婚約式の夜
エドガーお兄様とエクシス王女の婚約式の日になった
3日前からお父様とジュリアスも王都へとやってきた
ジュリアスも正装をしているのだが、隣に並ぶといつの間にか背丈が追い越されていた
「ジュリアス・・あなた少し会わない間にまた背が伸びたのではない」
「それは姉様もう僕は来月で9歳になりますし来月お会いしたらもっと大きくなっていますよ
大丈夫ですよ 姉様はいつでもどこでも愛らしいのですから自信をもって」
う・・・・弟に慰められるなんて・・・
「兄様たちも8歳の時は僕くらいだったので僕も兄様たちのように大きくなりますよね」
「ああ、きっとね」フェドリックお兄様が私のことを気遣ってかサラリと返事をする
「お母様は・・・」
「お母様はエクシス王女殿下のお仕度のお手伝いとご様子を見にいかれているわ」
王妃様の代わりにエクシス王女の傍にいてあげたいらしい
亡くなった王妃様とお母様はアカデミー時代も親友だった
亡くなった王妃様ステラ・ラリス・ユングラン様はコーレリア辺境伯家の令嬢だった
お母様は帝国に属するシリル公爵家の令嬢でありユングラン国立アカデミーに留学生として在学していた
その時にお父様と出会ったらしいのだけど・・・
あまり詳しい話は聞いていないけれど貴族には珍しい大恋愛の末での婚姻だったそうだ
その息子が「この婚約は契約だ」なんて言ってるんだから・・・
エドガーお兄様は誰に似たのかしら・・・
でも、フェドリックお兄様にしても誰にでも優しいけれど特定のお相手がいなくて自由人よね
前世でも いたなぁ~そういう男子・・えっと確か生徒会長といつも一緒にいた人
生徒会長は凄く真面目な人で全く反対でも遠くで見ていても仲良しで・・・
ああいう友達関係羨ましかったな
「おい、ルナティア! ルナティア!」
「あ・・はい」
振りむいたら白い正装姿のエドガーお兄様が立っていた
「お兄様素敵・・・」
「何を難しい顔をしていたんだ? 素敵なお兄様が婚約するのがさみしいのか?」
「いえ・・素敵だけどそうではなくて・・
それよりお兄様は、早くエクシス王女殿下の所にいって」と背中を押す
「さあ、私達も会場に入ろう」
お母様はお父様とジュリアスと一緒に
私はフェドリックお兄様にエスコートされて会場に入場した
しばらく、後に扉が開き誰かが入場してきた
「ステファン・フラン・ユングラン・クラスト大公殿下 グランティス公爵家 ローズ・グランティス公爵令嬢入場です」
え?アリシアは? ステファン様どうしてローズをこんな大切な場所にエスコートしているの
会場にいた人達は私と同じ疑問を持ったのだろう会場がざわめきだした
会場を見渡すとアリシアは既にグランティス公爵様と公爵夫人と一緒に入場していた
こんな場所で聞くわけには行けない きっとアリシアが何があったか教えてくれるだろう
婚約式が始まった国王陛下の2階に現れた 隣にはエクシス王女とエドガーが立っている
参加者が頭を垂れて礼をする
「皆のもの、本日はわが娘エクシスとエドガー・ライズの婚約式によく集まってくれた
本日は思う存分二人を祝い楽しんでくれ」
国王の挨拶を終えると二人が軽く会釈し階段を降りてきた
最期の階段を降り終えると同時に音楽が流れ始めた
ファースト・ダンスだ ふたりとも国でも一番の美男美女だ
音楽に合わせ流れるようにダンスをする
華やかでそれでいてダイナミックなダンスが2人らしい・・・
あまりの美しさに音楽が終わるとため息と盛大な拍手が起こった
1曲目が終わると私達のダンスだフェドリックお兄様と私 エドガーお兄様の弟妹のダンスを披露することになる
これがあるから特訓したのよね・・なんといっても身長差!!
40cm近くあるのよ身長差!でも秘策がある
秘策と言ってもお兄様の魔法
いつも本当に困った時のフェドリックお兄様だわ
お兄様はふわりと私を宙に浮かべ花をどこからから出して軽やかにダンスを舞う
「お兄様・・・主役より目立ってはいけないからもう少し抑えて・・・」
「ああ、わかってるって・・」
本当にこの人いつもこうなんだから 楽しそうで何よりだけど
音楽が終わると拍手が起こった
音楽が終わると次々と会場にいる人達がダンスを始める
ダンスホールから出るといきなりフェドリックお兄様が女性に囲まれた
女性の輪の中から出ていくのが大変である
フェドリックお兄様も何とか女性たちをかき分けて二人でエドガーお兄様とエクシス王女の所に挨拶に行った
「ご婚約おめでとうございます」
「ありがとう、ルナティアが義妹になるのが一番うれしいわ これからはお姉様とよんでね」とエクシス王女が頬を赤らめながら笑顔で
応えてくれた
「アカデミーでも二人の時はお姉様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「それが実は、アカデミーは早期卒業したの・・・」
「そうなんですか」
「また、ゆっくりお茶をして話しましょう」
「はい、お姉様」
「フェドリック、ちゃんとルナティア見ておくんだぞ 目を離すな」と小声でエドガーがフェドリックに耳打ちした
「エクシス王女様 お兄様失礼いたします」
ルナティア達が去ったあと
「本当に、妹大好きよね あなた」
「お前の兄もな 世の中の大体の兄はこんなもんだ」
「はー!困ったもんだわ」
会場のホールに戻るとまたフェドリックお兄様が囲まれた
「え?ちょっとごめん 今日は妹のエスコートが・・・」
「お兄様私は大丈夫です 皆さんと踊って差し上げて」
「ほら、ルナティア様もそうおしゃってるますし」
とご令嬢たちはがっちりお兄様をホールドしている
「いや・・・あの・・ルナティア頼むからじっとしてるんだぞ」
むぅ・・いつまでも子供あつかいして・・確かに見た目はこんなだけど15歳なんだから
でも誰もダンスの申し込みなんてしてこないし 私と踊れる人なんて本当にお兄様達だけよね・・・
「あ・・落ち込んできた 風にでもあたろう」とバルコニーに出ると
庭にアリシアが走っていく姿が見えた
どうしたのかしら・・・あわててハイヒールをぬいでバルコニーから飛び降りた
いくらこのくらい平気でもハイヒールはちょっと危ないものね
アリシアは・・・っとこっちに行ったはずとあとを追いかけたが見失った
目の前には高い生垣が迷路のようになっていた
おお!昔大好きだった童話に出てくるような迷路・・・
と中に入っていく
「こっちは行き止まり・・ここも行き止まりじゃあこっちにいって・・・」と思ったら生垣の中に扉があった
扉を開こうとしたらあかない・・・
こういう時に前世では、なんていっていたっけ 確か・・・
体育館の準備倉庫が立て付け悪くて開かない時に・・・・
と記憶の中の靄の中で男子生徒が「ひらけーごま!」
そう「ひらけーごま!」
そういうと扉がキィーと開いた
うわぁ あいた・・・ 恐る恐る入っていくと薄いピンク色の薔薇と噴水がある庭園だった
あれ?王宮のライズ領の庭園に似ている
噴水の向こう側から人が現れた
「誰?」声の主は背の高い長い銀色の髪で金色の瞳の美しい男性だった
彼は「ああ・・君だったのか ルナティア」
「私を知っているのですか」
「ああ・・」
「そうですよね、小さな公爵令嬢 呪われた令嬢って有名ですもの」
「呪われただなんて・・君はそんな風に言われてはいけない」
「ごめんなさい・・でももう慣れてるし」
「ダメだ、ダメだよ ルナティア君はそんなことになれないでくれ」
真剣な瞳で真っ直ぐに見つめてくれるこの人の言葉をちゃんと受け止めないとおもった
「あなたは・・あなたの名前教えて」
「うーん そうだな 君が呼びたい名前呼んでほしいな」
「え・・・まさかあなたも精霊獣とかじゃないわよね?」
「ハハハ!そうだったらいいけど君の精霊獣になったら君だけをいつまでも守れるからそれもいいね」
「どうやら違うようね・・・じゃあ・・リュウ リュウってよんでいい」
彼は凄くびっくりした顔をしてから満面の笑顔で
「いいね!リュウ じゃあ僕はルナってよんでいい?」
「ええ、いいわ 」初めてあった人に愛称よびをゆるすなんてエドガーお兄様に怒られそう
「ねえ、ルナ耳を澄ませてごらん 王宮から音楽が聞こえる」
「あ・・・本当だ」
リュウが
「ルナティア・ライズ嬢 ファースト・ダンスの栄誉をお許しいただけますか」と礼をしながら手を差し出す
「光栄ですわ」とリュウに差し出された手に手を重ねる
フフッと笑いながらみつめあった 夜風が吹くと彼の銀色の長い髪が、風にサァーと流れる
音楽にあわせ踊り出すと薔薇が風に揺れ花びらが風に舞う
身長差はフェドリックお兄様以上にありそうなのだけれど私の体はふわりと宙に浮いている
リュウも魔法使いなのかしら・・・
先程から雲に隠れていた月が雲が切れて月明りが庭中に照らされると風が少し強く吹き薄ピンクの花びらが月明りに照らされながら風と共に私の周りをくるくると舞い踊る
すると私の体が、背丈も手足が伸びふっくらと胸も丸みを帯び年相応の体になり不思議なことにドレスが銀色のドレスに真っ赤なルビーのネックレスをしている
「あれ?みてリュウ・・私・・・背丈も手も足も伸びている・・・
ドレスやネックレスまで・・・ あなたの魔法なの?」
「さあ、どうだろう 月の女神の贈り物かもね
綺麗だよ ルナ・・いつもの姿も愛らしいけれど今はとても綺麗だ
でも 楽しい時間はもう終わりのようだ もっと君と過ごしていたかったのに
レディ 君のお迎えがきそうだ
また会おうね そうだ 僕のことは誰にも内緒だよ」
リュウの瞳が月の光に照らせて金色の瞳がキラキラ光り ところどころ赤い光がうっすらと浮かびあがっていた
不思議な瞳・・・・
手を離すとリュウは手を振りながら月に照らされながら一瞬で消えてしまった
気がつくとあの扉は消えて生垣の前で 体もドレスも元に戻っていた姿でしゃがみこんでいた
しゃがみこんでいる私の前に
「探したよ ルナティア」息を切らして汗だくでフェドリックお兄様が現れた
フェドリックは会場にルナティアがいないのに気がつきエドガーの例の追跡魔法のついた魔道具でも探したが全然感知せず婚約式だというのにエドガーはフェドリックに怒り心頭である
「ルナティア 兄上に顔だけ見せて今日はもう帰ろう」
「はい、お兄様」
エドガーにふたりは、こってり絞られ今日は寮ではなく邸宅へと帰る
入浴をしベッドへと入る・・・
あのリュウとの時間は夢だったのかしら
そうよね私の体が年相応になるなんて・・・・
アリシアにも会えなかった・・・
今度必ず・・・・そう思いながら眠りについた




