14 竜と娘は仲ヨシで子ヨシ
キアラ達を乗せたジハードは優雅に空を飛びながら、湖の上を飛んでいる。すると湖の真ん中に輪っかのような小さな島が見えてくる。
「わぁー! なぁに? あれ」
「アレは……どうやらカルデラの元となった火山の火口が一部突き出ているようデスね」
上から見ると、中は深い縦穴のようになっていた。ギリギリ水面に出ているだけなので、雨なんかで増水すれば火口に水が落ちて行くような形となっていた。
グオオオッ
ジハードが降下の体勢に入る。ウワウワッと慌ててしがみついている緑の変態スーツ。キアラはまるでジェットコースターに乗る子供のようにキャッキャッと騒いでいた。
火口をゆっくりと降りるジハード。中はジメッとしていてやや暑い。
「わぁぁあ! 凄い凄〜い!」
「コレは興味深い……」
火口の底は黒く固まった岩が敷き詰められているが、所々に隙間からマグマのようなものが覗いているので、完全にマグマがなくなったわけではないようだった。
ジハードが着陸する。やはり底の方は暑い。しかし、そんな事はお構い無しにキアラが駆けて行く。
「見て見て〜!」
そう言いながら、キアラは飛んだり跳ねたり、宙返りしながら笑顔ではしゃいでいた。
グオオオッ
「うん! ちょーっと暑いけど、気に入ったよ〜!」
はしゃいでいるキアラとジハードを見ながら、緑の変態スーツは辺りを調査している。
「サスガ古代の火山。純度が違いますなぁ……オヤ?」
調査していると、壁に穴の空いている場所があった。
「キアラ殿、ジハード殿にアソコは何か聞いて貰っても良いデスか?」
「んんー? いいよー、ねぇねぇ、あそこはなぁに?」
グオオン、ガオガオン
「神殿? 何があるの?」
|ガオオンガウガウガウガオン《悪魔が封印された場所だ》
「えっ! 悪魔?」
「フム、神殿に悪魔……デスか。興味深いデスね」
|グオオオンガウガウガァ《邪なものが近付くと呪われる》
「ええっ! 大変だよぉ、呪われちゃうって!」
「オヤ、それはまた物騒な……魔王の封印と関係あるのでしょうか……?」
ガルル!?
「どうしたの? ジハードちゃん!」
|グルルルルルルルルル《封印を守るのが私の使命》
「そっか、魔王から守ってくれてたんだねっ! ジハードちゃん凄ぉいっ!」
グルルン
「私達は魔王を倒すために来たんだよぉ! もしかしたら、その悪魔っていうのがそうなのかも!」
ガル
「でも、私達じゃ分からないから、リヴィア姉ちゃん達に見てもらわないと……」
ガオン、グオオオン
「うんっ! ありがとうジハードちゃん! 大好き〜!」
ジハードからしたらちっぽけなキアラだが、キアラは身体いっぱいにジハードの鼻先へ抱きつく。そんなキアラに目を細めながらジハードは言う。
グルル……ガルルン
「ハァ、こうやって見ていると神話に出てきそうな光景デスね」
一体取り残されているが、その微笑ましい光景を記録映像として残している気の利く緑スーツであった。
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村に帰還したヴァル達。毎回恒例なのか、壁にめり込むダール。そこに狂気的な愛を感じさせるミロ。そんなミロを応援するリヴィアに、今後のダールの人生を案じるニコレット。
今日もガーゴ村は平和な一日を終えるのであった。
補足だが、その日の晩飯でヴァルが食事には一切手をつけず、果物や野菜だけを口にしていた。リヴィアに「食べないの?」と聞かれるが、汗を流しながら「あァ……俺ァ遠慮しとくぜ……」とキザに躱す。もりもり食べるリヴィアを見るヴァルの目が酷く泳いでいた。
その姿を見逃さなかったニコレットが、「まさか……」と口にしていたが、考えるのは止めて素直に美味しく頂くのであった。
次の日、今日はリヴィア達も外へと向かう事にした。キアラや竜じゃない方のレッドを探すためだ。迅速アライグマさん達の微笑ましい姿を見た後、早速外へと旅立つ。
同行してくれるのはダールとミロだった。ダールが「俺が道案内してやるよっ」と意気込んでいたが、ミロに「アンタじゃ心配よ! 私も連れていきなさい」と言われ、「ええっ!」と口答えした所でダールが顔から床に沈む。
酷く素早いボディブローが、ミロから放たれたのを見逃さなかったリヴィア達。
そんな一幕の後の話だ。
「それで? リヴィア達の仲間ってどんな人なの?」
「んー、キアラちゃんっていう猫耳の可愛らしい女の子と、レッドっていう黒いローブにおっきな三角帽子を被った男の子よ?」
誰か忘れているので教えて上げて欲しい。
「レッド……。同じ名前だなんて可愛そうね」
「アハハ……、まぁ仕方ないよね」
とりあえずという事で、湖までの道のりを教わりながら、周囲を探索していく。
「あっ、アレは」
リヴィアが見つけたのは、初日に大量に獲得したイェモン(仮)の実がなる樹林だった。
「アレは私達の料理にも使う重要な果実よ? ヴァルさんの好きな飲み物の原料にもなってるんだからね!」
「あァ、通りで身体がスッキリする訳だ」
この時代の住人達もこの果物を摂取する事で生きてきたのだろう。料理から自然と摂取出来ていた事で、リヴィア達も無事であったと言える。
どうやらこのイェモン(仮)樹林とカルデラ湖、ガーゴ村で大体三角形のような位置付けとなっているようだった。
「ここら辺は俺らの庭みたいなもんだな。しかし、湖まではあんまり行かない方がいいな。レッドが活発に飛んでやがるからな」
そう言ってダールが遠くの空を見上げる。そこには湖の周りを飛び回る巨大な竜が見えていた。
「キアラちゃん……生きてるよね?」
「もちろんよっ! あの娘は強いんだから」
「……うん! もうちょっと探してみよう」
心配になるリヴィアであったが、ニコレットが流石のお姉様、通称『さすおね』の対応でリヴィアを元気付ける。
その後、最初にキャンプした大岩や、次の日に野宿した場所を巡ってみるが、キアラが戻ってきた形跡はなかった。
「そろそろ、戻ろう。これ以上は夜になって危ない」
「そ、そうね。ありがとう二人とも!」
「明日もまた探してみましょ? 元気出るように、今日も美味しいご飯作るから任せてね!」
「うん! ありがとうミロ」
ダールが撤退を提案し、リヴィアが少し悲しげにしているが、ミロの言葉に元気をもらうリヴィア。ヴァルがその言葉に汗を流しているが、気のせいだろう。
「明日は別の場所を探してみよう。大丈夫、俺達がいれば平気だぜ?」
「ダール……ありがとう」
明日もちゃっかり探索入りに漕ぎ着けるダール。もちろん見逃さないのが大きく長い耳がチャームポイントのミロ。
「ふぅ〜ん。じゃあ私も行くわネ」
ダールの後ろから聞こえたミロの言葉に、「えええっ!」っという顔がモロに出ている。明らかに嫌がっているが、ミロはダールの肩をガッシリと掴む。もうすぐ、夜になるからだろうか、ミロの表情だけ暗くて見えない。見えないが、眼光は真っ赤に光り、背後に人参のような鎌を担いだ真っ黒でムキムキなウサギさんが見える。いや、見えてはいけないので見ないダール。
リヴィアはそんなミロに大満足し、誇らしげにしている。ニコレットはそんなリヴィアに「ウチの子ったら……もぉ」っとまるで手の妬ける娘に向ける眼差しで立派なママをしている。もぅダールの事は諦めたようだ。
このキリキリした空間と、ホンワカしている空間を少し離れた場所で眺めているヴァルは「まるでカオスじゃねェか……」と冷や汗を流していた。
こうしてリヴィア達は明日もキアラとレッドを探す事にしたのであった。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
ジハードちゃんはもう一人じゃない!
そしてリヴィアも一人ではなかった・・・。第二のリヴィア爆誕。
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