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陶芸部の日常  作者: もち
三大義務
32/33

〈15〉

【ごあいさつ】

本日11/1〜3月末まで、都合によりすーぱー不定期ヘロヘロ更新になります!4月からはまた定期更新に戻し、しっかりと完結させる予定なので、気長にお待ち下さると嬉しいです(*´ω`*)



転移装置までの道を、フードはひとり歩く。その瞳は足元ばかりを見つめていたが、言い知れぬ恐ろしさを醸し出していた。



―…この街はダメだ。楽しかった日々を思い出して敵わない。



拳を握りしめながら足早に進む。その手のひらには赤い血が滲んでいた。



「やっほーふーちゃん、もう帰るの?」



ふと、前方から声をかけられる。あからさまに怒りを顕にしている彼女に声をかけられる人物なんて、早々いるものではない。


億劫そうに顔を上げたフードの前には、優しく微笑むアマネの姿があった。



「…そうですよ。特に用もないですからね。」


「ひっどい。私とおしゃべりするという選択肢はないわけか」


それに、と彼女は続け、握りしめられたフードの手を優しく取った。



「こんなの見せられちゃ、救護部隊隊長として、っていうか貴女の数少ない友人として、黙って見過ごしてあげられないの、分かんない?」



「……わからない」



ぷい、と顔を背けるフードにうっすらと微笑みながら、腰につけたポーチから包帯を取り出し器用にも巻いていく。


そんなの別にいいし、というフードの声も無視である。



「ねえ、ふーちゃんの怒りも分かるよ。まーちゃんは自分勝手だからね。周りの人はみんな、怒りに震えてるよ。だから、ね。」



ふわりとフードに近寄る彼女は、優しくその震える肩を抱きしめた。

びくりと一瞬躊躇うような反応があったが、取り分け払いのけるでもなく、黙ってフードは受け入れた。

その様子に満足そうにアマネは言う。



「我慢しなくていいんだよ。辛いことがあったら話していいの。ま、まーちゃんが起きたら、みんなで説教だけどね。」


「………うん」


「ってことで、出てきていいよー。しほうさーん!」


「や、やめろ。大きい声を出すな恥ずかしい!」



その声と同時に物陰から顔をひょっこりと出すのは四方。いつものダボッとした軍服姿ではあるが、その顔は羞恥で真っ赤であり、いまいち締まらない。



「…なんで、四方さんが?」


「この人ねー、ふーちゃんが暗い顔して病室から出て行くの見ちゃったらしくて、私に慰めてやってって頼んできたのよ。勤務中の私に。自分でやんなさいよね。」


じとーっとアマネに眺められ、バツの悪そうな顔でフードに近寄る四方は、不安そうに尋ねる。



「…迷惑だった?」


眉を下げ尋ねるその姿は、しゅんと落ち込む犬のようで、まるでいつもの気高さや厳かさが感じられない。


そんな姿に、フードは思わず吹き出した。

珍しく声を上げて笑う彼女に、四方は、キョロキョロと落ち着かなくなる。


「え、え?…なにか面白かったか?」


「馬鹿にしてんのよ。貴方のマヌケ面を。」

「そ…!そんな、顔…してないわよ、ね?」



そのやりとりすら面白いというように、フードは笑う。

その声につられて二人も笑い、天気には似合わない明るい雰囲気が辺りに漂う。



「もう、大丈夫です。ありがとうございました。姉のこと、よろしくお願いします。」


「それはよかったわ。じゃあ、私も今日は仕事があるからこれで。またねふーちゃん」


そう言い去っていく四方の耳が赤いのは、ご愛嬌だろう。


「私も戻るわー。これ、アイツに渡しといて。」


ぴっとアマネはフードに水色の封筒を差し出す。了承し受け取られたのを確認し、彼女もまた仕事場に戻って行く。


先程までとは少し違った気持ちで、フードもその場を後にするのだった。




━━━━━━━━━━━━━━━━━



「…で、これはどういったつもりなんでしょうか?」



目の前に広がる黒い集団を見やり、フードは冷たく言い放った。

学ランを身にまとった如何にも柄の悪そうなカラフル頭の集団は、一人一人が武器を構え、橋の向こうで待ち構えていた。



「いっやあ〜、真野サマ、重症だそうで。傷心の貴女をいたぶってやろうと思いまして?」


「てめえ等の時代はもう終わったんだよ!今日から天下は俺ら、"黒鴉"のもんだ!!」


「流石のお前も、この数の前にはひれ伏すことしか出来ないだろうなぁ!!泣いて謝ったってやめねえよ?なんてったって黒の経験値はやベェからなぁ!!!!」



口々に程度の低い言葉を喚き散らす集団を見て、しかしフードは口の端を釣り上げ笑った。今日の彼女は機嫌が良いのだ。

それにしても黒鴉とは。鴉そのものの色を押し出して、何がしたいのだろうか。


「ふふ、今日の私は生憎ですが、とっても機嫌が良いんですよ?だからね、銃であっさりと決めちゃうのはなんだかもったいないので…」



スゥと彼女の手には大振りのナイフが握られた。目には見えない速さで、その刃は揺れている。



「覚悟のできた方からどうぞ。これでお相手して差し上げますよ。」



「ちょ、総長!!!やベェっすよ!なんか禍々しいオーラが!」


「そ!それはあれだ!傷心の現れだ!!!」

「ひぃぃ!!!お腹!お腹痛いんで帰ります!!!!」


「っざけんな!!女にビビってどうすんだよ!!」


「つうか銃ぶっ放されるだけで半端ねえのになんかあのナイフやばそうじゃね!?!!」

「俺は最初から反対だったんだよ!!!!」


「いいから行くぞてめえ等!!ウオオオオ!!!!」



雄叫びを上げながらフードに向かい走りだす黒鴉。

彼らがどうなったかは、もはや言うまでもないだろう。



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