〈6〉
「う、薄い緑!!!」
「お〜、すごいじゃん」
明かりのもとに出てみると、見事に腕章に変化が生じていた。霞がかかったような緑色だ。
「淡色シリーズでも寒色のが強いっていうルール、変わんないからね。案外センスあるんじゃない?」
それにしても、武器は指輪である。どう戦えと言うんだ。つけて殴るとちょっと痛いよ、ということだろうか。
「真野の武器って改造とかしてあるの?」
最初からそれだったら、僕は運の悪さを嘆きたい。
「うーうん、違う。これは貰い物。」
懐かしそうな顔で、どこからか出した小太刀サイズの真野ソードを眺めると、まっきーくんへの連絡を済ませてしまおうと、真野は歩き出す。
最初の武器についても秘密だろうか、と後ろを歩き出そうとすると、突然立ち止まった真野が呟いた。
「私の最初の武器、ヴァイオリンだった」
そう言うとスタスタ歩いて行ってしまった真野を、僕は慌てて追いかけた。
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その後、まっきーくんに指輪を見せると、かっけーっすね。俺のと交換しねえっすか、と羨ましがられ、登録を終わらせ役所を後にした後、約束通りに洋服屋さんに向かった。
そこで僕は採寸やデザインなどを軽く店員さんと話をしていたが、その際真野は、何故か野球帽と、運動部が履いていそうな光沢のあるズボンを購入していた。
気づくとお昼ごはんに調度いい時間になっていたので、近くのお蕎麦屋さんに入った。
心配していたのだが、こちらの料理に特に変わったところは無いようだ。
「おいしい?」
「うん。とってもおいしい」
和やかに話していると、荒々しく店の引き戸が開けられた。
「ま…!!?」
紙袋を抱えた長身の緑髪の男が目を見開いた。
「おお、わさびくん。ご苦労様です」
わさび君と呼ばれたその人は舌打ちすると、何やらブツブツ呟きこちらへ向かってきた。僕を見ると顔を顰める。
「おめえが…」
「こらこら、睨まない睨まない。さとし怖がっちゃうでしょ」
真野が宥め、持っているものを渡すよう催促する。
「あ、こちらわさびくん。ケーキ屋さんで、技術系高校の3年生。学園の資料をたくさん持ってきてもらいました。」
人を使うんじゃねえよと、真野を小突こうとするもさらりと避けられるわさびさん。
「あ、さとしといいます。ご迷惑おかけしてすみません」
「いや、悪いのは真野だ。気にすんな。俺は和沙だ。よろしく頼む」
顔に似合わず礼儀正しくて、驚いてしまった。申し訳ない。
「あ、わさびくんご飯食べた?奢るよ」
「お前に奢られてたまるか。自分で払うわボケ」
そっかー、と呟き先程の紙袋をがさがさ漁り、机の上に資料を広げていく真野。
「選んでって言われても困るだろうけど、この中から好きなの選んでもらうことになるから。」
色とりどりの学園案内は、ざっと数十個あった。
「まあ有力なのは最大級の中央光陰か、穏やかな松原か…お。わさびくんの相良技術発見!」
「うるせえな。こいつ、物作るのとかできんのかよ…」
呆れたように言う和沙さんだったが…
「陶芸は…!?!?陶芸はできるんですか!!!!??」
「トウゲイ…?なんだそりゃ?」
またもや陶芸の認知度の低さに落ち込んだその時、
「うちは感性を自由に具現化するがモットーの工芸科なんてのもあるが、うまく企画案出しゃあ設備くらい整えてもらえんぜ?」
「ハッファァァ!!!なんでもします!僕を入学させてください!!!!」
身を乗り出し叫びだした僕にどん引きしたような和沙さんだったが、明後日学校に連れて行ってもらえることになった。
おー、よかったよかった。無事決まったね~と、真野はお茶を啜っていた。




