12 女の子は恋バナが好き
朝食後の散策では村の住民達と挨拶をしていった。鶏のような獣人は後ろに小さなヒヨコ獣人を連れてお散歩している。熊のような獣人は大きな荷物を運んでいる。やはり色んな種類の獣人たちがいるようだ。
一際小柄なリスの獣人達は何やらせっせと作っている。細くしなやかな身体のフェレットのような獣人は土を弄って野菜を育てているようだ。
「見たことない獣人さんばかりね〜」
「そうね、きっと亜人のご先祖様なのでしょうね」
リヴィアとニコレットは不思議そうに村を巡っている。すると、正面からミロがやってくる。
「お〜い、リヴィアさん、ニコレットさーん!」
「? ミロ、どうしたの?」
「ダールのやつ見なかった? アイツまた仕事サボってるのよねぇ」
「いえ、私達は見かけてないわね」
ミロはプンプンしながら、ダールを探しているようだった。
「アイツまたヤン達について行ったのかしら?」
「そういえば、ヤンナさんやムンガジさんはなんの仕事しているの?」
「え? あぁ、村の外で狩りといった所かしら? 危険な奴が現れた時は警備みたいな役割もあるわね」
どうやらダールはまた、サボってヤンナやムンガジについて行ってしまったのだろう。
「ったく、まぁ居ないなら居ないでちょうどいいわ」
「「?」」
「ねぇねぇ、私と女子トークしない? 女、子、トーク」
「「!」」
「この村ってあまり私と同じくらいの娘、居ないのよね。だからぁ、ね?」
そういうことならっと、リヴィア達はミロと女子トークをすることにしたのだった。
「ええーっ? それでそれで? どうなったの?」
「ふふーん、バツとして頭の毛を全部毟ってやったわっ!」
「うっそぉーー、それは凄いっ」
息ぴったりのリヴィアとミロ。リヴィアの話に目を輝かせるミロであるが、ニコレットは今後のダールの身を案じて瞑想する。
「あ、そうだ! ミロってさぁ……ダールの事、どう思ってるの?」
「えっ? ど、どおって……一応幼なじみみたいなもの、かしら」
「ホントにそれだけ?」
リヴィアが吃るミロに、イイ笑顔で詰め寄る。ニコレットも瞑想しているようで、耳だけは完全に聞き入っている。
「もぉ、リヴィア酷いよぉ? ニコレットさんも、気にしてないフリして聞いてるでしょっ!?」
「うふふ、バレてしまいましたか」
浮いた話というのは女の子達にとってのデザートなのだ。
「そんな事言わないでさっ! 話さないとぉ〜こうだぞ〜っ!」
「わ、わわ! リヴィア? ちょっと、あっ! ダメよぉもぉっ!」
「うふふふ」
リヴィアがミロに絡みついて身体を弄る。ニコレットはあらあら、と大人の女性らしい対応で眺めていた。
「も、もぉ、だ、ダメだよぉ、ああん!」
「ふっふっふぅ、中々の悦な声を上げるではないかぁ〜」
「り、リヴィアァァァん」
オヤジ属性を身につけるリヴィア。何だかミロのふさふさのの毛を弄って、色っぽい声と、荒らげる呼吸に快感を覚えてしまったらしい。
そして、しばらくそのままミロのアラレもない姿を堪能したリヴィア。ついに陥落するミロ。終始大人の態度を崩さないニコレット。
「ハァハァ……ず、ズルいよリヴィア〜」
「ハァハァ、ミロも中々強情だったわね」
「あらあら、うふふ」
そしてミロは仕方なく話を始める。
「ここにいる人達ってね、元々拾われて来た子達なのよ?」
「「?」」
恋バナかと思っていたのに、急に重い話に突入するミロ。
「だから、みんなガーゴさんには感謝してるの。でもね、あの日のガーゴさん夫婦は何かおかしかったの。まるで私達をレッドの餌にでもするのかという感じがしてならないの」
「ど、どういう事!?」
ミロは首を横に振る。
「分からないの。でも、明らかにいつものガーゴさん達じゃなかった。まるで人が変わったようで私は怖かった」
(人が変わった……たしかフェア神官も……)
「ダールはちょうど遅れてきていなかったんだけど、間が悪いことに、レッドに襲われているガーゴ夫婦を偶然見てしまったの」
リヴィアもニコレットも黙って聞いている。
「だから、今でもダールはレッドを誰よりも恨んでいる。でもね、私は思うの」
「……何を?」
若干、間を開けるようにしてミロは答える。
「レッドが私達を救ったんじゃないかって……」
「! そ、そんな事が?」
「……まさか、知性あるドラゴンだと言う事?」
ミロは真剣な表情で頷く。
「確かめる術はないのだけど、私にはそう思えるの。あそこには何かある。それをガーゴ夫婦が盗もうとしたのをレッドに止められたんだって……」
「「……」」
そして、ミロは顔を上げて強い意志を宿した瞳で言う。
「私はダールが好きよ、愛してる。だから下手にレッドに手を出して死なせたくないのっ! お願い! ダールが変な気を起こそうとしたら一緒に止めて欲しい」
ピンと伸ばした耳が、彼女の覚悟を表していた。リヴィアとニコレットは顔を合わせて頷き、ミロに手を差し出す。
「大丈夫! 貴方の意思と覚悟は受け取ったわ! 要はレッドに手を出さなければ良いんでしょ?」
「リヴィア? それじゃ今までと変わらないじゃない。ここは、そのレッドが守る何かを取り上げて、別の場所に移動させるのがいいと思うわ?」
「ええ? あっ、じゃあいっその事、この事を直接伝えるとか!」
「ダーメッ! 目の前で殺されてるのよ? 私達の言うことなんか信じてもらえないわ」
「リヴィア……ニコレットさん……」
ミロを置いて作戦会議を始めるリヴィアとニコレット。さぁ貴方も一緒にっというように、二人はミロに手をもう一度差し出す。ミロは嬉しくなって涙を溜めつつも、笑顔でその手を取るのだった。
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リヴィア達がミロに捕まる少し前ーーーー。
「おーい! ヤン兄、ムン兄!」
「おお? お前まぁた抜け出してきたのか?」
「サボり」
狩りに行く準備をしていたヤンナとムンガジの元に、ダールがやって来た。
「あんなの俺がやっても仕方ねぇさ! それより今日も狩りに行こうぜ!」
「はぁ、まぁたミロの姐さんに叱られても知らねぇからな」
「激怒」
「大丈夫大丈夫! 今日も豪華な飯にしたいし、獲物を狩らなきゃ! だろ?」
深いタメ息を吐きながらも、ヤンナとムンガジは立ち上がってダールと一緒に村の出口へと向かう。すると、意外な人物が出口横で壁にもたれていた。
「いよォ、俺も連れてってくれや」
「! ヴァルさん? どうしてここに?」
「ここで待ってりャ、嫌でも誰かに会えんだろ?」
「連れてくって……狩りに着いてきてくれるのですか?」
壁から離れてダールに近付くヴァル。すると肩を組んで細かい事は気にするなというように、そのまま村を出ていくのであった。
「いいじゃねェか? それとも、俺がついてくるのは嫌なのかァ?」
「ハハハ……まさか? ヴァルさんがこういうのはやりたくない側の人だと思っただけさ」
ダールに絡むヴァルを見て、ヤンナとムンガジは顔を合わせてついて行くのであった。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
リヴィアは日々進化するのです。オヤジ化は仕方ないのです!ワキワキ
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