ステファンの出自の秘密
ライズ公爵家領の領主執務室では連日領主・二人の息子そして白龍・赤龍を加えての会議が行われていた
「ワシたちとあと黄龍をめざめさせて黒龍を救い出さないとこの世界は魔王に奪われるぞ」
ハクの思わぬ話に
「魔王・・・ってもうそれこそ帝国創世記に出てくる話でこの世の中で今更そんな話・・・」
「魔王というか魔王の娘の生まれ変わりというか・・」
「転生という事ですか・・・そんなことってあるのですか
それに前世の記憶なんて持っているものなのですか」
それが、もっておるのが厄介なのだ・・・
「やはりその魔王の娘の転生者というのがシンリー・チャウナなのですね」
「まあ、あやつもわかりやすいからの・・・ではステファンは・・・」
「あやつはもともとあのものの子ではない」
「え?」とこの話はライズ公爵も知らなかったようですごく驚いていた
「なんだ、おぬし知らなかったのか・・フェリス・・おぬしの伴侶は大したものよ
さすがじゃ・・」とハクが驚きながらも感心していた
「それは・・・」
「まあ、伴侶に聞け」とワシ言っておったと申せ
「黄龍様と黒龍様青龍様は今どこに・・」
「黄龍はこの地の海深くで眠っておるわ・・・」
「ここの海にですか」
「それでだな、目覚めさせに行くからエドガーともに来いそれとフェドリックもな・・ルナティアには今回言わずにおこう あやつの聖獣どもに先日説教されたばかりだしな」
「でも前回も結局そういってティアの方から現れましたからね」
「まあ、声かけずとも必要あらばまた現れるだろう」とハクはケラケラ笑う
「あと、領主・・・おい領主!」
先程のステファンの話が気になっていて少し聞いていなかったスチュワートにハクの喝が落ちた
「おぬしらしくないの 立派な領主であっても亡くなった親友の息子のことになると我を忘れるのか
おぬしもまだまだじゃの・・・」
「申し訳ございません ハク様」
「ここの家宝である雷龍神の剣をエドガーにくれてやれ」
「あの魔剣をですか・エドガーに扱えるでしょうか」
「おぬし 人の息子の心配をする間に自分の息子のことを見てやれ
自分の息子たちのことを何もわかっておらんな・・・・
言っておくがおぬしの息子は国どころか帝国を動かせるほどのものじゃぞ」
「そうなんですか ありがとうございます」すごく嬉しそうなスチュワートの横でほめられていない子供の様に恥ずかしそうに何とも言えない顔をしてエドガーとフェドリックが焦って座っている
海の底に行くのは次の下弦の夜・・・・
「下弦の夜ですか・・」
「ああ・・・下弦の夜細い細い月の夜・・黒龍が一番力が弱まる時に決行する」
「黒龍様は・・・」
「あやつは今神殿にとらわれておる・・・・ずっと・・ずっとな」
会議が終わりあまりの情報量にスチュワート・ライズ公爵は疲弊していた
でもこれだけは聞いておかなければいけないとライズ公爵は夫婦の部屋へと戻った
部屋に入るとフェリスはソファで刺繍を刺して彼の帰りを待っていた
「あら、あなたお帰りなさい お酒を用意しましょうか?」
「いや・・・お茶を淹れてくれ・・そうだな君のすきなあの・・」
「ミルクティーですね」とフェリスは手際よく自らお茶を用意して入れていく
「今日はいつもに増して御疲れですね 少しブランデーもいれておきますね」
「ありがとう」コクリとお茶を一口にして
「フェリス・・・ステファンはシンリーの息子ではないのか・・」
フェリスは刺繍を刺す手を止めた
「ハク様でしょうか?」
「そんな大切な事なぜ神龍が知っていて・・お前も知っていてなぜ言わない」
とスチュワートは怒りをぶつけた
「・・・・声を荒げてすまない・・・しかし・・ファウトの息子なんだぞ・一体母親は誰なんだ」
「ポーラ・コーレリア・・・ステラ王妃の妹」
「ポーラか・・ああ、確かにファウトとはアカデミー時代から仲が良かった」
「そうなのファウトとポーラはずっとお互いを思いあっていた
そこに先王が第2王子だったファウトにシンリーとの政略結婚の話を持ち込んで二人は引き離されていたうえにことも あろうことに第2王子妃・・大公妃になったシンリーは・・・
ポーラを自分の侍女に指名したのよ・・・」
「・・・・」スチュワートは無言で手を組んで泣きながら話すフェリスの話を聞いていた
「侍女の話をもちろん断ったわ でもコーレリア辺境伯家に先代王から脅しが入ったの ポーラはステラの身も案じて侍女として大公家に入った
一生懸命に侍女として勤めていた彼女は本当に痛々しかった
そして・・・あの日・・・シンリーは薬をふたりに盛って閉じ込めた
その時・・ステファンを授かったの シンリーはポーラが身ごもったのを知ると彼女をイブー島へと隠しそこでステファンが生まれると自分が生んだように連れ帰った・・・」
「ポーラは・・・」
「ポーラも・・・ファウト・・そしてステラも原因不明の病で亡くなったじゃない」
「シンリーの思惑は・・・なぜ彼女はそんな真似を・・・」
「ステファンが欲しかったの ステファンというより黒龍の器がほしかったのよ」
「黒龍の器・・・」
「お願い・・あなた・話せなくてごめんなさい・・私も話せなかった・・でもあの子を助けてステファンをポーラとファウトの息子を助けて・・・
「当たり前だ・・親友の息子だ・・・このままにはしない・・




