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陶芸部の日常  作者: もち
三大義務
22/33

〈6〉



「最後の一体はあああ!!!わたくしがぁぁぁっ!!!」


「ならぬ!貴殿は怪我を負っておる!拙者に任せたもう!!」


「いっやぁ、俺やるっすよー、先輩達は休んでてくれていいっすから」



疲れているはずの三人は、残る一体のピエロを倒すことに躍起になっている。


メリーと一茶、槙原と小夜が二人で一体ずつ。真野とフードが各一体黒鼻を倒したので、残る一体により、今日の功績が決まると考えているようだ。



「仲良く三人で倒せばいいじゃありませんか。そう思いません?四方さ…、四方さん?」


その強端に整った美しい顔は、何故か不服そうだった。


「ふーちゃん、これ持ってて」



羽織っていた軍服をフードに投げ渡すと、颯爽と敵へ向かう。その手には白い槍が握られていた。


「退きなさい。それは私の獲物よ。」



そう言うと、彼女は敵に瞬間的に近寄る。炎の魔女戦から戦い続けているとは思えないそのキレのある動きに、その場にいたものは思わず目を見張った。



ピエロは反撃を試み俊敏に動くも、縦横に流れるように振るわれるその槍の動きに翻弄され、ただただ刻まれていくのみであった。


しかし、流石の再生能力である。即時にその傷は、回復していく。



「ちっ、これじゃやっぱり埒が明かないわね…」



仕方がないかぁと溜息をつくと、四方は笑った。


「玄龍みたいになるのは癪だけど、死ぬ気で大技使わせてもらうわ。」



そう言うと、その槍を頭上に持ち上げ器用に回転させ始める。すると、その槍に纏いつくように竜巻が発生し、バチバチと紫色の雷が発生した。



「グ…ギ…ギギィィィヤイィ!!!!」



決死の覚悟で飛び出したであろうピエロの心臓を、天災を纏いし槍が貫く。


その瞬間、その体には一瞬ビリリと電撃が走ったかと思うと、その全てが超高速の風により霧散した。



「す、すげえ…」



周囲の者は皆一様に呆然とし、羨望の眼差しを送る。これが第一戦闘部隊副隊長、四方の力だ。



と、そこに聞き慣れたバイクの音が聞こえる。



「ようお前ら。任務完了だな、お疲れさん」


にやりと笑った彼は、ふらふらとした足取りで四方に近寄る。



「お…おっさん!!!!体は大丈夫、なの?」


「真野ぉ…、おっさんはやめろおっさんは。玄龍様と呼べ」


「元気そうでよかった」


「おう。心配かけてすまねえな」


「元気ならいい」


そう軽口を叩き合いながら四方を抱え、バイクに向かう玄龍。


「…あんた、アマネに怒られるわよ」


「お前もだろ。何やってんだよ、無理すんな」


バイクの後部座席に四方を座らせると、再び自身もバイクにまたがり、みんなを見やる玄龍。



「お前らの働きによって、これでまた人類の勝利に一歩近づいたわけだが、これから先何があるかわからん。精進しろよ。俺みてえにな。」



そう言うなり颯爽と去っていくその背中を見て、各々が気持ちを巡らせた。同時に、通信石から声が聞こえる。



『こちら司令官ギルバートだ。皆の者、よくやった。ウーフから殲滅完了の合図が出た。これからそちらに向かいのものが行く。帰還し、静養せよ。』



そんな知らせに、皆の顔が綻ぶ。



「くーっ、疲れたっすね。でもやっぱ、今回のMVPはなんとなく玄龍さんっぽいっすよね」


「少なくとも先輩はないですよね。思い上がらないでください。」


「ふーちゃん厳しーー!」



遠くから迎えのトラックの音がする。



「メリー、傷は大丈夫?」


一人青い顔をするメリーは、コクリと頷く。

「大丈夫、ですわ。まーちゃん、お気遣い有り難うございます。」



その顔にはいつもの狂気は感じられない。彼女は、所謂戦闘狂であるが、一歩戦いの外に出れば、誰よりも可憐な少女である。



「拙者が無力なばかりに…。すまない。だが、姉者の手によれば、たちどころに回復するであろう。案ずるな。」



戦いの後の穏やかな雰囲気。一人も欠けなかったからこそのこの余韻を、誰もが愛しいと思った。




━━━━━━━━━━━━━━━━━




砂漠の中を一台のバイクが走る。後ろに座る女の顔には疲弊が色濃く落ちる。



「お前は何だってあんな技使ったんだよ。…俺が回収してやんなかったら、あいつらに情けねえ面見せてたな、感謝しろよ」



その男の声に、彼女は弱々しく答える。



「うるさいわね。あの子達ばかりに頑張らせるわけには、いかないのよ…」



「はっ!てめえが頑張ってることなんざ、知らねえ奴はいねえよ」



バイクはゆるりと止まり、玄龍は、彼女に一度降りるように伝える。そして、今まで彼女が座っていた椅子…クーラーボックスを開け、ビールを二本取り出した。



「何はともあれ、皆生きてんだ。喜べ。」


一つをを彼女に手渡すともう一つのプルダブを上げる。



缶のぶつかる音が、カツンと響いた。




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