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片思いの先に、、、  作者: 犬飼 蘭
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第4話 転入生


あのまま立ち止まっているわけにもいかず、なんとか歩きだした。が、頭の中は、あのひよこのネックレスをつけていた子の事でいっぱい。

 12年も前の物を大切そうに身に付けていた、、、。もし、あの子が桃華で、私がプレゼントしたひよこのネックレスだったら、、、。凄く嬉しい。けど、、、私を見ても、初めて会ったような反応だった、、、。12年も経っているし、わからなかった、、、?それに、記憶の中の桃華は黒髪だけど、あの子は栗色の髪だった。 

 、、、どっちにしろ、これから一緒の学校なんだし、そのうちわかるよね、、、?そう思いながら、私は学校の校門をくぐった。


 始業時間が近づき、まばらだったクラスメイトがだんだんと集まってくる。

「おはよ~」

「おはよ~。一緒のクラスになれるといいね!」

という会話がちらほら聞こえてくる。

この学校は朝、1年生の時のクラスで集合し、そこで、クラス発表がされる。そして、新しいクラスに集合してホームルームを行い、課題提出や自己紹介などを行う。お昼を挟んで、眠たい時間に始業式を行い解散する流れだ。

 同じ部活の綾香は何故だか私に懐いてくる。

「紗季と一緒のクラスがいいなぁ~」

「どうせ、また一緒じゃない?同じ理系なんだから」

「もぅっ。紗季が理系にするって言ったから、私も理系にしたんだよ~!?」

「綾香が勝手にそうしたんでしょ?」

「紗季が冷たい~。」

冷たいと思うなら、ここまでして一緒にいなくてもいいと思う、、、。私たちが話をしていると、

「ほら、席つけー!」

先生が来た。

「やばっ、、、じゃぁ、またね!!」

そう言って、綾香は自分の席に戻っていった。


 「全員いるなー?それじゃ、待ちに待ったクラス発表だぞー!」

先生の発言にクラスがざわつく。

「じゃぁ、1組のやつからいくぞー?、、、」

先生が名前を呼び始める。

「次はー6組いくぞー?、、、」

6組で私と綾香の名前が呼ばれた。

「やったー!紗季、一緒だね!♪」

そう言って私の方を向く綾香。

6組の発表が終わると、他のクラスの時よりも歓声が大きかった。

(、、、?みんな、そんなに6組がよかったのかな?私にはよさがわからない。)


 全部で7クラスある発表も終わり、ぞろぞろと教室移動する。


 私の横には、綾香がべったりくっついている。

「紗季と一緒で、ちょー嬉しい!」

「そう?私と一緒で嬉しいなんて思うのは綾香ぐらいだよ?」

「そうかなー?」

話をしていると、新しい教室に着いた。


 新しい席に着き、荷物を整えていると、なんだか、クラスの人がちらちらとこちらを見てくる、、、?と、綾香が荷物の整理が終わったのか、こちらに近づいて来る。すると、視線は感じなくなった。

(私の気のせいだったのかな?)

私と綾香は他愛もないかいわをする。と、言っても綾香の一方的な会話なのだが、、、。

「あっ、、、先生来ちゃうから、また後でね!」

そう言って去っていく綾香。その綾香が、「紗季を見てんじゃねーよ」と、言っていたことを私は知らない。


 しばらくして、先生が入って来た。

「あー。初めましてとそうじゃないやつもいるが、このクラスの担任の牧野だ。1年間、頼むぞー。」

そう言う担任は体育教師の牧野先生だった。

「えー。みんなに紹介する人がいる。入って!」

クラスがざわつく。

教室のドアから入って来た人を私は知っている。今朝、私の前で転んだ子。ひよこのネックレスを付けている子、、、。

「えっと、、、。橋本 桃華です。、、、転校してきました。よろしくお願いします!」

勢いよく頭を下げるその子の名前は、、、桃華、、、。


「、、、やっぱり、桃華だったんだ、、、」


私の初恋の人と同じ名前、、、。

だけど、、、名字が違う、、、。

初恋の人の名前は、青山 桃華。

それに、髪の色も違うし、なにより、私と初対面のように振る舞った桃華、、、。だけど、、、ひよこのネックレスを身に付けている、、、。


「貴方は、、、いったい誰なの?」


転入生、それも、小さくて可愛らしい子に色めき立つ教室。そんな、騒がしい教室に、私の呟きは溶けていった。



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