桜の日記に残る記憶 後編 託された想い
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ステファンの両親 ポーラとファウト編 最終話です
ポーラの日記には、そのあともファウト様とステファンの幸せな日常がつづられており、ステファンは涙を浮かべながらも、丁寧に母の書き記した証を追いながらページをめくる。
そして、日記は白紙のページへと変わってしまった。
ステファンが、顔をあげ私の顔を見つめた
ステファンの隣にはアリシアがそっと彼の背中に手をやり、
寄り添っていた。
その姿を見て私は少し安心をして口を開いた。
「ここからの話は私がするわ… 」
その頃、私の旦那様ドワーフのサリテが島にやってきていたの。
私達は将来の約束をし彼がドワーフの村に帰る時一緒に行くことになっていた。
サリテは魔道具士でファウト様とも意気投合をし、とても仲良くしていたわ。
そんな、ある日のこと島でファウト様とポーラのことを探っている男たちがいることを耳にした。
ポーラの身体も落ち着いた時期だったこともあり、ポーラ達は一度島を出てコーレリア公爵家領地の神霊山脈ペテルギウス山脈にあるという『ラピスラズリ』この石と ドワーフの森に咲く『ステアーズドロップ』を、採集に行く事を決意したの
「大丈夫なの? ポーラ ステファンもつれていくの? 」
「できることなら、両親と兄にもこの子を会わせてあげたいの 」
自分の領地に行くのだからポーラがそう願うのも無理はない
「ロリア、この子のためにも『氷華の奇跡』を完成させないと、必ずこの子は『桜花の奇跡』と『氷華の奇跡』が必要になる。
いえ、この子だけじゃない。この子と同じ運命を背負った子供たちが必要になると思うの 」
「ポーラ・・・」
ポーラとファウト様の真剣な表情に何も言えなかった。
「一つお願いがあるんだ。サリテにドワーフの村には厳重な結界に守られた薬の保管庫があると聞いた 」
ファウト様が、私とサリテをみつめて話を切り出してきた。
「ああ、あそこは結界にも守られ精霊の鍵でないと開かないから悪意のあるものには決して開けない 」
サリテがそう答えた
「申し訳ないが、『桜花の奇跡』とレシピを預かってくれないか。
そして、その保管庫で保管してほしい。
俺たちはコーレリア公爵家領地の神霊山脈ペテルギウス山脈に向かい『ラピスラズリ』を採集した後、ドワーフの村へ向かう。
もし…なにかあった場合の為にも君たちに託したい 」
そう言ってファウト様とポーラは私達に頭を下げた。
そして翌朝、ポーラとファウト様、ステファンの三人はコーレリア公爵領へ旅立った。
旅立つときも、ポーラ達は涙を浮かべながらも笑顔で手を振っていた。
彼らが旅立った後、彼等が住んでいた部屋を片付けに行くと
沢山の金貨と私達それぞれに書いた丁寧な手紙が置いてあった。
『私の大切な親友 ロリアへ 』
その文字を見ただけで私は、その場で泣き崩れてしまった。
ポーラ必ずあなたの薬は守るそう誓いながら手紙を抱きしめた。
その数日後、私とサリテがドワーフの村へと旅立とうと家を出たとき
晴れていた空に急に雨が降り始めた。
なぜか急に私は不安な気持ちに襲われた。
導かれるように、あの桜の木の丘に走って向かった。
そこには変わり果てたポーラとファウト様が抱き合い桜の花びらの上に横たわっていた。
「ポーラ!!!」
私は、彼女たちに駆け寄り泣きながら名前を呼ぶことしかできなかった。
けれど、ポーラ達は微笑みながら安心した表情でそこに横たわり名前を呼んでも返事もしてくれない。
ただ、彼女たちの代わりに返事をしているかのように彼女の周りを桜の花びらが舞っていた。
私達は、抱き合うふたりを引き離さずそのまま桜の木の丘に埋葬した。
私達はドワーフの村に戻り、ポーラとの約束通り『桜花の奇跡』と二つの薬のレシピを保管したの
ステファンの姿はどこにもなかったわ。
私達は、探し回ったが見つからなかった
後から聞いた話だけれど、シンリーは銀色の髪をした男の子を連れてユングラン王国へと現れたそうよ。
その子は自分が産んだ子だといい、名前は「ステファン」だと告げた。
そして、国王陛下にその子へ大公の称号を与えるように願い出たというの。
どうして、「ステファン」と名付けたのかはわからないけれど。
さらに、シンリーは、ファウト様はチャウナ公国で突然原因不明の病で倒れ、亡くなったと説明したそうよ。
荼毘に付し彼の遺骨だと称するものをユングラン王国に渡したというの。
シンリーは、
「チャウナ公国での業務がある」
と言ってステファンを大公家の使用人に預けてチャウナ公国へと一人帰ってしまった。
「ここまでが、ポーラとファウト様の真実よ 」
私が話終わると 部屋の中が沈黙に包まれみんな涙をこらえることができなかった。
声を震わせながらステファンが
「俺の聞いていた話とは全然違う… 」
「それは、シンリーが自分の都合のいいように話を作り、ポーラ達を辱めるような内容にしているからよ。
ステファン、あなたはあなたの両親が愛し合って生まれ、命懸けで守ろうとした宝物なのよ 」
「では、なぜ!叔父上たちは、なぜ手を差し伸べてはくれなかったのだ… 」
「それは、あなたがシンリーに奪われ人質のように囚われていたから
何もできなかったんだと思うわ。私もそうだけど… でもあなたにしてみれば言い訳にしか聞こえないわ 」
「…いえ…叔父上もみんなシンリーの被害者だ… きっと俺や両親
だけではないはずだ 」
そういうとユリアスとルーカス達も組んでいた手をぎゅっと握りしめていた。
「ロリアさん、両親との約束を守ってくれてありがとうございます。
両親の・・埋葬までしてくださって・・ありがとうございます」
ステファンは立ち上がり、私の前に立ち深々と、礼をした。
「ステファン… 」
私は泣きながらポーラがそうしたかったであろうようにステファンをそっと抱きしめた。
「では、早速いこうか! 」
グリナさんにそう促され薬草学作業所の保管庫へと向かった。




