第3話 ひよこのネックレス
結局、春休みの間に何度か海に行った。また、会えるのでは?と期待していたが、あの少女に会うことはなかった。
「もう一度、色鮮やかな世界を見たかったのに、、、」
自然と声がもれた。それほど会いたかったのだと気がつき、自分自身で困惑する。が、今日はゆっくりとしている暇はない。今日から学校のため、始業式がある。遅れるわけにはいかない。急いで、ブレザーの袖に腕を通し、ネクタイを結び、リビングに向かう。
リビングの椅子に座り、朝ご飯のトーストを食べていると、母親に「紗季も今日から2年生ね~」と声をかけられた。
「うん。そうだね。ごめんね、急いでるから、、、」
母親と話すと長くなる。いつもよりゆっくりしていたせいで、今日は時間がない。そのため、適当に返事をして、席を立ち、スクールバックを片手に家を出る。
学校までは電車で4駅、約20分乗り、そこから歩いて約10分くらいかかる。
電車を降り、学校に向かって歩く。5分ほど歩いただろうか?
「あれは、、、」
気になる後ろ姿を見つける。春休みに海で見かけた、あの子だ。その子の周りだけが色鮮やかに見える。が、あの子はこの学校の生徒ではない。春休みに撮った写真を部員に見せて確認したが、あの子を知っている部員はいなかった。しかし、私と同じ制服姿で歩いている。1年生なのかとも思ったが、違う。入学式は明日。今日、1年生がここにいるはずがない。では、何故??疑問だ。考えながら歩いていたせいか、気がつくとあの子のすぐ後ろを歩いていた。
「あっ、、、!!痛っ、、、!!」
目の前の子が転んだ。それも派手に、、、。その子の荷物が辺りに散らばる。
(えっ、、、。ここ、なにもないけど、、、。)そう言いかけた言葉をなんとか押さえる。
「大丈夫ですか?」
目の前で転ばれて、荷物を散らかしているのに、そのまま横を通りすぎることもできない。
そう言いながら、その子の荷物をまとめる。
「すみません!ありがとうございます!」
元気に答える女の子。
「それより、膝、大丈夫?」
私は言いながら、その子の膝を指差す。その子の膝には赤い血が滲んでいる。
「、、、膝、、、??、、、痛い、、、です、、、。」
少し涙目になりながら答える。
私に指摘されてから気がついたらしい。
「よかったら、使って?」
絆創膏を手渡す。靴擦れのためにいつも持ち歩いているのが、役立った。
「ありがとうございす!私、転校してきて、、、不安だったんです。けど、優しい貴方と出会えたので、もう大丈夫です!同じクラスになれるといいんですけど、、、。」
笑顔になったり、暗い顔になっあり、表情がコロコロ変わる可愛らしい子。
「あの、本当にありがとうございました!私、校長先生のとこに行かないといけないので、、、失礼します!」
そう言ってお辞儀をすると、
ーーチャリン
と音をたてて、ブラウスの間からネックレスが顔をだす。少し古ぼけたひよこのネックレス。
「えっ、、、」
その子は、呆然としている私をその場に残し歩き出していた。
「桃華、、、」
私はその後ろ姿を見つめながら幼い頃に離れた初恋の人の名前を呼ぶ。
あの子が身に付けていたネックレス。それは、私が桃華と別れる時に母に頼んで買ってもらったネックレスと同じものだった。私が桃華にプレゼントしたひよこのネックレス。
「、、、桃華なの?」
私の呟くような問いに答える人はいない。ただ、春の風が桜の木とじゃれている。
第3話 ひよこのネックレス です。
私自身、この投稿ペースに驚いています(笑)
もう少しゆっくりしたペースの投稿になると思っていました、、、(・д・)
つたないなりに頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m
犬飼 蘭




