〈8〉
呆然としたまま帰路につき、気づいたら館…僕の新しい家に到着していた。
家につき、先に風呂に入らせてもらい、自室で髪を乾かしつつ、真野の言葉や今後のことについて思いを巡らす。
僕も、戦うことになるのかな?
いかに自分が今まで穏やかで平和な場所にいたのか、酷く思い知らされる。
すると、外から控えめなノックが聞こえた。
「さとし、ちょっと聞いて」
「真野…?ちょっと待ってて。今行く」
立ち上がるも、静止される。
「そのままでいいから。…さっきは、突然ごめん。衝撃的だったよね。でも、すぐに知ることになるんだし、先に教えちゃいたかったんだ。」
「大丈夫、ちょっと驚いているだけで…」
「さとしは……」
長い沈黙の後、真野は何かを避けるように続けた。
「今日、夕飯肉じゃが作ったんだ。自信作。一緒に、下行こっか」
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真野の肉じゃがは、今まで食べた肉じゃがの中で一番に美味しかった。
朝と違い真野の隣にはジャージさんが座っているのだが、彼は大きなグラスに入った牛乳を静かに啜っているだけであった。
なんとなく触れてはいけない空気があり、問うことはできなかった。
「指輪か、聞いたことないですね。技術屋にでも聞いてみたらどうですか?」
いつの間にか僕の武器の話になっていたらしく、フードさんが僕に言った。
「技術屋って?」
「街を支える化学技術や、武器の性能を上げる…所謂改造などの研究を請け負っている者達がいるんです。彼らなら何か分かるかもしれませんよ」
ここではそれぞれがその特性にあった働きをしているようだ。戦うだけが道ではないのか。
「お、じゃあふーちゃん、明日さとしと研究所に行ってきてよ」
「なんで私が。おねえのがあいつらと仲いいじゃん」
「私、明日用事あるし。なんか夕飯に好きなもの作ってあげるから〜」
「う………ぐらたん…。」
「了解。じゃ、頼んだよ。何かわかるといいね〜」
そんな会話をしながら夕食を終え、僕は疲労もあってか、すぐに熟睡してしまった。
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『緊急招集。緊急招集。総員直ちに戦闘配置せよ。各自腕章に送られた支持に従うように。繰り返すー…』
けたたましいサイレンの音が聞こえ、僕は飛び起きた。同時に、どこからか物々しい支持が聞こえてきた。
「緊急…招集?」
支持にあるように腕章を見やると、『不参加』の文字が。
呆けていると、荒々しくドアが開いた。
「ごめんなさい田中さん!!今日の約束は守れません!」
息を切らしてそう言うと、黒いパーカーを羽織った少女は忙しなくそう言った。僕の腕を掴み、表示を確認する。
「不参加…。良かったです。出陣及び待機の表示の者は川の向こうに向かうことになります。田中さんは、自宅待機で結構です。」
階下から真野の、あと五分〜というのんびりした声が聞こえる。
「外の状況は、テレビで映像が流されるので、気になるようでしたら見てみてください。あと…」
「うん?」
「私も姉も、帰れる保障はありません…。戻らなかったら、自分で生きる覚悟を、お願いします」
僕の目を見てはっきりと告げると、フードさんは踵を返した。
その強い背中に、なんと声をかければよいのかわからず、僕はただ、ドアが閉ざされるのを眺めることしかできなかった。




