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陶芸部の日常  作者: もち
三大義務
21/33

〈5〉


「玄龍。まだ寝ていろ…。」


「はあ?誰が仲間が戦ってる中ぐーすか寝るんだよ」


簡易救護テントの中、ベットに横たわるのは、漸く動きを止めた第一戦闘部隊隊長。彼の横には白い軍服に身を包んだ、総司令官が座る。

二人の視線の先には、十数台のモニターがあり、そこには、突如現れた黒鼻に苦戦する者達の姿があった。



「ちっ、次から次へとよくもまあほいほいと、なあ?」


「炎の魔女の後にこれだ。今までは前の襲来から最低でも三ヶ月は空いていた。何か悪い兆しのようでならないな」


体を起こすと玄龍はにやりと笑った。


「はっ!手間が省けていいんじゃねえの?全48体のカミサマのうち、ピエロ倒しゃああと16だろ?このペースで来てくれるんなら、俺が倒しちまえるぜ」


総司令官が深くため息をついたと同時に、画面から大きな衝撃が聞こえた。



『…私が最初に倒す予定だったんだけど、真似しないでよ、お姉。』


『あはは、ごめんごめん。でもさ、考えることは同じだったね』



『『再生できないほどの速さで、塵一つ残さないほどに粉々にすればいい!!』』



二人の少女は同時にそう言うと、拳を合わせた。



「…はあ、お前みたいな考え方だな。似てきたんじゃないのか。」


「良いことじゃねえか、あいつらもこの俺のように…おいギル!伏せろ!!!」


言うなり玄龍は、剣を構えた。ギル…総司令官が頭を下げると同時に、その剣からは赤黒い炎が飛び出した。



「ギィギョギャギャァ!!!!」



その先にはいつの間にか、例の黒鼻のピエロがおり、見事に当たった炎にのたうち回っていた。



「どーれ、俺もやってみるか!塵一つなく…だっけか?」


「やめろ!傷口が開く!!というか何だその炎は!?!?」



ベットから一回の跳躍で相手の側まで近寄ると、未だメラメラと燃え続ける敵を眺め、玄龍はそれは楽しそうに口を歪める。



「お前、再生能力が売りなんだろ?…俺の新しい力の、試し斬りにでも付き合えよ!!!!」


「はいそこまでー」



その声と共に玄龍の体は宙を舞い、救護テントのベットの中に投げ戻される。


「安静にって言ったの、聞こえなかったわけ?」



そこにいたのは白衣の天使、もといナース姿の優しそうに笑う女がいた。彼女はその左目を隠すような金髪のショートカットをなびかせていた。



「あの馬鹿はあとでお仕置きするとして〜…」



「ギギぃ……?」



笑顔はそのままにピエロを見やった彼女の周りには、メスや医療用のハサミなどが円を描くように浮いていた。



「恨むなら、人型に生まれたことを恨みなさい。生憎人の構造って誰よりも把握してるの、私。」



突如として始まった情け容赦のない彼女の攻撃に、見ていた者達は震え上がった。



「お、お仕置き…って、なんだろうな…」


青い顔をしながら隣を見やる総司令官だったが、そこに玄龍の姿はなかった。


逃げ足の早さは相変わらずである。



テントの外では、ピエロの怯えるような声と、例のナースの愉悦に満ちた声が響く。



残り16体…。ここに至るまでには膨大な時間と犠牲が生じた。自分が生きているうちに終わらせることなんて、できるのだろうか。


そんな思いが浮かんだ時、同時に浮かぶのは頼もしい同期の背中。


そして、次の世代の姿…。


自分たちは成し遂げられることができるのだろうか、いや…



「成し遂げるんだ。必ず。」



そう呟くと、ギルは歩き出す。

その腕に課せられた、使命を果たすために。




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