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陶芸部の日常  作者: もち
新生活
15/33

〈8〉



呆然としたまま帰路につき、気づいたら館…僕の新しい家に到着していた。


 

家につき、先に風呂に入らせてもらい、自室で髪を乾かしつつ、真野の言葉や今後のことについて思いを巡らす。


僕も、戦うことになるのかな?


いかに自分が今まで穏やかで平和な場所にいたのか、酷く思い知らされる。


すると、外から控えめなノックが聞こえた。


「さとし、ちょっと聞いて」


「真野…?ちょっと待ってて。今行く」


立ち上がるも、静止される。


「そのままでいいから。…さっきは、突然ごめん。衝撃的だったよね。でも、すぐに知ることになるんだし、先に教えちゃいたかったんだ。」


「大丈夫、ちょっと驚いているだけで…」


「さとしは……」


長い沈黙の後、真野は何かを避けるように続けた。


「今日、夕飯肉じゃが作ったんだ。自信作。一緒に、下行こっか」



━━━━━━━━━━━━━━━━━



真野の肉じゃがは、今まで食べた肉じゃがの中で一番に美味しかった。



朝と違い真野の隣にはジャージさんが座っているのだが、彼は大きなグラスに入った牛乳を静かに啜っているだけであった。


なんとなく触れてはいけない空気があり、問うことはできなかった。



「指輪か、聞いたことないですね。技術屋にでも聞いてみたらどうですか?」


いつの間にか僕の武器の話になっていたらしく、フードさんが僕に言った。


「技術屋って?」

「街を支える化学技術や、武器の性能を上げる…所謂改造などの研究を請け負っている者達がいるんです。彼らなら何か分かるかもしれませんよ」



ここではそれぞれがその特性にあった働きをしているようだ。戦うだけが道ではないのか。


「お、じゃあふーちゃん、明日さとしと研究所に行ってきてよ」


「なんで私が。おねえのがあいつらと仲いいじゃん」


「私、明日用事あるし。なんか夕飯に好きなもの作ってあげるから〜」


「う………ぐらたん…。」


「了解。じゃ、頼んだよ。何かわかるといいね〜」



そんな会話をしながら夕食を終え、僕は疲労もあってか、すぐに熟睡してしまった。




━━━━━━━━━━━━━━━━━



『緊急招集。緊急招集。総員直ちに戦闘配置せよ。各自腕章に送られた支持に従うように。繰り返すー…』


けたたましいサイレンの音が聞こえ、僕は飛び起きた。同時に、どこからか物々しい支持が聞こえてきた。


「緊急…招集?」


支持にあるように腕章を見やると、『不参加』の文字が。



呆けていると、荒々しくドアが開いた。



「ごめんなさい田中さん!!今日の約束は守れません!」


息を切らしてそう言うと、黒いパーカーを羽織った少女は忙しなくそう言った。僕の腕を掴み、表示を確認する。



「不参加…。良かったです。出陣及び待機の表示の者は川の向こうに向かうことになります。田中さんは、自宅待機で結構です。」


階下から真野の、あと五分〜というのんびりした声が聞こえる。



「外の状況は、テレビで映像が流されるので、気になるようでしたら見てみてください。あと…」


「うん?」



「私も姉も、帰れる保障はありません…。戻らなかったら、自分で生きる覚悟を、お願いします」



僕の目を見てはっきりと告げると、フードさんは踵を返した。


その強い背中に、なんと声をかければよいのかわからず、僕はただ、ドアが閉ざされるのを眺めることしかできなかった。





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