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捏造探偵~ドン・キホーテの大罪~その探偵は真実を葬り偽りの罪を作り出す【完結】  作者: 高山路麒


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4-11 真相に辿り着けなかったドン・キホーテ

 そして、ドン・キホーテはその人物を迎えるためにエントランスへ移動した。


「ようやく会えたな、ドン・キホーテ」


 自分がエントランスに到着すると烏丸は既に到着していた。これから殺されるというのにその立ち振る舞いは泰然自若としており自分と同じように何も恐れていないように思えた。


「待ちわびたぞ烏丸。しかし意外だな、本当に一人で来るとは」

「君が一人で来いと言ったのだろう。罪を暴かれたくなければ一人で来いと。別に私個人が裁かれる分には問題ないがその場合は組織に迷惑が掛かる。私の様な権力の傀儡にとって組織というものは自分の命よりも優先すべき存在なのだ」


 彼はそう自嘲し、自らの死ですらも意に介さない烏丸の態度にドン・キホーテは怯んでしまった。


 流石は騎士道物語の最後に待ち受ける巨悪の魔王、惚れ惚れするまでに豪胆だ。こちらはマスケット銃を持っていてどう考えても有利なはずなのに。


 正直約束を破って大勢で来る事を予想しその準備もしていたのだが別に無駄になっても問題ないだろう。自分としても直接あの事件と関係のない警察官を殺すのは躊躇があったのでむしろ好都合だった。


「私を殺すのは別に構わない。私は殺されて当然の外道だからとっくに覚悟は出来ている。だがその前に教えてくれないか? 君が辿り着いた真実を」

「フン、時間稼ぎのつもりか。まあいい」


 烏丸の提案にドン・キホーテは応じる。別に付き合う義理はないが冥途の土産に罪を暴かれ落胆する顔を見るのもいいだろう。


「穂久佐村連続幼女殺人事件が発生した時、不動代議士の親族が容疑者候補に挙がった。だがそれはお前たちにとって好ましくない事態だった。お前は彼を庇うために証拠の捏造を指示し萩野弘に罪を擦り付けたのだ」

「……ん? それで終わりか?」


 だがそれは烏丸にとっては拍子抜けする答えだったらしい。長引かせると増援が来る恐れがあり、時間をあまりかけたくないので詳細な部分は省いたがそれが不満だったというのか。


「ククッ! ハハッ!」

「何がおかしい!」


 そして烏丸は大笑いした。ドン・キホーテはその行為の意味が理解出来ず混乱してしまう。


「いやなに、私と似たような答えだったのかと思ってな。だがそれは違う。どうやら君も真実に辿り着く事は出来なかったらしい。もしかしたら真実を知る事が出来ると思って楽しみにしていたのだが残念だよ」

「戯言を! この期に及んでまだ誤魔化すかッ!」


 烏丸は今何を言った。自分が辿り着いたその真実が間違っていると言ったのか。ドン・キホーテは激しく動揺してしまう。


 だがドン・キホーテはすぐに冷静になった。落ち着け、これは烏丸の作戦だ。この真実は正しい。正しいはずだ、間違っているはずがない!


「もういい、貴様の弁明は聞きたくない。これで終わりだ!」


 ドン・キホーテはマスケット銃の銃口を烏丸に向ける。自分の心の平穏を保つためにも今すぐこの男を黙らせなければ!


「だから違うのだが……仕方ない、向こうで堤君にでも答えを聞くか」


 烏丸は最後の最後まで不満そうだった。だがどういうわけか彼は避けようともせず喜んで迫りくる死を受け入れたのだ。


 バンッ――!


 そして古びたマスケット銃から鉛玉が放たれドン・キホーテはようやく仇敵への復讐を果たした。


 だが元々骨董品だったマスケット銃は火薬の威力に耐え切れず最後の役目を終えると同時に無残に壊れてしまった。


 自分は間違っていない。正しい選択をしたはずだ。


 なのにどうしてこんなにも手が震えるのだ――!

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