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陶芸部の日常  作者: もち
新生活
12/33

〈5〉



真野に続き黒塗りのエレベーターに乗る。

エレベーターはあるんだな。見慣れたものを見つけると、少し安心する。


僕らを乗せたエレベーターはものの数秒でポーンという音を鳴らし停止した。


ドアが開いた先は薄暗く、ポツポツと設置された蠟燭の光に照らされて、剥き出しの岩肌が見えた。どことなく、以前訪れたことのある鍾乳洞に似ている。



「足元、滑るから気をつけてね。左右に手すりあるから怖かったら掴んで」


真野はいつの間にか、何処から手に入れたのか、蝋燭の取り付けられた銀色の燭台を手にして、慣れた足取りで先を行く。


僕は頼もしいその背中を見つめながら、がっつりと手すりに掴まりながら歩いた。



ここ、段差あるから。天井低くなるから頭気をつけて。といった真野の指示に従いながら歩くこと15分ほどだろうか。目の前の壁に黒いカーテンが引かれているのがぼんやり見えた。真野がぺらりとそれをめくり、僕に中を見せると、そこには人ひとり通れるほどの、壁を繰り抜いたような穴があった。真野が明かりで穴の上を照らすと『武器課』の薄汚れたプレートが。



「ここから先は、一人ずつしか入れない決まりなんだ。ここで待ってるから、行っておいで」


「……安全、だよね?」


「大丈夫だよ」


暗さで真野の表情はわからなかったが、またくすりと笑われた気がした。


「じゃあ、行ってきます…」


僕はカーテンに手をかけ、ゆっくりと穴をくぐった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━



穴をくぐり、細い道を抜けると、広い空間に出た。


「すごい…。」



その部屋の壁一面に、青白い光が満ちていた。まるで夜空の星の中に足を踏み入れたようだ。思わず感嘆したが、部屋の中央の異様なものに目を奪われる。


「ようこそいらっしゃいました。救世主よ…」


はっと顔を上げると、いつからそこにいたのか、部屋の一番奥に少女が佇んでいた。暗闇の中に煌めく修道女のような真っ白な衣装が目を惹いた。



「あ、えっと…武器を…」


「分かっています。言葉はいりません。貴方には今、審判が下されるのです…。」



え、審判?真野、安全だって言ったよね?大丈夫だよね…。



「さあ、今こそ!この祝福の蹲に手を差し入れ、己の運命を掴むのです…!!」



何を言っているのかはよく分からないが、とりあえず、この異様な井戸のようなものに手を入れなくてはならないらしい。覗きこんでも底が見えるはずもなく、ただただ恐怖しか沸かない。



「…くっ」



井戸の縁を右手で掴みゆっくりと左手を差し入れていく。5センチ…10センチ…。その時、突然奥からなにか強く引っ張られるような感覚があった。



「うわぁぁぁ」


慌てて手を引き抜き尻餅をつくと、少女が、そばによってきた。


「……ひゃっ!冷たっ!!」


何か液体を顔面にかけられると草のようなもので頭を叩かれた。



「どうか…貴女に幸多からんことを…。」


続いて祈るように両手を合わせた。


「御武運を…」


あれ、そういえば武器を貰っていない。どういうことだろう。


よくわからないが、もう出て行けという雰囲気があったので、僕はすごすごと退出した。


━━━━━━━━━━━━━━━━━



「お。おつかれ。どうだった?」


「武器、貰えなかったよ…?」


真野は、きょとんとすると、僕の全身を見渡した。そして、にんまりと笑う。


「これじゃない。」


僕の左手をとった真野は、その手を目の前に引っ張った。



「え…?」



その人差し指には、真っ黒い指輪が我が物顔ではめられていた。


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