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小さな公爵令嬢はミリしらな異世界で平穏に暮らしたい  作者: 瑠璃
第2部 時の彼方に紡ぐ、忘れられた約束

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カラスのさえずりと希望の手がかり

 その日は、いつものように、私とアリシア、ジェシア先輩の三人でダイニングテーブルで放課後今週末に行われる試験勉強をしていた。


 ユリアスと、ルーカスはまだ帰宅しておらず、ステファンは薬剤調合室でグリナさんと実験中だ。


 窓を開けていると冷たい風が不意に強く吹いた


 体が思わず、プルっと震えた。

「ああ、随分風が冷たくなったね 窓閉めるね」


 そう言ってジェシア先輩は、立ち上がって窓辺に行った。


 窓の取っ手に手をかけると


「ねえ、最近このあたりカラスが増えていない? 」


 私達の方を振りむいてそういった。


「そういえば、そうかも・・・」


 アリシアがペンを走らせる手を止めて答えた


「でもさ、よく聞いていると面白いんだよ、あの子たち


 カー、カーって鳴く子もいれば


 カッ!カッ!カッ!って鳴く子や、くぅあ~って鳴く子もいてね。


 なんだか会話しているみたいなんだよ 」


「ふふっ… そう言われるとそんな感じがする」

 とアリシアが笑った


 窓の外でまたカラスが鳴いている そう言われれば最近本当に増えた


「でも、このあたりのカラスってなんだか丸っこいというか

 ひょうきんで憎めない感じがするというか」


「そうなのよ~、なんだか可愛いね 」


 ジェシア先輩はそういいながらパタンと窓を閉めた。


 そのあともひとしきりカラスの話で盛り上がっていると


 ユリアスが帰ってきた。


「ただいま 」

 笑顔で帰ってきたユリアス


「お帰りなさい 」と私は言うとユリアスは頭をなでようとした手を止めた

「あ!手を洗ってからにする 」

 そう言いながら慌ててジェシア先輩やアリシアにも挨拶しながら洗面所に向かった。


 こんなあいさつ一つでも嬉しくなってしまう…


 食事の準備をしていたら、ステファンたちも実験を終えたようで調合室から帰ってきた。


「ルーカス遅いね…」ジェシア先輩が呟いた


 窓の外を見るともう日も落ちかけて空が真っ赤だ・・


 カラスたちが一斉に飛び立った


 バタンという扉の音と共にルーカス先輩が帰ってきた。


「ただいま」珍しくうつむき加減で帰ってきた


 あれ?なんだかおつかれ?


「おかえり」とみんなでこたえたら


「いやぁ、寒くなってきたね 今日アカデミーでエドガー様とフェドリック様に会ったよ。 ケーキをいただいたからみんなで食後に食べよう 」


 いつもの、笑顔だ… 気のせいだったのかな…


「やった! 」ジェシア先輩が嬉しそうに笑いながらルーカス先輩からケーキを受け取った


 お兄様たちアカデミーに来ていたのか・・・

 あれから、随分会えていない・・

 こんなにも、会えなかったらさみしいものなのね。

 食事を終えた後、お茶の用意をしていたら


「あれ?男性陣とグリナさんは?」

 とジェシア先輩に聞かれた。


 あれ? いつの間に…


「さっき、薬草調剤室にみんなで行ったよ 」


 いま、ステファンの体調を見ながら元に戻す方法を思案している。


 そう…ハクもオニキス、琥珀もまだ眠ったままだ。


 そのことを思うと心配でたまらない


「あ・・帰ってきたみたい」バタバタと足音を聞いてアリシアが教えてくれた


「丁度良かった、お茶の準備ができたところだよ 」


 グリナさんが一口お茶を口にして

「試験が終わったら、ドワーフの村へみんなで行くから・・」


「え?ドワーフの村へ? なにかわかったのですか? 」


 アリシアがすぐになにか察したのかグリナさんに尋ねた。


「ああ、ステファンを戻す方法・・手がかりが見つかった 」


「あ・・・よかった 」


 アリシアが、涙をためながら言葉を漏らした


 アリシアの背中にステファンがそっと手を置いた。


「とにかく、まずは目の前の試験が優先! 赤点とったやつは留守番だ


 わかったな! 」


 いきなりグリナさんからマカフィー教授にスイッチが切り替わった。


 女子たちが手がかりがみつかりニコニコして喜んでいる。


 その横で男性陣は、真剣な表情でケーキを食べながら話を続けていた。


 けれど、このときの私たちはまだ知らなかった。


 男性陣があんなに真剣な表情をしていた理由も。


 そして、ドワーフの村で私達を待ち受けている出来事も…







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