表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
51/69

惚れさせ屋

「迅くん、おかえり」

玄関に入った瞬間、柔らかい声が落ちてくる。

距離が近い。自然と腕が触れる位置。

(……ハグ、欲しいのか)

「よしよし、いい子」

頭に手が乗る。軽く撫でるだけ。

「今日は疲れたよね」

返事はない。でも、逃げない。

(やっぱりこれ、嫌じゃないんだ)

「ご飯は食べたみたいだね」

一歩引く。様子を見る。

視線だけが、ついてくる。

(……分かりやすいな)

「私はちょっと眠いから、先に寝室行くね」

背を向けて歩き出す。

足音が、ひとつ分増える。

(来るよね)

「……ふぁ、眠い」

振り返ると、ちょうど手が届く距離にいる。

近すぎるくらい。

(完全に待ってる距離)

「迅くん、手冷たいね」

指先に触れて、そのまま引き寄せる。

「ハグして、温まろっか」

抵抗はない。むしろ、わずかに寄る。

(尻尾あったら、今絶対振ってる)

少しだけ、抱く力を強める。

「私、迅くんのこと好きだよ」

間を置かず、続ける。

「見捨てないし」

身体が一瞬だけ強張って、すぐに緩む。

(……嬉しい。でも、まだ全部は信じてない)

「いい子」

また撫でる。今度は少し長めに。

肩の力が、抜ける。

(これが一番効く)

「ずっと側にいるから。離れないよ」

初めての言葉。

反応が、はっきり変わる。

(……今の、かなり効いた)

しばらくそのままにしてから、ふっと視線を外す。

「明日休みだし、何しよっかな」

ほんの少しだけ距離を空ける。

気配が、離れない。

(家にいてほしい、って顔してる)

「友達と遊ぼうかな」

一瞬、空気が沈む。

分かりやすいくらいに。

(……ショック受けてる。可愛い)

小さく笑って、すぐに言い直す。

「やっぱ最近疲れてるし、家でゆっくりしよっかな」

今度は、隠しきれない反応。

身体がわずかに寄る。

(……ほんと分かりやすい)

「じゃあ、一緒にいようか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ