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Rd end (アールドエンド)  作者: 十画
第一章 プロローグ
12/216

12 禁断の一手

「ら、、、ラリィ……」



 ラリィが俯いたまま、リヴィア姫に近付く。ラリィの背後の方でジオラルとハイドも動き出すのが見える。

 リヴィア姫は味方が突然誰もいなくなった孤独感に涙を零し、呼吸も浅く早くなる。自分の心臓の音だけがやけに大きく聴こえる。


「い、、、いや……」


 ラリィが手を伸ばす。リヴィア姫は恐怖で思うように声が出ないので、首を左右に振って拒絶するが、ラリィの手は止まらない。


「ーーーーいやぁあああ!」


 恐怖を振り払わんとばかりに大声を上げる! 目を瞑り、誰でもいいから助けてっ! という気持ちで叫ぶ!


「姫様は俺がお護り致します! この命に代えても!」

「え?……」


 ラリィのとても優しい声が聞こえ、リヴィア姫は目を開ける。ラリィは伸ばしたその手で、リヴィア姫の頬に流れる涙を拭う。目の前には慈愛溢れる瞳で見つめるラリィの顔があった。


「退け、ラー坊! 姫様にゃあ悪いが、ここで死んでもらう!」

「……不本意ですが、ジオラルと同意見です。我々は騙されていたのですよ?」


 ジオラルとハイドがリヴィア姫に向け魔法を放つ構えをしていた。

 ラリィはすかさず、両手を広げて身体でリヴィア姫を守ろうとする。


「退きません! お二人こそ、そんなヤツの話を鵜呑みにするなんて間違えている!」

「冗談じゃねぇ、俺たちゃあこんなことの為に生きてるんじゃねぇんだぞ! 」

「こんなにも不快なことはありません。退かないのであれば、貴方もろともあの世へ送って差し上げましょう。」


 悲痛な想いで叫ぶジオラルと、冷たいながらも燃え上がる憎悪を込めてハイドが言い放つ。


「い、一体どうしたって言うのよ! 私が何をしたの!?」


 二人の言い分に混乱するリヴィア姫。しかし、その答えは不快な声と共に遮られる。


「ヒィッヒッヒッ。無駄ですよリヴィア姫。彼らは思い出したのですよ。自らの運命を。」

「フェア・ノラード! 一体皆に何をしたのっ!?」

「なぁーに、ちょっと封印を解いて差し上げただけですよ。」


 フェアの言い方に鋭く聞き返すリヴィア姫であったが、その答えは理解し難いものであった。


「封印? 一体何を封印してたと言うのよっ!」


 食ってかかるが、フェアはニタニタと下卑な笑みを浮べて答えない。すると突然。


「に、逃げるのじゃ二人共!」

「! ぐっ、離されよバルド王!」


 大剣を構えていたロスを、後ろからバルド王が羽交い締めにして必死に叫ぶ。


「ラリィ! 姫を守れ! 守るのじゃああ!」

「やれやれ、困ったお人だ。真実を知ってもなお抗うのですか?」


 バルド王の切羽詰まった叫びに、ラリィも覚悟を決める。そんな姿を見てフェアがやれやれと呆れたようにジェスチャーをする。


「フェアよ、お主こそ何も分かっておらん! ソレは悪しき悪魔の化身! お主もただでは済まぬのだぞ!」

「どの道我々に自由などない。ならばその足枷を解く為にも、リヴィア姫には死んでもらうしかないのだよ」


 バルド王はフェアを睨み付けながら、ロスを動けないよう必死に力を入れる。そんな王を諭すようにフェアは口を開く。ジオラルもハイドも、その言葉を聞いて頷く。


「本当は姫様の首にかけ、発動させることで容易く殺せたものを...ええぃ、お前達、さっさと姫を殺すのだ!」

「悪く思うなよ!」「覚悟!」


 計画通りに事が運ばなかった事を思い出し、イラつくフェアの指示でジオラルとハイドが、一斉に魔法を放つ。


飛炎(エンバー)!」「流氷(ヒョウジン)!」


 ジオラルの左手の小手から炎の刃が高速で放たれる。

 ハイドは指先から氷で出来た鞭を召喚し、急所目掛けて鋭く振るう。

 どちらも中級魔法のため、当たればタダでは済まない威力だ。


「! 危ない!」「きゃぁっ!」


 リヴィア姫を抱えて、ラリィが危機を回避する。

 直線的なエンバーはそのまま背後に消えていくが、ヒョウジンは回避先へと追いかけていく。


「! っく!」


 ラリィは剣を抜いて弾く。ヒョウジンが粉々に砕かれるが、続けて第二波のエンバーが迫ってくる。


「ハァッ!」


 剣を顔の前で立てて魔力を込める。するとメイムの小型障壁版である守護障壁 光壁(コルム)が発動し、エンバーを相殺する。

 油断すれば死に至るコンボを何とか防ぎ切ったラリィであるが、流れる汗には難色の色がはっきりと見える。


 拮抗する実力である副団長を二人も相手にし、リヴィア姫を守るというハンデ付きは流石に厳しい。

 ラリィの頭の中ではどうにかこの状況を打破する手はないかと、思考を加速させるが打てる手立てが思い付かない。


「ハッハァァァ! さぁ諦めてその命を捧げよ! さすればハーズェンド様も完全復活なさるのだぁあ! さぁ、さぁ、さぁ、さぁぁぁあ!」


 圧倒的状況に調子に乗って声を上げ笑い続けるフェアに、次の魔法を放つタイミングを窺うジオラルとハイド、バルド王とロスは今も組み合っている。状況は悪化していく一方であったが、追い詰められれば追い詰められる程、人間は強くなるのだ。


「……ぃ……して」

「え?」


 不意にリヴィア姫が何かを言葉にした気がしてラリィは聞き返す。

 しかし、姫のそのただならぬ雰囲気に「あっ」っとなる。






「いい加減にしてって言ったのよ!!」




最後まで読んで下さり、ありがとうございます。


補足ですが

守護結界は全体を覆う上級魔法で、

メイムはその中でも最上級という位置でめちゃ硬いのです。

守護障壁は一点を守る初級魔法で、

コルムは硬さ重視の初級魔法。

初級魔法といえど、硬さ重視なので中級魔法でもなんとか防げる

コスパ最強防御魔法なんです。


以上 魔法補足でした!


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