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小さな公爵令嬢はミリしらな異世界で平穏に暮らしたい  作者: 瑠璃
第1部 月明かりに紡ぐ、はじまりの願い

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琉(リュウ)と瑠那(ルナ)

今回は折原 琉(リュウ)と五十嵐瑠那のお話しです 琉視点です


俺の名前は折原琉 桜川学院 三年生 これでも一応、生徒会長を務めている。

部活動はバスケットボール部、そして天文学部にも所属している


バスケットボール部は、この夏のインターハイで全国大会には出場できたが残念ながら一回戦で敗退


全国の壁は厚いと実感した・・まあ全力を尽くしたから悔しかったが悔いはない。


天文学部は、卒業まで在籍し、学校の天体望遠鏡で星を見ている。


星を見にいく前や始業前の早朝に、学校の図書館で読書をしたり受験勉強をするのがもっぱらの日課だ。


桜川学院は創立百十年の歴史を持つ学校だ。

図書館も本館とは少し離れた場所に、独立した別館として建てられている。


本館から図書館までは渡り廊下で繋がっている。

渡り廊下からは古い噴水とベンチのある中庭が見える。

そこには薄いピンク色の薔薇が咲いていた。


「ピンクの薔薇以外に何か違う花を栽培したりしないのかね?」


親友で副会長の作島優作に尋ねられた


「ここの創立者の奥さんがピンクの薔薇と桜が好きだったそうだよ


この中庭は創立当初に建てられたらしいからじゃないかな・・たぶん・・」


「へえ、愛妻家だったんだね」とヒューっと作島は口笛を吹いた


「それで、今日はお前も図書館に行くのか?」


「まあね、そういえば、今日の図書委員の当番誰か知っている?」


「知らん・・」


「二年生の五十嵐瑠那って知っているか?琉? 

あのフィギュアスケートの五十嵐 茜の妹」


「お姉ちゃんは超美人で有名だけど妹もこれまた可愛いんだよ

お姉ちゃんのような華やかさはないんだけどさ 清楚系でさ

でも、あの子授業終わったらソッコー学校からいなくなるからさ 

なかなか瑠那に会えないんだよね」


「ふーん」


そんな話をしながら図書館の古びた扉をあけた


本の香りが風に乗って鼻をくすぐった


瑠那が丁度窓を閉めようとしていた。


「すみません、少し埃っぽかったから空気入れ替えていて・・すぐに窓閉めますね」


「ああ、大丈夫だよ」と作島が瑠那に笑いながら手を振る


本当に調子のいいやつだ


「ほら、瑠那ちゃん可愛いだろう」と俺に小声で話しかけてくる


知っているも何も俺は前から瑠那のこと知っているわ!

なんなら毎朝ここで会っているわ! 偶然だけど・・・

ふと、瑠那を見ると高窓を閉めようと背伸びをして手を伸ばしている

窓際のいつもの席に鞄を置いて、瑠那の方に歩いて行った

「おい、琉」


「ん・・あ・ともう少し・・」


瑠那は懸命に背伸びをしているが、指先は窓の取っ手に届きそうで届かない。

俺は後ろから手を伸ばし、代わりに窓を閉めた。


「ありがとうございます 先輩」と恥ずかしそうに礼をする

「開けるときはどうやって開けたの?」

「その時は司書の先生がいらっしゃったので・・・

 助かりました 先輩」

「残りの高窓も俺が閉めるよ」

「本当にありがとうございます。お言葉に甘えます」

そう言って瑠那はにっこり笑う

最後の一番端の窓を閉めようとしたら チクっと窓枠の木片が刺さった

「いてっ!」思わず声に出すと瑠那と瑠那に話しかけていた作島が俺に駆け寄ってきた

「おい、大丈夫か?琉・・」

「ああ、大丈夫だ とげが刺さったかもしれない」

「私、図書準備室にある救急箱取ってきます」

と瑠那が図書準備室の扉を開けようとするがガタガタと音がして中々開かない

「あれ・・立て付けが悪くって」と瑠那が焦っている

「大丈夫焦らないでこんな時は・・ ひらけー ゴマ!」

俺は扉を少しもちあげるようにして、ぐっとひっぱった。

ガタンと音を立てて扉が開いた。


古い建物だから癖があるんだよってネタバレしようとしたら

「折原先輩凄いです!魔法みたいです!」

とキラキラした大きな茶色の瞳で見つめられたから何も言えなくなった

救急箱を取ってきて瑠那が手当してくれた

小さな細い指が、俺の手に重なる度にドキドキした

そのあと、勉強しようとしてテキストを広げるが、もう頭には数式も何も入ってくるわけがない。


その日の放課後、作島と一緒に帰っていると

「おい、琉 お前今日俺にアイスおごれ・・いやハンバーガーセットだ

俺にはお前におごられる権利がある」と言われ

「はあ?意味わかんね? なんで俺が?」

「いーや!ぜったーいおごらせるからな!」そう言ってヘッドロックをかけてきた。

「ハハハ・・しょうがねーな・・今回だけな」

 とファーストフード店で一番高いセットをおごらされた。


次の朝も図書館に行くと瑠那が本を広げていた

「いつも早い時間に来てるんだな」

「この時間しかゆっくり本が読めなくって・・

 司書の先生が本の整理を理由に内緒で早く開けてくれているんです」

「そうか、じゃあ俺は君の恩恵にあずかっているわけだ」

「そんなこと・・」と笑う

「『星の名前』か。星・・興味あるの?」

瑠那の読んでいる本が天体関連の本だった

「星や月が好きで・・見ていたら気持ちが落ち着くんです

 本当は天文学部に入りたかったけどアルバイトがあるから」

そういえばバス停前の本屋でバイトしているって聞いたことがある

「俺天文学部なんだけどアルバイト早く上がれる日に望遠鏡で星を見に来ないか?

夜間観測日の時に君も参加できるよう部員のみんなや先生にも頼んでみるから」

「本当にいいんですか?」

「体験で・・って頼んだらみんないいやつばかりだからきっといい返事くれると思う 

 ああ、そうだ・・よかったら連絡先教えてくれたら・・」

 瑠那の表情が少し曇った

「すみません、私携帯電話持っていなくて・・

でもいつもアルバイト終わるのが7時30分なんです」

「わかった、なにか連絡ある時は7時30分頃にバス停に行くよ」

「はい・・あ・・それとこれよかったら食べてください」

「え?」薄いブルーの巾着の袋を開けるとおにぎりとおかずの入ったお弁当箱が入っていた

「こんなもので申し訳ないのですが昨日のお礼です・・

よかったら食べてください・・」

そう言って恥ずかしそうにうつむいた

「ありがとう・・・めちゃくちゃうれしい・・」

そうこうしていたら始業前の予鈴がなった

「やばい・・じゃあ 約束な 」

「はい」

と二人であわてて荷物をまとめて教室へ向かった

その日から、前よりも瑠那と距離が近くなった。


毎朝、図書館で一緒に勉強したり 読書したり


ある日、瑠那のアルバイトが休みだった放課後のことだ。

図書館で勉強していた俺は、いつの間にかうたた寝をしてしまった。

目が覚めると、肩には赤いチェックのブランケットが掛かっていた。

瑠那がそっと掛けてくれたらしい。。

瑠那は毎朝、俺の分までおにぎりを作ってきてくれるようにもなった。

「ついでですから」

と言うけれど、俺としてはそういった一つひとつの瑠那の優しさが嬉しくて仕方がない。


そんなある朝のことだった

 いつものように隣同士に座って図書館で勉強していると、瑠那が嬉しそうに話しかけてきた

「あ・・先輩のりゅうって名前【琉】って書くんですね」

「そうなんだ、よく【龍】って書くのかと思ったって言われる」


「知ってました? 先輩の『琉』と、私の『瑠』って、どちらも宝石に関係する漢字なんですよ」

瑠那は俺のメモ帳に『琉』と『瑠』を書き並べた。

「普通は『瑠璃』って書くんですけど、『琉璃』って書くこともあるそうですよ。なんだか、先輩と私の名前が並んでいるみたいですね」

瑠那は嬉しそうに笑った。

「瑠璃って、青く美しい宝石の名前なんですって。素敵ですよね」

そう言ったあと、瑠那は少しだけ寂しそうな表情を浮かべた。

「私も……いつか誰かの宝物になれるのかしら……」

瑠那が小さな声でつぶやいた。


いや、もう君は既に俺の宝物なんだが・・・・

まだ好きだともいえないのがもどかしい

大学に合格したら・・絶対に告白する。

そう心の中で決意した途端、顔が熱くなり恥ずかしくて両手で顔を覆ってしまった。

「先輩どうかしましたか?」

「い・・いやなんでもない!大丈夫!」


「あ、ごめんなさい・・つい折原先輩のメモに書いてしまった」

慌ててシャーペンを手放して消しゴムを取ろうとする瑠那に

「いやいいよそのままで・・それより・・・瑠那って呼んでいいかな

君にも琉って呼んでほしい」

「瑠那ってよんでもらうのは嬉しいですけど先輩を琉と呼ぶのは恥ずかしいです・・・」と真っ赤になってうつむくので

「今はいいから・・・待ってるから・・瑠那」

「はい」

よし!一歩前進した・・と瑠那と別れて自分の教室に向かう途中思わずガッツポーズをした


昼休みに瑠那からもらったおにぎりを食べていると

「琉 お前美味しそうじゃん 瑠那ちゃんのおにぎりだろ 一口くれよ」

「だーめ・・絶対やんね」

と作島と話していたら同級生の女子が

「えー!折原君 ダメよ彼女なんか作ったらあなたはみんなのアイドルなんだから」

とわけわかんない事をいって集まってきた。

「そんなんじゃないし、マジでわけわからねーよ」といっていたら

「折原君 えらくかわいいシャーペン使ってるのね」

「え?」瑠那のシャーペンがペンケースに入っていた

あ・・朝間違えてペンケースに入れてしまったのか

「人のもの勝手にみるなよ」そう言って慌ててペンケースごと鞄に入れた


放課後、俺は午後七時半のバスに間に合うよう、バス停へ向かった。

瑠那のシャープペンシルを返さないと。

あいつ、書きやすいっていつも使っていたから、きっと困っているはずだ。

あ、いた。

バス停に瑠那の姿が見えた。

声をかけようとした、そのときだった。

……ん?

向こうから走ってくるトラックの様子がおかしい。

まさか……こっちに?

「瑠那! 危ない!」


全速力で瑠那の元に走って抱きしめた。

ああ・・間に合ったか・・・?

瑠那を抱きしめている・・

星を見る約束も、まだ果たせていない・・

もっと早く・・好きだって言えばよかった・・・。

そこで・・俺の意識は途切れた。


今回のお話しでは「瑠璃」の話が、出ていますが私の場合は瑠璃色が一番好きな色なので瑠璃です

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