表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Rd end (アールドエンド)  作者: 十画
第三章 魔の歴史
58/216

4 価値観の違い

「魔法が……使えない?」

「ええ……」


 ニコレットとリヴィアの話を聞いて、ちょっと離れた木に寄りかかっていたヴァルも驚いたようにハットから目を覗かせている。


 精霊が存在しないということは、精霊魔術師にとっては致命的なことであった。精霊魔術とは精霊と交信、または契約することで魔術を操る魔術師の事で、火・水・地・風の四属性を操る事が出来る。


 ニコレットの主な魔法は風であり、他の精霊達に比べてかなりの数が存在する。そんな精霊がこんな密林に居らず、他の精霊にも会うことが出来ないのはおかしい。


 さらにモノは試しと魔法を使ってみるが、魔法が発動する事はなかった。


「……ダメね。魔法は使えそうにないわ」


 何度か杖を振っていたニコレットだったが、一向に魔法が出る気配がなく諦める。


「そっかぁ、じゃあ私もダメかなぁ」


 リヴィアは魔法が使えないなら自分もだろうと、試しに魔法を唱える。


光火(ルクイア)


 すると、ブレスレットが光り、手のひらに収まるサイズの火が発現する。


「! これはっ!」

「あれ? 私の魔法は大丈夫みたいね」


 ニコレットは驚愕の目で見ている。リヴィアは予想と違い、魔法が出て拍子抜けといった感じだ。その様子を見ていたヴァル、緑のロボットも驚愕する。


 実はヴァルもニコレットの言葉で魔法が使えないか試してみたが出なかった。それに緑のロボットは魔力の測定値がゼロである事は把握していたので、リヴィアが魔法を出せたことに驚く。


「っな、嬢ちゃん、どうやって魔法を……いャ、それだけじゃねぇ。今の魔法は一体なんだ?」

「ええ?」


 珍しくヴァルがリヴィアに興味を示す。それに驚くリヴィアだが、さらに。


「魔力ナシに魔法を発現するなど、聞いたことがありません。そして今唱えた魔法は私のデータバンクにもない新種の魔法。一体ドコでその魔法を!?」

「え? ええ?」


 緑のロボットも有り得ないとばかりにリヴィアに掴みかかってくる。混乱するリヴィアにニコレットが説明をする。


 魔法とは魔力によって生み出されるが、あくまで魔法を生み出すための燃料であった。術者が魔力の量を調整する事で、魔法の強弱を付けることが可能なのである。


 しかし、魔法自体は別であった。例えば精霊魔術は精霊との関係次第で、格の高い魔法を放つことが可能。そこに魔力を注ぐというモノ。しかし、ここには精霊がいない。何故なら魔力がないからだ。


 魔力は精霊にとって生命の源である。そのため、精霊がいないという事は魔力がないのと同義であり、魔力がないから精霊もいないということなのであった。


「せ、精霊がいないから魔力がないってどういうことなの?」


 精霊に対しての知識が全くないリヴィアが質問する。


「嬢ちゃん、アンタ相当の田舎モンだと思ってはいたが、これは重症だなァ」


 呆れたようにヴァルが答える。


「魔力っつーのは、あらゆる生命から生まれる。木や土やその辺の動物からだってな。そして精霊は特殊な生命から生まれる存在だ。それは神木樹だったり、広大な大地だったり、人智を超えた生物だったりな」


 珍しくヴァルが長々と説明しているので、違和感しかないが、リヴィアにも何となく魔力と精霊の関係が分かってくる。


「つまりだ……、精霊もいねェ、魔力もねェ、こんな何もねェ世界でお前さんは魔法を出したってこった」

「な、なるほど」


 全員が驚いた理由が分かり、納得するリヴィア。


「一応精霊魔術以外ニモ、魔力によって地獄から力を借りる暗黒魔術や、逆に天界の力を借りる聖光魔術。自ら魔力を変換して放出する四元素魔術辺りが主な魔術の分類と言えるデショウ。細かい魔術としては自然魔術や古代魔術……」


 緑のロボット先生が補足してくれるが、途中で聞くのを諦めるリヴィア。とにかく魔力がないと話にならないということだけが分かった。


「困ったわね……魔法が使えないとなると、あんな化け物昆虫のウヨウヨしている森を通り抜けるなんて、とてもじゃないけど無理よ?」


 ニコレットがお手上げといった様子で降参のポーズとっている。


「それで? 嬢ちゃんの魔法はどういったカラクリがあるだァ?」

「か、カラクリと言われても……この魔石に魔力を込めて、封じられた魔法を解き放つだけなのだけど……」


 ヴァルにジロっとした目で見られて、リヴィアが一歩引く。しかし、魔石から魔法が出るのがそんな珍しいのかとリヴィアは疑問に思う。


「魔石だァ? おいおい嬢ちゃんよぉ。そんな冗談通じねェの分かんねぇのか?」


 やれやれといったポーズでヴァルがリヴィアに近づく。


「大体なァ、魔石っつうーのは、伝説の代物なんだよ。そんなもんをおめェさんみたいな田舎の嬢ちゃんが持ってる……わけ……」


 呆れたように喋っていたヴァルだが、リヴィアのブレスレットに目をやって固まる。


「! おめェ、これを何処でっ!?」

「え? こ、これ? 魔石に決まってるじゃないのよ」


 ピジョンブラッドに輝く魔石のブレスレットを見てヴァルが驚くが、リヴィアからしたら当たり前の道具なので、イマイチお互いの話が噛み合わない。


「まさか……本物なの?」

「え、は、はぃ。本物です……けど」


 ニコレットまでも驚いてブレスレットを覗き込む。


「コレは間違いありませんネ。魔石のデータと一致します。それも小さな魔石の複合体のような物と、太陽と同じエネルギーが内包されているようですネ」

「ええ、光球を織り交ぜた魔石の加工アクセよ?」


 緑の鎧が興味深そうにスキャンし、実際のデータと比較している。


「ったく、嬢ちゃんといい、あのボウズといい、めちゃくちゃだな」

「! ……」

「……あっ」


 ニコレットに睨まれ、失言してしまったとヴァルは思い、バツの悪そうにハットで顔を隠す。しかし、リヴィアは顔を上げて言う。


「いいのよ。ラリィは……いえ、私はラリィの分も生きて、必ず魔王を倒すと決めたのよっ! いつまでもクヨクヨしてられないわっ!」


 その瞳には一切の迷いがなかった。ニコレットはその表情に目を潤ませつつ、リヴィアの頭をその豊満な胸に押し付ける。


「もがっ……ふぉっ(ちょ)ふぉっほ(ちょっと)ひほへぇ(ニコ姉)?」

「偉いわね、お姉さんも頑張るから、一緒に倒しましょうね」


 ニコレットは慈愛に満ちた表情と言葉でリヴィアを優しく撫でる。


「けっ……魔王ねェ」


 ヴァルは頭を掻きながら言う。


「あんな化け物、どうやって倒すんだよ? それに過去に来たって一体何すりャいいんだァ?」


 その言葉にピンと来たリヴィアがプハッとニコレットの胸から顔を出して答える。


「そ、そうだわ! 封印っ! 封印された神器を見つけ出して破壊するのよ!」


 ニコレット達はリヴィアの言葉に注目する。


「どこかに魔王の身体を封印した神器があるはずなのっ! それを見つけて破壊すれば魔王は弱体化するはずっ!」


 訴えかけるようにリヴィアが言うが、ヴァルは相変わらずの態度でリヴィアを制止する。


「待て待て、簡単に言うがお前さんはその神器とやらを見たことがあるのか? 大体、そんなもんどうやって見つけるんだァ?」


 つくづく地雷を踏むヴァルにニコレットが不快を示すが、リヴィアは強い表情をヴァルに向けて答える。


「私の国はその封印を解いて滅びた。だから、神器は私が知っているし、私が必ず見つけ出して破壊して見せるわ!」


 その表情と内容で把握したのか、ヴァルがまたバツの悪そうにハットで顔を隠す。雰囲気が重くなる一方なので、ニコレットが空気を変えようと話を振る。


「そういえば、他に何が分かったの? 生体兵器さん?」

「ソウデスネ、もう既に話に出て来ましたが二つ目が魔力がない事。そして三つ目がこのままではあなた方が死んでしまうということでしょうカ?」


 重い雰囲気を変えようとしただけなのに、サラッと危ない言葉が飛び出す。


「え? 今なんて言ったの?」

「デスから、死んでしまいますよ? あなた方が」




 一拍置いて全員が叫ぶ。




「ハァッ!?」


最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

色々混乱されるかもしれませんが、徐々にということで、、、。


良かったら↓評価☆やイイネ↓ポチってね!

✧‧˚\\\\‎٩(*´▽`*)۶////✧‧˚

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング ←ポチッとしてほしいな( *´艸`)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ