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2-17 稲子編二日目の朝

 ドキドキする一夜が明け、稲子編二日目の朝。俺たちは朝食のバイキングを食べた後軽くホテルのロビーで作戦会議をしていた。


「それで? 今日はどうするんだ?」

「今日は元検察官の今在家から話を聞いてみようかなと。ただ昨日のあれじゃあ簡単には聞く耳を持ってくれないだろうね」

「だよなあ」


 俺は昨日の元検察官、現在ホームレスの今在家の態度を思い出した。自販機で小銭を荒らし見ただけで罵声をあげながら空き缶を投げてくるアグレッシブな人だったから話を聞くには一工夫必要だろう。


「ま、一応作戦は考えてるんだけどね。君は特にする事がないから指示があるまで観光していていいよ」

「……その作戦は倫理的に問題があるタイプのアレか?」


 しかし真矢には妙案があった様だ。そしてそれがろくでもない事なのは容易に想像が出来たので俺はまずその予感が事実かどうか確認をする。


「アウトかセーフならまあまあアウトだね」

「なら駄目だ。俺の目の黒いうちは元警察官としてお前の悪行を許すわけにはいかない」


 そしてやはり彼女は妙な事を企んでいた様なので俺は事前に釘を刺しておいた。結局仲良くなってもこいつは悪徳探偵なので油断も隙もないらしい。


「けちんぼ。元警察官って無職のくせに。まあいいや、じゃあ時間はかかるけどセーフな奴にしようかな。行くよ、君のせいで結構歩く事になるけど」

「俺はそれでも構わないぞ、犯罪が未然に防げるなら安いものだ」


 俺の説得により真矢は考えを改めその意見を受け入れてくれた。それじゃあ早速警察時代を思い出しつつ街を歩いてみよう。歩くのには慣れているからなんら苦ではないし。


 ビジネスホテルを出た俺は真矢の後を追って歩く。だが俺はどこに行くのか聞いていなかったのでまずは目的地を聞く事にした。


「なあ真矢、」

「尾行されている。振り向くな。細い奴と太った奴だ」

「っ」


 しかし真矢はホテルを出てすぐそんな事を言ったので俺は身構えてしまった。だが変に怪しい動きをするわけにはいかないので俺は出来る限り自然に振る舞いながら小声で尋ねた。


「尾行されている? 俺たちが? なんで」

「多分乙亥正の殺害に関してじゃないかな。僕らは彼と死ぬ間際に出会って揉めていた。特に君は週刊誌に書かれて殺害する動機もあるし疑われているのかもね。おまけにドン・キホーテ事件と連動している連続幼女殺人事件の真相を調べていて最初の犠牲者の更家警視とも因縁があるし誰だって怪しいって思うよ」

「うげ、マジかあ」


 俺はがっくりと項垂れてしまう。つまり捕まったら最後ネチネチと長期間取り調べをされるに違いない。警察の取り調べのしつこさをよく知っていた俺は落ち込まずにはいられなかった。


「走って逃げたら怪しまれる。ここは自然に撒こう」

「わかった」


 だが避けられるものなら出来ればそれは避けたい。俺は真矢の指示通り警察から逃げる事にした。警察がそんな簡単に諦めるはずもないし結局時間稼ぎにしかならないとは思うが……。

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