表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陶芸部の日常  作者: もち
三大義務
25/33

〈9〉


本日二回目の投稿です。

 


「…どうしてこうなった」



目の前の赤髪の男は大剣をこちらにかざし、様子をうかがっている。

いつの間にか周囲にはギャラリーが湧いており、僕には逃げることが許されないようだ。



「どうしたよさとし!!!俺は逃げも隠れもしない!かかって来い!!!!」



声量を考えることはできないのだろうか。煩い。菩薩を目指す穏やかな僕だが、流石に耐え切れない。


しかし、武器…あまつさえ戦う能力すらない僕には何も出来ない。誰か助けて。


数分前まで、僕はトマに学園を案内されていて、その中で見つけた庭園の青々とした芝生に横になり、静かな時を過ごしていた。


そこに現れたのが彼。ヤスリと名載った彼は、俺と戦え!!!と一方的に告げた後、猫の首でもを掴むような動作で僕を門の外に放り出した。


もちろんトマは必死に止めてくれたのだが、彼女のその小さな体では何もできず、僕も、彼の馬鹿力の前では流れに身を任せるしかできなかった。



「神殺しに見初められたなんて、お前強いんだろ?俺、お前と熱い戦いがしたいんだよ!!早く来い!」



嗚呼煩い。何だこの戦闘民族は。僕を巻き込むな。



「来ないんならこっちから行くぞ!!!!」


僕に一直線に向かってくる彼は力任せにその大剣を振り下ろす。


咄嗟に僕は両腕でガードの構えをとったが、あれ、これ腕落とされるんじゃね?



そう思った瞬間、僕の指から外れない、あの指輪が光を放った。



「うわっ!!!!なんだ!!」



慌てて離れるヤスリ。そして僕の手には、見覚えのある竹刀が握られていた。



「……は?」



雨の日も風の日も欠かさず毎日振るった竹刀。その感触は間違いなく僕のものだと主張していて、不思議と安心した。


いや、何故向こうのものが手元にあるのか、疑問を持つべきだろうか…?



「なんだそれは!!お前の獲物!?熱いな!!」



僕は断じて熱くない。暑苦しいのはお前だけだ。そんな呑気なことを考えられるのは一瞬。直ぐに頭を切り替え、向かい来る相手の攻撃を紙一重で受け流す。



勢いのついた大剣に触れたのにも関わらず、僕の竹刀はピンピンしている。強い子…っ!


続く攻撃を払い続けたが防戦一方ではつまらない。やり返したい気持ちはあるが、実戦経験のない僕が不用意に飛び出しても、無駄に怪我を負うだけだ。



周囲に目を配りすがれそうな相手を探す。その時、



ドッシャァァアアアアン!!!!



目の前の相手が吹っ飛んだ。


彼がいた場所には長身のその人、和佐様が不機嫌そうに佇んでいらっしゃいました。


「あ…、」


手につけていた黒いグローブを外しながら、彼は、近づいてくる。



「怪我はねえかよ?」


「かすり傷です…」


怯えたように答える僕に中に戻るように言うと、彼は、ギャラリーに散るように命じた。

僕の手の中にあった竹刀は、いつの間にか消えていた。




━━━━━━━━━━━━━━━━━



カフェテリア内で和佐さんと向かい合う。威圧感がすごかったが、隣で自分の体よりも大きいケーキに目を輝かせているトマで緩和された。



「お前はやべえ奴に目えかけられてっからな、あんな奴はごろごろ湧いてくんだろ」



緑茶を啜りながら言う和佐さん。


返事をしようとした僕の代わりに、腹からは情けない音が響いた。



「あ、すいません。昼食べてなくて…」


「はあ!?………なんか好きなもん買ってこい」



黒い財布を無造作に投げた彼は、肘をつき、小さく息を吐いた。



━━━━━━━━━━━━━━━━━



和洋中となんでも揃っていそうなメニュー表を前に僕が悩んでいると、肩の上に気配を感じた。



「いっぱいあって迷っちゃうよね!」


「うん。釜玉うどんととろろそばで迷ってる」


「私釜玉派〜!」


トマの言葉に乗っかり、釜玉うどんを注文した僕は、受け取りスペースへと向かう。


「あのね、さとしくんって指輪が武器なんだよね?ちょっと見せてほしいの!」


そう言うトマに手を差し出すと、手の甲に降り立ちしげしげと眺めはじめた。


「…見たことないなあ。一見ただの指輪だものね。竹刀が出てくるなんてありえないよ〜」


「そうなの?真野の剣だって、形が自在に変わるよね?」



トマは、こちらを見ると、目をぱちくりと瞬かせた。



「あれは特別だよ〜?カミサマで出来てるんだもん」



当然だ、とでも言うようなその物言いに、僕は眩暈がした。






〈お知らせ〉

ご愛読ありがとうございます。

次回より、投稿は基本的に土日祝日+αとさせて頂きます。

ブックマークもアクセスしていただけるのもとっても嬉しいです!これからもよろしくお願いします(。・ω・。)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ