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異世界召喚された直後に求婚されました  作者: 時継
第一部

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23/72

ありさの返事 そして終幕

「ねえ、シャール、どう思う?」


わたしはベッドに寝転んで、同じくベッドの上で丸くなっているシャールに聞いてみた。

いまは相談相手がこの黒猫しかいない。


「エリオットについていったほうがいいのかなぁ?」

「さあな」

シャールはめんどくさそうに答える。


「ローリンエッジについた途端、わたしたち捕まって処刑されるかもしれないんだよ?そうなったら一緒に死んでくれる?」

「あのなあ『一緒に死んで』なんて情熱的なセリフは、オレじゃなくてあの甘ちゃんの王子様に言えよな」


情熱的!?

「あんたがちっとも気づいてないみたいだから、さすがに気の毒になるよ。あいつ、相当あんたに惚れてるっていうのにさ。言ったら喜ぶんじゃないか?」

「いやいや、今日のあれは、甘々カップルごっこよ」

「なんだそれ。あれが演技だと思うか?あいつの声、必死だったぜ?好きならついて行けばいいだろ」


「わたし、一回断ったのよ。『わたしのことは忘れてほかの人と幸せになって』とまで言ったのよ?なのにいまさら、やっぱりついて行きますなんて言えると思う?」

「言えるだろ」

「言えないわよっ」


「めんどくせー。寝る!」

シャールはぷいっと反対側を向いて寝てしまった。


「うそぉ、あれ本気だったの?」

今日のエリオットの愛のささやきの数々と体の熱さを思い出して、心臓が跳ね上がるようにドキドキしはじめた。

妙な勘違いをしていて逆によかったかもしれない。

そうじゃなければ、デート中にわたしの心臓がもたなかっただろう。



*****


あっというまに時が過ぎ、お屋敷にペンダントを受け取りに行く日になった。

この数日で気温がどんどん上がり、春に近づいてきていた。


今日は、エリオットにプレゼントしてもらったフレアワンピースに髪には銀細工のバレッタをつけ、胸にシャールを抱いてお屋敷に向かった。


到着すると、ごはんを炊くにおいが漂っていて、ほっとする。

シャールは、庭を散歩してくると言って、わたしの腕から飛び降りて行ってしまった。


迎えに出てきたレイラが、深々と頭を下げ「先日はわたくしたちを助けていただいてありがとうございました」と言った。

「みんな無事でよかった。わたしのほうこそずっとみんなに助けられっぱなしで、恩返しができてよかったわ」と言うと、レイラは顔を上げ、二人で笑いあった。


そのあとレイラが大げさなほどにこのワンピース姿を「かわいらしい」とほめてくれるから、エリオットにプレゼントしてもらったのだと、はにかみながら言った。


レイラはその様子を見て、今日はいいお返事を聞けるにちがいないと確信して、エリオットを呼びに行った。


わたしは、ごはんの炊ける香りに誘われるままに厨房へ向かう。

「ニコラス、何作ってるの?」

ニコラスが振り返る。

「おう嬢ちゃん、本当の姿のほうがしっくりきてるじゃねえか。今日はおにぎりパーティーだって聞いてるか?」


おにぎり!

もっとダボッとした服を着てくればよかったかな。腰のリボンを緩めればいいかな、とお腹に手を当てて考える。


「今日は残りのコメを全部使ってるから、好きなだけ食べられるぜ」

「そっか。お米ついに使い切っちゃったんだね」


わたしが残念そうに言うと、ニコラスがガハハと笑いながら

「ぼっちゃんがな、コメの入手ルートをどうにか確保したとかなんとか言ってたから、心配しなくていいって」

と教えてくれた。


「嬢ちゃんのために相当頑張ったらしいぜ」

とニヤニャしながら言われて、嬉しいやら恥ずかしいやら、顔が熱くなるのがわかった。


「アリィ」

名前を呼ばれて振り返ると、エリオットと、その後ろにセバスチャン、レイラがやって来るところだった。

エリオットに駆け寄ると、

「これからもおコメを食べられるのね?エリオット、ありがとう」

とお礼を言い、ニコラスを振り返って

「エリオットと少しだけ話があるから、それが終わったらおにぎり作りを手伝うね」

と言うと、またエリオットに向き直る。


「あのね」

と言ったところで、エリオットの「待った」がかかった。

全員がそろっている場でアリサにフラれたら本格的に立ち直れない、そう思ったエリオットが「アリィ、庭に出よう」と言って、ありさの手を引いた。



「あの二人、そういうことに疎いオレから見ても、すでに恋人同士にしか見えねえんだけどな」

ニコラスのつぶやきに

「ですよねぇ」と答えるセバスチャン。

「お二人とも不器用なだけです。ほほえましいですわね」と笑うレイラ。


三人にそんなことを言われていたとは全く気付いていないわたしは、手を引かれるがままに庭のベンチまで連れていかれた。


エリオットにどんな顔で会って、何て言えばいいだろう?と昨晩はなかなか寝付けなかったのに、いざお屋敷まで来てみたらそんな心配は吹っ飛んでいた。

姿がかわっても変わりなく温かく迎えてくれるみんなに囲まれて、居心地のいいこのお屋敷こそが、わたしの居場所だったんだと実感した。


「きみの返事にショックを受けて忘れるといけないから、先に渡しておくね」

エリオットがペンダントを取り出した。

希望通りのシンプルなペンダントヘッドに細工してもらった海神様の祝福の石と、金のチェーンの素敵な仕上がりになっていた。


「つけてもいい?」

エリオットに聞かれて、コクンと頷く。


「似合ってる。失くさないようにするんだよ」

ありがとうとお礼を言ってエリオットを見上げると、情けない顔で笑っていた。

「エリオット、泣きそうな顔してる」


たまらず両腕を回してわたしを抱きしめようとしたエリオットよりも先に、わたしのほうからエリオットに抱きついていた。


「あなたのこのぬくもりが大好き。ずっとずっと一緒にいたい。

魔女としてあなたの国へ行っても守ってくれる?」


「もちろんだ。最後までアリィを守って、味方でいつづけるよ」


「それでも、もしもわたしが処刑されることになったら、一緒に死んでくれる?」


「もちろんだよ。そんな覚悟とっくにできてる」


「あなたについてローリンエッジ王国に行くわ。これがわたしの答えよ」


エリオットは体を離すと、片膝をついてわたしの手をとった。

「スズキアリサさん、僕と結婚してください」


「喜んでお受けいたします。エリアス殿下」


立ち上がったエリオットに強く抱きしめられた。

「アリィ、絶対に幸せにする。大好きだよ」

そして、わたしたちは口づけを交わした。




王子様と魔女との契約が成立した。

そんな大それたことをしてしまったという事実を、後日、ローリンエッジ王国で聞くことになるのだが、それはまた次のお話――。



初投稿の拙い文章をここまで読んでくださったみなさま、ありがとうございました。

これにて第1部終了です。

数日お休みしてから第2部をスタートしたいと思っております。


次の舞台はエリオットの祖国、ローリンエッジ王国になります。

引き続き読んでいただけると幸いです。

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