エドガーの想い
「待たせたわね ごめんなさい」
エクシス王女は衣装室責任者や使用人にそう謝罪すると
つい先ほどまでのイヤイヤ期の子供のような態度を一変してテキパキとドレスを決めてエドガーが既に準備している婚約式の準備を確認し細かい内容の変更を指示していた
パラパラと準備内容を確認しながら
「私の好きな花や好みの飾りつけにしている・・・」
「ええ、エドガー様は婚約が決まってから城の使用人にお声を掛けられエクシス様のお好きなものや好みを聞きながら婚約式のご準備をされていましたよ」
「そうなの・・・」そんなに悪い人でもないかも・・・と一瞬エクシスは思いそうになったが・・・
いやいや、この婚約は契約だし・・・あんなこと平気で言う人なんだから
とあの時のことを思い出していた
ー 数時間前 ー
「エクシス様、そろそろお部屋からでてご準備なさらないと・・・
婚約式なんて大切なこと私共で勝手にご準備してもよろしいんですか?」
「いいから勝手にして」とエクシスはベッドの上で布団にくるまり丸くなっていた
ドンドンと部屋の扉をたたく音がした
「エクシス王女!エドガー・ライズです お話しがあります ここを開けてください」
「いや!絶対いや」
「エクシス様・・・ ライズ小公爵様 今はお引き取りいただけませんか」
「侍女長どの そろそろこのやり取りも終わりにしませんか・・・
扉の近くにいらしゃるのであれば離れてください」
「え?」とそういいながら反射的に侍女長は扉から離れた瞬間
ドドドーンと扉が真っ二つに割れて崩れ落ちた
その向こうにはエドガーと騎士が立っていた
崩れ落ちた扉をこえてエドガーが部屋に入ってきた
「侍女長 席をはずせ」
「なりません」と侍女長は布団にくるまるエクシスを抱きしめて拒否をするが
「心配するな 乱暴なことはしない 話をするだけだ」
すでに乱暴なことしてるし・・・
その場にいたものすべてがそう思った
「大丈夫だから・・まかせてくれ」そういって侍女長に頼む真剣なエドガーの瞳をみて
「わかりました・・お約束ですよ」そう言って席を外した
侍女長は騎士たちによって壊れた扉から廊下の方に出ていった
エドガーは防音結界をかけベッドにいるエクシスの元に行き跪いた
「エクシス王女殿下 私の話を聞いてほしい・・・
まず、この婚約は国王陛下から受けた勅命でございます」
「そんなことは、わかっています・・・」
「いや、あなたは何もわかっていない 今あなたがおかれている立場やあなたがずっと命を狙われている事もそしてそれが今一番危うい状態であることも」
「わかっています!だ・・・だって先日の入学式だって・・・」
「あれは・・まだ序の口・・・そしてこの婚約は貴女の命を守るためだけではない」
え・・・・
「シリウス・・・シリウス殿下の為です シリウスは生きている
彼が帰ってくるため玉座を守らなければならないのです」
「お兄様が・・・どうしてエドガー様はそのように自信をもっておっしゃるの」
そう言いながらエクシスが布団からゆっくりとおそるおそる出てきた
「ふっ・・・ルナティアがモモンガならあなたはハリネズミのようだな」
とエドガーが立ち上がり手を差し伸べてソファまでエスコートすると
「だれがモモンガでだれがハリネズミですって!」
「ほら、そうやって今もツンツン針をのばして威嚇してくる」とくすっと笑う
え・・・笑った・・・この人笑う事あるのねエクシスがそう思いながらソファに座るとエドガーが侍女長が用意していた茶器の方に行き
「ん~・・・湯が冷めているな・・・」と言いながらパチンと指をならし魔法で冷めたお湯をあたためなおしてお茶を淹れてお茶菓子と一緒にソファのテーブルに置いた
「ここから少し昔話にもなりますのでお茶を飲みながら話しましょう あなたも少しおなかがすいていませんか お菓子で足りなければサンドイッチもありますよ」
パチンと指を鳴らすとサンドイッチがテーブルの前に現れた
「大丈夫ですよ、変なところから出したわけではない 王宮の調理場にある材料はすこし減っていますがね」
「おなかなんて・・・」そういうエクシスのおなかがかすかにキュ~となった
赤面するエクシスに
「どうぞ、召し上がれ」と無表情にエドガーがサンドイッチをすすめた
「ありがとうございます あなた魔法も凄く上手なのね」とエクシスは、ぱくっとサンドイッチをほおばった
「お褒めにあずかり光栄です」
おいしい・・・ こくりとお茶を飲みお茶も美味しい・・・
「シリウスは・・・」
あら、この人またいきなり話を始めた・・・
本当にマイペースといえばマイペースなひとね
気を張っているのが少し馬鹿らしくなってきた…
と思いながらもぐもぐとサンドイッチを食べながらエドガーの話を聞いていた
「シリウスと初めてであったのはシリウスが5歳 俺が7歳だった あいつは王妃である母を亡くしたばかりだった 本当にまだ5歳なのかと思うぐらい大人びていた
幼い頃から彼はいずれ国王になり俺はライズ公爵として彼を支えるものとして教えられ育てられ一緒に学び鍛錬をしていた 主従関係のようであり親友でもあった
お互いに心の内を話したし、よくケンカもしていた
アカデミーに入学後もその関係は続いていた・・・5年前のあの日まで」




