……ネ)


 キアラが固まる緑の置物にんんー? と首を傾げる。ジハードも心配そうに見つめていた。図体に似合わず、傷つきやすい乙女のハートを持っているのだ。


「……友達。ナリマス。……イエ、友達になって下さい!」

「んー! んー!」


 グルルッ(ホッ)


 緑の紳士がジハードに向き合って堂々と宣言する。その姿にキアラも喜んで沢山頷いている。もちろん、心臓が破裂しそうな程、緊張していたジハードは力が抜けたように息を吐くのだった。


 意外な所で友情が芽生えた一人と一体と、そして一匹の竜。夕日が目に染みるのか、目に涙を浮かべる竜。そして、何を思い出したのか、いつもよりも夕日の似合う緑の紳士がそこにはいたのだった。


「……アッ、そうだ、ジハード殿!」


 グル(あん)


 ギロッと睨まれるちょっと前まで夕日の似合っていた鎧。


「ェ、エエッ! なぜ?」

「もぉぉぉ! ジハードちゃんでしょ?」


 グルグル(そうそう)


「ァ、ハイ。ジ、ジハードちゃん?」


 グル(あん)


「アノっ? 変わってませんケドっ!?」

「そお? 照れてるだけだよぉ〜」


 気のせい、気のせい! っとキアラはなんでもないように伝える。明らかに睨まれてるじゃん……と落ち込む没落兵器。


「モ、モゥ。まぁいいですけどね慣れてますし。それで、この辺に村や街はありませんか? リヴィアさん達はここの住人達に助けられたので、そこへ向かったのかもしれません」

「おおっ! さっすが変なポーズの人! きっとそうだよジハードちゃん!」


 ガルル(うーむ)


「よーし、じゃあ明日は人が居そうな場所に行こうね」


 ガウ(よし)


 こうしてリヴィア達を探すために、キアラ達は明日は村や街を探すことにしたのであった。お互いが探しているのに中々出会うことが出来ないリヴィア達とキアラ達は、最悪の形で出会う事になるのであった。



 ______________________



 次の日、リヴィアとニコレットは今日も水浴びをしている。水浴び後は、恒例の迅速アライグマ隊の歌と共に一緒に皿洗いをしていた。


 迅速♪ 、迅速♪ 、じ、ん、そ、く♪


「「アライグマっ!」」


 ノリノリで合いの手を入れるリヴィア達。迅速アライグマさん達も、いつも以上に気合いを入れて頑張っている。そのせっせ、せっせと手を動かす姿にリヴィアもニコレットも心を洗われていた。


「おーい、そろそろ朝ごはんにしよ〜?」


 ミロが呼びに来てくれた。アライグマさん達と一緒になって歌を歌うリヴィア達に半分呆れつつも、その姿に自然と笑顔が零れる。


 朝ごはんを食べた後は昨日の続きをする事になっていた。キアラなら、生活が出来そうな場所を察知出来るはずという事で、食べ物が豊富な場所を中心に見て回る予定だった。


 そのため、狩り組のヤンナ、ムンガジも含めて大勢で向かい、キアラを探しつつ、食料を確保する事にしたのだった。


「さぁて、行きましょ! 今日はよろしくね、ヤンナさん、ムンガジさん!」

「おう! 任せとけ! ダールよりは役に立つとこ見せねぇとな!」


「なんだって? ようし、それならどっちが多く役に立てるかで勝負だ!」

「ほほう? じゃあ審査は公平にヴァルのダンナに任せようや!」

「いいだろォ。しっかりやるんだぜェ?」


 何だか男連中の団結が上がってるように思えたリヴィア達。特にヴァルが乗り気なのが意外だった。


「貴方達いつの間にそんな仲良くなったのよ?」


 ミロが不思議に思い聞いてみる。


「ふふん、これは男同士にしか分からないのさっ!」


 ダールが威張るように言う。しかし、リヴィアが爆弾を落とす事で、別の意味で大変な事態となる。


「それなら、私達だって特別な関係よね?」

「! ちょ、リヴィアっ? ダ、ダメよぉ!」


 リヴィアが両手をワキワキさせている。まるでその手には何かを鷲掴みにして、揉みほぐし、掴んだら離さんという強く、そしてイヤらしい動きをしていた。

 慌ててミロがリヴィアを止めるが、リヴィアはイイ笑顔で避けていく。


「何よミロ〜、本当の事じゃない」

「ダーメッ、変な勘違いしたらどうするのよ~!」


 既に男共はミロの身体とリヴィアの手の動きを交互に見ている。皆、首から上だけを器用に動かしている。まるでテニスコートの審判のようだった。


 それを見たミロが顔を真っ赤にして男共に襲い掛かる。「今聞いた事、見た事は全て忘れろォォォ」と叫びながら、追いかけ回す。男共も必死な顔で逃げているが、お決まりのように躓いて派手に転げる哀れな男がいた。


「ダールゥゥゥウ?」

「ヒィ、ヒィィィイ!」


 もうわざとやってるんじゃないかと思うほどの組み合わせであった。ミロは「止めない! 忘れるまで、止めないっ!」っと鋼の意志を持って殴っていた。大事な事は二度言うというからこれで良いのだろう。



 ヴァル達は尊い犠牲の上に今、生を実感するのであった。

最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

おねだりが上手になったジハードちゃんでした。


ほしいなぁ~ほしいなぁ~

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