〈7〉
用があるという和沙さんとは店の前で別れ、僕は、真野に街を案内されることになった。
八百屋さんやお花屋さん、美味しい匂いのするパン屋さん。真野お勧めの和菓子屋さんでは、みたらし団子を数本買った。
「ここから先は住宅街だから、お友達でも出来たら案内してもらいなよ」
「うん。あ、そういえば、ここでは移動手段ってなにがあるの?」
昨日フードさんが颯爽とバイクで現れた以外、自動車や電車などは目にしていない。
「普段使われてるのは、主に自転車。鍛錬を兼ねて常に徒歩な子も多いかな。あとは、バイクもちょっといる。」
「真野は徒歩派なの?」
「う……」
恥ずかしそうに俯きながらぽつりと真野は呟いた。
「自転車、乗れないんだ…。」
あまりの衝撃に、僕もあんまし乗れないよ!などとよくわからないフォローをしてしまった。
「あと、任務とか緊急招集で外にに向かう時だけ、バスとか小型ヘリとか運行されるよ」
「外…?」
気づくと目の前に緑の目立つ土手があった。コンクリートの階段がついていて、それをさくさくと真野は登る。
「ほら、あれで上に行くんだよ、さとし」
いつもより少し乾いた雰囲気の真野の声に、ようやく土手を登り終えた僕は思わず息を呑んだ。
眼下に広がる煌く大きな川や、その奥に広がる白で統一された大小様々な建物の更に奥、
「なんだ……これ…?」
天には無数の管が真っ直ぐに伸びていた。
「やっぱりこれも知らないのか…。さとしは本当に…」
言いかけてやめた真野は、すぐにいつもの笑みを浮かべる。
「何か質問とかあったら答えるけど」
「上って…?」
「本来人間が暮らしていた場所だよ。ここはその地下にあるの。当時の先端技術のなせる技だね」
「人は、何と戦っているの?」
「うーん、なんだろう…」
どこか遠くを見つめるように、彼女は言った。
「カミサマとでも言っておこうか」
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先人たちは非常に高度な技術を持っていたらしい。生活を豊かにするため、戦争に勝つため、はたまた飽くなき探究心からか、そんな理由で彼らは多くのものを作り出した。
その中で、カミサマは生まれた。またの名を、マガイモノ、偽神、負の産物。
それらは後に人の手に負えないものとなり、人類は滅亡へと誘われる事になる。
そして今、その時から300年の月日が流れたが、人類は未だに消えぬ偽の神と、激闘の日々を過ごしている。
これが真野が僕に話してくれたことだ。




