表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捏造探偵~ドン・キホーテの大罪~その探偵は真実を葬り偽りの罪を作り出す【完結】  作者: 高山路麒


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/79

2-18 マンションでの殺人事件

 俺と真矢は警察の尾行を撒くため稲子の市街地を歩き回る。当初の目的とは違うが偶然にも彼女が言ったとおり歩き回る羽目になったよ。


「こんなところも通るのか?」

「黙ってついてきなよ」


 店に入って裏口から出て、入り組んだ細い路地で上手い具合に撹乱し、真矢はものの見事に尾行を撒いてくれた。


「お前初めてじゃないだろ、撒くの」

「探偵ですから」

「探偵は尾行する事はあっても尾行される事はないと思うが」


 ニヤリと笑う真矢の笑顔に俺はそこはかとなく恐ろしさを感じてしまったが、追及すると確実に面倒くさそうな事になりそうなので俺はつつかない事にした。


「って、ここは」


 しばらく歩いていると俺はいつの間にか古豊千さんの住むマンションの近くにやって来た。一体どういうルートを通ったのか全く覚えていなかったけども。


「古豊千さんのマンションだね。でも今は特に用事はないし先を急ごう」

「だな」


 しかしだからといってどうという話でもない。俺達はまた警察官が来る前に素通りしてその場をさっさと離れようとした。けれど――。


「ッ!?」


 ふとマンションのエレベーターホールを見た時そこに倒れた人としゃがんで何かをしている人がいた。俺は反射的に立ち止まりその人物を見てしまう。


「ッ!」

「おや」


 しゃがんでいた人物はなんと探していた今在家だった。彼は倒れた人間のポケットから財布を抜き取っていた様だ。だが今在家も俺たちの存在に気付いて慌てて逃げ出してしまう!


「待て!」


 俺は追いかけようとしたが外に出た時入り口の近くの茂みで何かをしていた真矢を発見してしまった。彼女は玉砂利を踏みながらなにやら怪しい動きをしていたので俺はこちらも気になって足を止めてしまった。


「っておい、お前も何をやっているんだ!」

「あ、僕の事は気にしなくていいよ。彼を追いかけたいなら好きにするといい。でもその前に君が警察に捕まらない様にね」

「くッ!」


 しかし彼女の忠告で俺もまたお尋ね者であった事を思い出してしまった。たとえ彼を現行犯で捕まえて警察に突き出したとしても、きっと俺もまたそのまま更家と乙亥正殺しで任意同行という名の犯人である事を前提にした取り調べを強制的にされてしまうのだろう。


「ふむ、これはもうすぐ死ぬから助けるのは無理っぽいね。じゃぬりぬり~」

「だからお前はまたどさくさに紛れて何をしているんだ!」

「気にしないで。僕は特製の筆で被害者の血で宅配ボックスにお絵描きをしているだけだから。ああ、ちゃんと適当な所で僕は逃げるから安心してね」


 けれど今度は建物の中に移動して確実に良からぬ事をしている真矢も放置するわけにはいかない。どちらも見逃せないがどうすればいい!?


「頃合いか。じゃ君も上手くやってね」

「あ、おい!」


 だが二兎を追う者は一兎をも得ず、真矢も俺たちが入ってきた場所とは違う方向から逃げる事を選択してその場から去ってしまう。俺は迷っているうちに結局二人とも逃がしてしまったのだ。


「ったく!」


 仕方がない、俺も逃げるか――だが外に出た時そこには二人組の警察官がいた。俺は直接見ていないがそれは先ほど真矢が話していたやせ型と肥満体系の二人組だった。


「あ、えーと」

「ふーむ。よくわからんが俺とこいつとどっちと戦いたい?」


 ひと目でこのただならぬ状況を把握したガリ警官はそういう変装なのだろうがチャラチャラした見た目でチンピラっぽい。勝手な偏見だがあいつは元ヤン上がりなのだろう。


「じゃ弱そうなデブのほうで」


 対してもう片方のデブ警官は温厚そうで実にのろまそうだ。うん、もちろんデブ一択だな。


「うん? 僕? いいけど」

「じゃ失礼します!」


 だがもちろん俺は殴る事はしない。相手がデブなら普通に走って逃げればいいだけなのだから。


 ヒュン!


「ってあら?」


 だが彼の隣を横切った瞬間俺の視界がぐるんと一回転して勢いよくマンションの床に叩きつけられてしまった。


「痛て……何でデブがこんなに早く動けるんだよ……!」

「自分学生時代に相撲をやっていて一応全国大会で三位になった事もあるんです。デブだからのろまだと思いました? ほら、立ってください。服が汚れちゃいますよ」

「立つから立つから。もっと優しく起こしてくれよ」

「自分はスパルタなデブですから」


 全身の痛みで動けない俺をデブ警官は微笑みながら無理矢理立たせる。優しい様に見えて結構なドSである。


 デブ警官が実力者である事は一瞬でわかった。何故なら彼は痛みだけ与えて大怪我をしない様上手に投げてくれたからだ。


 こんな実力者相手では立ち上がって喧嘩しても何も出来ずにコテンパンにされる結末は目に見えている。痛みと圧倒的な強さで戦意を喪失した俺は何かを言われる前に無駄な抵抗を諦めて大人しくお縄につく事に決めたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ