桜花の奇跡
ステファン編 最終話です ステファン視点
ステファン視点
月の光に照らされた、薬草学作業所の調合室の奥に到着した。
扉の鍵をグレナさんが差し込むと扉から光を放たれギギギっと扉が開いた。
部屋の奥の箱から淡い桜色の光が漏れ出していた。
ロリアさんから受け渡された薬箱の鍵を差し込むと、カチャンっという音が部屋の中に鳴り響いた。
箱を開けると桜色の薬瓶がふたつとレシピと思われる羊皮紙が二枚入っていた。
「薬瓶が二つしかないでしょう…実は残りの二つはファウト様とステラ様がなくなられた時に消えてしまったの…」
ロリアさんがそう言った。
愛する人だけの為に作られた薬というのは本当だったのだ。
母上が込めた魔法の不思議さを、改めて感じた。
俺は、薬瓶を手にした。
手にした途端、ドクンと心臓が大きく脈打った。
思い切って薬を飲んだ
薬はほんのり甘い… 液体が体中の細胞に共鳴しながら行き渡っていくのを感じる。
淡い桜色の光に包まれている
「ステファン… ステファン… 」
両親の声だろうか…
名前を呼ぶ声がする…
「ステファン…優しくそして強くなれ 愛してるぞ ステファン 」
「ステファン…愛してる…お願いどうか幸せになって… 」
微笑みながら寄り添って俺を抱きしめる両親の姿が浮かんで消えた
父上、母上… きっと… そのあとの言葉は…
願いをかなえたその時に伝えます。
ふっと、桜色の光が消えた。
周りを見ると 窓から月の明かりが差し込む保管庫
目の前には、ユリアスとルーカスだけしかいなかった。
「あれ?みんなは・・? 」
口から零れた声は低くなっていった。
「あ・・・元に戻ったのか? 」
「ああ、戻ったよ! 本当によかった! 」
ユリアスが何とも言えない顔で笑う
「とりあえず、これ着てください。
念のため持ってきてよかった 」
「え?着る 」
自分の姿を見たら体が大きくなり、小さな服はビリビリに裂けてしまっていた
「ぐっ・・・・そういう事か・・・」
身体が変化し、女性陣は慌てて外に出てくれたようだ。
恥ずかしくて仕方ないのだが・・・
でも、今は、両親の愛情を初めて感じられた喜びの方が大きかった
着替えが終わり
羊皮紙のレシピを持つと文字が浮かびあがった。
その時、アリシア達がユリアスに声を掛けられ部屋に入ってきた途端
レシピから桜色の四つの光が、アリシア、ルナティア、ジェシア、そしてグリナさんの中に入っていた。
四人は驚いていた。光がすべて彼女の中に入り切ったように消えた
「今、私の意識の中に『桜花の奇跡』と『氷華の奇跡』のレシピが刻み込まれた」とルナティアが呟いた。
どうやら、レシピはこの四人に薬を託すと決めたようだ。
ロッジへと帰る月明りのレンガの引き詰められた道を、歩いていく
見慣れた景色が、まったく違うものに感じる。
久しぶりに隣のアリシアを見下ろした。
俺の視線を感じたか
アリシアが俺を見つめて
「やっぱり、ステファンの顔はこの角度から見るのが一番好きかも 」
と、少し恥ずかしそうに言った。
「そうか…」そう言って久しぶりに彼女の頭をなでた




