↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな公爵令嬢はミリしらな異世界で平穏に暮らしたい  作者: 瑠璃
第1部 月明かりに紡ぐ、はじまりの願い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/83

ユリアスの動揺

今回はユリアス視点です

 朝早く静かな図書館にページをめくる音だけがかすかに響く

 開けた窓から少し冷たくなった空気が風となって頬をくすぐるのも心地よい

 授業前と放課後のこの図書館での時間がとても好きだ


 もうそろそろコロコロとかわいらしい声で彼女が俺の名を呼ぶはずなのだが・・・

 この数日その声が聞こえていない 

 アカデミーの校舎でも彼女の姿が見当たらない

 彼女の友人を見かけることはあるが呼び止めて「体調でも悪くして休んでいるのか」

 と尋ねるのも少しはずかしい

 これがあいつ・・ルーカスなら聞けているんだろうなともどかしい気持ちになった


 そんなことを思っていると

「ユリアス、おはようございます」

 彼女が俺の名前を呼ぶ声が静かな図書館に響いた

 ん?でもいつもより少し声が低く大人っぽい感じがする

 ああ、やはり風邪でもひいていたのだろうか

「おはよう ティア 風邪でも・・・」

 と立ち上がろうと椅子に手をかけながら振り向くと背丈が156cmくらいで手足のすらりと長い女の子が立っていた

 ミルクティーブロンドの長い髪に、大きく綺麗な薄紫色の瞳。

 その瞳は、天真爛漫な女の子のものから、どこか憂いをおびた大人びた瞳へと変わっていた。

 驚きのあまり体勢を崩してしまい椅子ごとひっくりかえってしまった

「ユリアス!大丈夫ですか?」彼女の透き通った声が図書館に響く

「い・・いやダイジョブ・・・そのティア随分変わったんだね」

 まっすぐ見つめてくる彼女の瞳を受け止められず思わず目をそらしてしまった

 うわ・・・どういう事なんだ・・確かに、確かにティア・・ルナティアなんだが・・・

「ああ、ティア 俺そろそろ行かないと・・元気そうでよかった」

 と慌てて机に広げていた本を片付けようとしたら机に置いていた本をバサバサと落としてしまった

「はは・・」とごまかし笑いをしていると

「ユリアス、本当に大丈夫?風邪でもひいているんじゃないの」としゃがみこんで本を拾いながら、心配そうに俺の顔を覗き込んだ。

「いや、大丈夫・・・ちょっと手が滑っただけだ」

 と拾ってくれた本を受け取ろうとした時かすかに右手の人差し指が彼女の指と触れた

 !!!!!と思わず手を離してしまった

 また本が落ちてしまい今度は自分で慌てて拾い集めた

「ユリアス、もしかして私が変わったからめちゃくちゃ驚いています?」

「それは、そうだろう こんなに変わったら誰でも驚く」と少し咳払いをして返事した

「私、家族以外には、ユリアスに一番最初に見てほしかったの」

 と彼女は微笑みながらくるりと回る

 スカートのすそが揺れて花のようだ

「ありがとう、すごく嬉しいよ」

「ふふ、それとおにぎり・・作ってきたの ユリアス気に入ってたから」と

 布に包んだおにぎりを手渡された

「ありがとう・・じゃあまたあとで・・」と冷静さを装いながら慌てて図書館を出た

 彼女は微笑みながら手を振っていた

 変わったことにも驚いていたのだが、それよりも驚いたのが俺の夢に出てきた女性が彼女だったという事だ

 慌てて廊下を走って誰もいない準備室に飛び込んだ

 彼女のキラキラと輝く、大きな綺麗な薄紫色の瞳 透き通る声 コロコロと変わる表情

 そして彼女の笑顔・・・夢に出てきていた女性はルナティアだった・・・

 なぜ気づかなかったんだ・・大人っぽくなっていても俺を見つめてくる瞳は同じじゃないか

 心の中も頭の中も彼女でいっぱいになって混乱する・・

 俺はおかしくなってしまったのか・・・

 ドアをバタンと閉めると俺は火照った顔を両手で覆いながらその場にずるずるとへたり込んでしまった。

 その日は授業をそのままさぼってしまった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。