アンデラ教授の課題
学園での日常が戻った
「ルナティア・ライズ あとで私の教授室まで来るように」
歴史のシュリアン・アンデラ教授に呼び出された
「はい」
アンデラ教授は国内外でも有名な歴史学者
教授陣の中でも年長者で発言力も影響力も一番ある教授だ
学園の西側に教授棟があるアンデラ教授の部屋は奥の突き当り一番西側の部屋だ
部屋の扉をノックし
「アンデラ教授 1年Sクラスルナティア・ライズまいりました」
「入りたまえ」
扉を開けると入ってところすぐにアンデラ教授の秘書ナタリアさんのデスクがありにこやかに出迎えてくれる 木製のパーテーションの向こう側に応接セットとアンデラ教授のデスクがある
アンデラ教授は、走らせていたペンを止めかけていた眼鏡をはずし椅子から立ち上がりながら
「ライズ君、かけたまえ」と応接セットの椅子に腰かけるようにうながした
椅子に腰かけるとナタリアさんがお茶を持ってきてくれた
教授が先にお茶に口をつけてくれた
「君もよろしければ・・・ところで今日君をよんだのはライズ小公爵の婚約式などもあり受けられなかった授業の件だ」
「はい」
教授は1枚の紙を私に手渡した
「ここに記載のある文献を読み内容をまとめるとともに自身の見解を書き記載のある期日までに提出するように、もしわからない事があれば質問してくれてもかまわない」
「帝国創世記・・・」
「ああ、みな子供のころにはおとぎ話の様に語り継がれた話だが史実のして学ぶと新しい発見やこの国の成り立ち、帝国とユングラン王国とのつながり等知っているようで知らない話を学ぶためだ」
「期日は、1週間後ですね 教授すぐにとりかかりたいので・・・」
淹れていただいたお茶を急いで飲み干しすぐに図書館へと向かった
図書館
帝国創世記 と参考文献の3冊はすぐに見つかったけど神龍についての本が見つからない
「この本が参考文献の中でも一番大事なんだけどな」
一番奥の一番上にそれらしき本を見つけた
ローリングラダーを引っ張ってきて登っていく
「あ・・・やっぱりこの本だ」
手を伸ばすけどあと少しだけ届かない
「うーん・・・もうちょっと…ん~!」と一生懸命に手をのばすが指先すら届かない
「この本であってる?」
耳元で急に声がして後ろから長い手が伸びてきて本を取ってくれた
びっくりしてバランスをくずしてローリングラダーから落ちそうになった
「危ない!」
本を握ったままの手でぎゅっと抱きしめられた
「あ・・ごめん 驚かせてしまった」
「コーレリア先輩・・こちらこそありがとうございます」
・・・・・
高い梯子の上で抱きしめられたままで一瞬沈黙してしまった
「気を付けて・・・ゆっくりと降りようか」
そう言いながら下に降りた
「本当にありがとうございました 実はアンデラ教授に課題をいただいてこの本がどうしても必要だったので先輩が来てくださって助かりました」
「いや、丁度、本を探している時に君を見つけたから・・・はい」
コーレリア先輩は、私の持っていた他の本ももってくれて窓際の机まで運んでくれた
「俺は、本探してくるから」と私の座った椅子の横に自分の鞄をおいてまた本棚の所に戻っていった
隣に座るのかしら? 広い図書館の中で学生は、私達しかいない
先輩なら一人で静かに本を読むのが好みそうなイメージなんだけどな
そう思いながら鞄の中からノートと筆記用具を出し本を広げる
「帝国創世記」初代皇帝は神龍の加護を持ち国を一つにしたというお話
どの世界にも神話のような話は受け継がれるものなのね
きっと本当の話の中に皇帝を「聖なる存在」にして崇めるために神話エッセンスを盛り込んでるのかしら
「神龍の存在とか信じられない?」
え? 急に隣から声がしてまた驚いた いつの間にかコーレリア先輩が座って本を広げて夜の色のような濃紺の瞳で見つめていた
薄い空のような青い髪色端正な顔で至近距離で話をされると恋愛感情等なくても戸惑ってしまう
「どうしてそんなこと聞くんですか?」
「いやあすごく怪訝そうな表情で読んでいるから」
「僕の領地にある神霊山脈ペテルギウス山脈にはその神龍が住んでいるという話が残っているし、冬になると龍の雄たけびが山脈を越えて聞こえてくることもあるんだよ」
「本当に今もいるんですか?」
「まあ、冬の吹雪や雪崩の音ではないかともいわれているけどね」
でも、確かに精霊獣もいる世界なのだから龍もいてもおかしくないかもしれない
「神龍以外にも黒龍・青龍・赤龍・黄龍もいるよ 彼らのことも詳しく調べて読み進めていくと面白いと思うよ」
「ありがとうございます、先輩のおかげで楽しく課題を進められそう」
「それは、なにより」
そして、また課題に戻り 静かな図書館で先輩が本をめくる音だけが時折聞こえていた




