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捏造探偵~ドン・キホーテの大罪~その探偵は真実を葬り偽りの罪を作り出す【完結】  作者: 高山路麒


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3-5 謎に包まれた真矢の経歴

 真矢の運転に不安はあったが実際に運転してみるとどうという事は無く普通程度に上手だった。どうやらちゃんと免許自体は本物の様で安心したよ。


 白波が立つ日本海を眺めながら人の少ない山陰の静かな道路を自由気ままに走り、俺達は二時間ちょっとで島根の真ん中らへんにある道の駅にやって来た。


 俺達はそこで小休憩を取り疲れを癒し一旦別行動をする。ここは海鮮たこ焼きが名物らしいので俺は早速それを購入して食べる事にした。


 はふ、はふっ。俺は熱々のタコ焼きを口の中で冷ましながら食べていた。


 一パック六個入りのタコ焼きはかなり大きくトロトロ系に分類される。カリカリは少なめだが出汁が効いた生地は実にクリーミーだったよ。


 中に入っている大ぶりのホタテも咀嚼するごとに旨味を感じなかなか満足感がある。うん、これは当たりの店だったな。後で真矢に薦めてもいいかも。


「ん」

「うまうまー」


 しかし俺は少し離れた場所で仲良くタコ焼きを食べているガリデブコンビを発見してしまう。


 何故あいつらがここに? 取りあえずタコ焼きを食ってから話しかけるか。


「はふっ、はふっ」


 俺は急いで口の中のタコ焼きを飲み込んで鳥取県警の茶町と西品治に近付いた。流石に向こうも俺の視線には気付いていた様で特に動揺している様子はなかったよ。


「おう」

「やあ」

「うっす。じゃない、お前ら何してんだ? 何となく尾行している事はわかるけど」


 二人はまるで友人と出先でばったり出会ったかのように気さくに挨拶をし、尾行対象に話しかけられたというのにやはりこれといったリアクションはしなかった。


「いいや、別に俺たちは普通にプライベートで来ているだけさ。気にせずそっちもドライブデートを楽しみな」


 茶町はへらへら笑いながらそう茶化す。という事は彼の言う通りやはり仕事で来ているわけではないのだろうか。いや、流石にそんなわけがないだろう。


「まさかまだ俺を疑っているのか? 潔白はお前たちが証明してくれたはずだが」

「ああ、お前はな」

「もぐもぐ」


 だが彼が少し敵意を感じさせる眼差しになると西品治は気まずそうな顔になってしまう。そんな状況でもちゃっかりタコ焼きを食べていたけどな。


「確かにお前への疑いはほぼ晴れたし警務部長もそう思っている。だがあの女は違う。お前もその辺はわかっているんだろう?」

「さあな」


 俺はとぼけるがあの女とはもちろん真矢の事だろう。味方である俺が完全に彼女の事を信じられていないのだから当然二人は疑っていた様だ。


「寺町真矢。軽く調べたがあいつの経歴は謎しかないんだよ。戸籍は偽造されて本当の名前も出身地も不明、幼少期のデータもない。あいつの全ては嘘っぱちなんだよ。それでいて穂久佐村連続幼女殺人事件に強い想い入れがある……そりゃまあ誰だって怪しいと思うさ」

「……………」


 俺はそれに対して何一つとして反論出来なかった。何故なら俺は本当の彼女の事を何一つ知らなかったからだ。


「お前はどうなんだ、ええ? あいつの事を心の底から信じられるのか?」


 やはり茶町は軽薄な様に見えてあの権田原さんの部下だ。どうすれば相手を揺さぶる事が出来るのかよく理解しているらしい。


 けれどその程度で揺らぐほど俺もまたヤワではなかった。


「俺は真矢を信じている。理由は特にない。あるとすれば真矢だからだ」


 だから俺は自信をもって答えた。何故なら孤独を救ってくれた彼女はもう俺にとって特別な存在になっていたからだ。それがたとえ妄信だとしても……。


「はは、なんつー無理矢理な理屈だよ。お前いつか結婚詐欺に引っかかるぞ?」


 茶町はその零点にも等しい解答に呆れてしまった。俺の理屈はなんら根拠のないものだからそれも当然だ。けどこいつに馬鹿にされるのはなんか腹立つな。


「ねえ茶町、それ君が言う? 君だってちょっと前に引っかかったはずなのに」

「うるせ! 途中で上手くいかなくて別れただけだ!」


 しかし彼の過去を知っていた西品治はぷくく、と笑ってしまう。まあ茶町はアホでピュアっぽいしそういう事があったと聞いても別に驚かないけど。


「とにかくだ! 忠告はしたからな!」

「へいへい」

「じゃーねー」


 茶町は羞恥のあまり逃げる様に去っていった。


 やれやれ、無駄な時間を過ごしてしまったな。タコ焼きが冷めちゃうしさっさと食わないと。


「あれ、タコ焼き買ったんだ」

「ん? おう」


 元の場所に移動すると俺は買い物から戻って来た真矢と再会する。彼女は気に入ったものがあったらしく小さなレジ袋を右手に携えていた。


「お前も食うか?」

「じゃ一つだけ。う~ん、これはなかなか」


 俺は真矢にエビ入りの奴を食わせる。丁度いい感じの温度になっていたので彼女は一番食べやすい状態で食べる事が出来、その味にとても満足そうな笑顔をしていた。


 ……そうだよな、こんな無邪気な顔をする奴が凶悪犯なわけがない。少なくとも俺だけは最後の最後まで彼女を信じてやらないと。

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