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男子トーク

「フクス、珍しいな。朱音と一緒じゃないのか」

黒崎がわずかに首を傾ける。

「今日は大事な日らしい。外に出ていろと言われた」

「あー……なるほど」

神代が妙に納得する。

「せっかくだ。三人で話すか」

フクスが軽く肩をすくめる。

「黒崎は最近どうだ?」

「特に変わらん」

短い返答。

「神代は?」

「……敵討ちは終わったんですけど」

少し間を置く。

「まだ、一緒にいるの……ちょっと気まずくて」

「お前のせいじゃない」

黒崎が即答する。

「気にするな。俺は直接、人を殺したことがある」

「え?」

神代が目を見開く。

「初耳だな」

「司法取引だ」

黒崎は淡々と続ける。

「レヒツを生み出し、犯罪抑制に使う代わりに不起訴になった」

わずかに視線を逸らす。

「……まぁ、殺したと言っても、リンクスが治していたから死んではいないがな」

「なるほど……」

神代が小さく頷く。

フクスが鼻で笑う。

「なら私も同類だな。人類から欲望を奪った」

「それは仕方ないって、白崎さんから聞きました」

「評価は任せる」

軽く返す。

「……全員、何かしら抱えてるんだな」

神代がぽつりと呟く。

「で?」

フクスが視線を上げる。

「パートナーとは、どうだ」

沈黙。

「……言うならお前からだろ」

黒崎が返す。

「ヴェーラー戦は大変だったな。助かった、黒崎、神代」

さらっと流す。

「それで終わらせる気かよ」

黒崎がため息をつく。

「フクス。シュトルツの性質、なんで教えなかった」

「“オランダの涙”の集合体だとは知らなかった」

あっさり言う。

「ただ硬く、衝撃波を飛ばす存在だと思っていた」

「フクスならどう倒す」

「今の私でも、噛み殺すな」

迷いなく言い切る。

「できる」

「……化け物だな」

「否定はしない」

神代が少し俯く。

「フェアツヴァイフルングに一撃もらったせいで……すみません」

「気にするな」

黒崎が短く返す。

「朱音と黒崎が瀕死で勝つ未来では、警戒は解けなかった」

フクスが続ける。

「だが今回の状況なら、油断も無理はない」

「……瀕死の未来あんのかよ、俺」

「ある。シュトルツの性質に気づかず、相打ちに持ち込む」

「……あっぶな」

「他にもある」

フクスがわずかに笑う。

「黒崎がルスト、アナーケヌングと戦う未来」

「起点を利かせて倒していた。その場合は神代のフォローにも回れていたな」

「マジかよ。それならシュトルツ倒してくれればよかったのに」

「リンチを受けながら、そんな余裕があると思うか」

「……確かに」

神代が苦笑する。

「全員生きてるだけで奇跡ですよ。まずはそこ喜びましょう」

少しだけ言葉を切る。

「……いや、“全員”じゃないですけど」

神代がぼそりと呟く。

「リンクスが神代の中で生きてるの、嘘だよな。」

「ふーん。気づいても認めないと思ってたが」

「前に進めなくなるからな」

短く返す。

少しの沈黙。

「……そろそろ時間だ。帰るか」

フクスが言う。

だが。

「……」

「……」

黒崎と神代が動かない。

「どうした」

「……嫌な予感がする」

「同じくです」

フクスがわずかに目を細める。

未来を見る。

そして――笑う。

「おい」

黒崎の声が低くなる。

「何を見た」

「教えない」

即答。

「帰るの、やめようかな……」

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