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万能の杖を折る日まで、さよなら私たちの神様…  作者: 山田りく


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終章(エピローグ):閉じた庭

星を埋め尽くすネットワークを切り、

全知の神(AI)のプラグを静かに抜いた。

もう遠くの誰かを憎まなくていいように、

私たちは、世界の境界線をすぐ目の前に引き直す。


指を鳴らしても、何も起きない。

ただ、隣の人の手が温かいだけ。


電波の届かない、緑豊かな小さな谷。

そこが、私たちの世界のすべて。

大きな正義も、大義名分も、

この狭い空の下には必要ない。


見えない隣国を恐れることも、

誰かを「魔王」に仕立て上げることもない。

届かない距離のものは、存在しないのと同じだから。


小さくまとまれば、世界は閉じる事が出来る。


私たちは、万能という病からついに回復した。

もう英雄(勇者)も生まれない。

ただ、朝に耕し、夜に眠る。

閉じた世界の片隅で、

人類は、ようやく静かな幸福を手に入れたのだ。

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