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4-12 過去から今に続く因縁に決着をつけるために

 ――堤三千世の視点から――


 権田原さんに出したメールの答えを待つ間、俺は喫茶店でコーヒーを飲みながらようやく手にいれる事が出来た父さんのノートを読んでいた。


「……………」


 そこには俺が明らかにした真実の他に初めて知る事実もあった。だがそれはどれも最後のメールで答えた犯人の名前が正しいという事を補強するものだった。


 けれどこれが事実ならドン・キホーテのしている事は間違っている。そしてあいつの正体はきっと……。


 プルルルル。


「ッ!」


 そしてようやく権田原さんから返事が来てテーブルの上に置いたスマホが鳴った。もしかしてもう答えが出たのか! 俺はすぐに応答した。


「権田原さん!」

『デカい声を出すな。当時の星鳥大学病院の関係者から話を聞いたらすぐにわかったぞ。息子君の言う通りだった』

「……そう、ですか」


 もしかしたら俺の推理は間違っていたのではないか。俺はそんな事を内心期待していたけど残念ながら正しかったらしい。


『……ああ。俺もかなり驚いている。あの事件の真実はそういう事だったんだな』


 権田原さんも明らかになった真実に愕然としていた様だ。世間を震撼させた穂久佐村連続幼女殺人事件の真実がこんなくだらないオチだっただなんてきっと誰も想像していなかっただろうから。


「権田原さん。俺はドン・キホーテを止めます。そしてこの真実を伝えます」

『止めても君の事だから聞かないんだろうな』


 俺は権田原さんに自分の想いを伝えると彼はすぐに承諾し、続けて彼はこうも言ってくれる。


『烏丸が行方不明になった。四人目の犠牲者の動画でも言っていたし次に殺されるとするなら彼だろう』

「ええ。ではすぐに向かいます!」

『ああ。死ぬんじゃないぞ!』


 最後に権田原さんからエールを貰い、俺はコーヒーを一気に飲んで会計を済ませて店を飛び出た。


 ドン・キホーテは今どこにいる。早くしなければ烏丸が殺されてしまう。これ以上彼女に罪を重ねさせるわけにはいかないのに!


(そうだ、確か四人目の動画でドン・キホーテは……)


 ――光が消えた偽りの空の下で待っているぞ、あいつはそう言っていた。


 穂久佐村連続幼女殺人事件に関連しなおかつその言葉が指し示す場所。きっとあそこしかないだろう。


 その場所はあの事件の発端となり、かつて荻野弘が勤務し荻野キホにとって強い想い入れのある天文台のアストラルパークしかない!


 俺はタクシーを捕まえ急いでアストラルパークへと向かった。


 全ての真実を明らかにして、このあまりにもくだらないドン・キホーテの旅路の様な滑稽劇を終わらせるために。

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