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Web小説デビュー  作者: (こちらでは)名無しの物書き
最後のご挨拶
21/21

小説家デビューする時

 

 最後になりましたが、貴方がもし、人気作を得た時には?



 これ、本当はもっと前の方で書くべきだったかもしれません。


 書いていると、次々に「これも書いておきたいな」と思いついてしまうので、やむなく今、書いておきます。

 なにかの間違いで本になることがあれば、その時は前の方に項目を移動しておきますが、現状、特にそういう予定はないので、間奏という形で挿入します。

 ご容赦を。


 

 さて、本題です。

 タイトル通りですが、貴方がどこかの小説サイトで、仮に「出版するに相応しいほどの人気を得た」としましょう。

 しかも、無事にシリーズ化され、幸運にも数巻程度続いたとします。

 とはいえ、二桁巻以上シリーズが続くということが滅多にない以上、終わりはいずれ、やってきます。


 本来なら、シリーズが終われば「また、なろうでがんばってねぇ」となりがちですが、さらに幸運なことに、「君、センスも才能もあるから、また新作頼むよ?」と出版社から依頼されたとします。

 ……て、ここまでの前提で、既にだいぶ少ない可能性になっちゃうんですが、まあ今は仮の話なので、強引に話を進めましょう。


 新たな物語を始めるチャンスを与えられた!

 

 これは掛け値なしに現在のライトノベル業界、いえ、下手すると出版業界全体においては、超幸運なことと言ってもいいかもしれません。

 特にwebからデビューした人達にとっては。

 なにしろ現在の業界を見渡すと、(web発以外だと)なかなか長命シリーズというのがありません。むしろ、二巻を出すのでさえ、結構高いハードルになってたりします。


 十巻以上となると、ガクッと割合が下がるでしょう。

 もちろん、長命シリーズだってあるところにはあるんですが、ほとんどが有名タイトルになってしまうのが現状です。

 webから出た人気作だと、規定路線ということで、原稿があるところまで出してもらえることもありますけどね……それ以外だと、割と厳しい戦いになってしまいます。




 やや話が逸れますが――。

 仮にホームランがベストセラークラスで、ヒットが「黒字でした!」クラス、それにファールは「採算ギリギリの売れ行き」だとします。三振は書かなくてもわかるでしょうから、あえて書きません。

 この例えを当てはめていいのかどうかわかりませんが、私はかなり以前、さる編集さんからこう言われたことがあります。


「バッターボックスに何度も立つ機会がありながら、三振ばかりだと……ちょっと信頼できないですねぇ」


 当時はまだなんとか売れていたので、私のことではなく、一般論の話ですが(まあそう思っておきます)、結論として「だから、チャンスには限りがあるんですよ!」と仰りたいのだと思います。

 実際、当時はまだそんなに厳しい状況ではなかったですが、さすがに何度も続けて三振――つまり赤字ラインだと、非常にヤバいということです。 

 ヤバいというか、普通に出せなくなりますね……。


 あえて回り道して、盛大に脅してすいません。

 しかし前提として、今はそういう厳しい状況なんだとわかって頂きたかったので。

 本題に戻ると、もし貴方にセカンドチャンスが来た場合、「よし、今こそ新たなジャンルに挑戦する時!」と勇み、挑戦したくなるかもしれません。

 私は実際、そうなりました。


 そして、見事に新ジャンルに挑んで……まあ、後はわかりますね。




 この苦い経験を、貴方には繰り返してほしくありません。

 チャンスの女神は前髪しかないとよく言いますが、実際、これは本当かもしれないんです。

 限りあるチャンスを最大限に活かすためにも、セカンドチャンスを得た時に、以下のことを考えてみてください。


 貴方の処女作が成功を収めたのなら、しばらく同じやり方を試みた方がいいです!


 ファンタジーで、しかもその中のあるネタで幸運にも売れた……それなら、次作も大幅に変えるよりは、多少、前作を意識してください。

 全く同じにしろというのではないですよ。ただ、売れた前作を意識してほしいなと。

 ひょっとすると、貴方は自ら意識しないまま、金鉱を掘り当てているのかもしれません。

 前作が大ヒットであったのなら、なおさら次作で大幅な進路変更はするべきではありません。

 それをするのは、貴方が作家として揺るぎない人気を得てからでも、十分、間に合います。


 もちろん、「俺は(あたしは)そんなショボいこと考えず、常に新たなジャンルに挑戦する!」という決意なら、私の忠告など無視してくださっていいです。

 でも、「自分はプロとして、できるだけ長く活躍したいんだ」という覚悟がおありなら……ぜひ、このことを意識して欲しいんです。


 金鉱は、そこら中に転がっているわけじゃありません。

 滅多に見つからないこそ、みんなが目の色を変えるわけです。それどころか、下手をするとその同じ金鉱に、書き手の多くが飛びつきます。

 逆に言えば、売れたネタにはそれだけの値打ちがあるのです。


 ワンパターンと言いながら、時代劇のあるジャンルだって、嘘みたいに長くシリーズが続きます。それはまぎれもなく、その作品にそれだけ魅力があるからなんですね。

 だから、自分の武器を手放す前に、少し考えてみましょうね。


 新たなジャンルに挑戦するのもいいですが、「自分は今、紛れもなく強力な武器を手にしている。ならば、それを活かすことを考えよう」という方向で悩むのも、一つのやり方だと思います。

 言うまでもなく、貴方が元からそのジャンルが好きなら、さらにいいですね!



 どうか念願叶い、貴方のデビューが上手くいきますように。


一応、こちらではここで最後としておきます。


ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。

どうやら、最後まで名無しの物書きで終われそうですね。


それで、最後の最後に念押ししておきますが、くれぐれもデビュー時は慎重に会社を選んでください。そう、なるべくなら貴方が選べるほど人気を得ていることが好ましいです。

「とにかくデビューすりゃいいや」ということで、条件の悪いところで妥協するのは、後に続く人のためにも、避けましょう。

それに、金銭面でも倍以上の違いがあるのも、珍しくありませんし。

慎重になるに越したことはありません。


がんばりましょうね。


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