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寝て起きたらド深夜だったので世界滅亡させちゃいます?  作者: HIRO


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3/5

転校生はだいたいテコ入れ?

六月某日、午前六時十二分。


東京湾上空に、巨大な“目”が出現していた。


比喩ではない。


雲の切れ間に、本当に目玉みたいなものが浮かんでいた。


ニュースでは専門家が必死に説明している。


『これは大気光学現象の一種で――』


『観測史上前例がなく――』


『現在、防衛省および――』


俺はテレビを消した。


「……今度はなんだよ」


嫌な予感しかしない。


こういう時、原因は大抵ひとつしかない。



「眠い」


やっぱりお前か。


教室に入るなり、天羽ねむりは机に突っ伏した。


「昨日三時までゲームしてた」


「世界滅ぼす前に生活習慣見直せ」


「やだ」


即答だった。


その瞬間、窓の外で雷鳴が鳴る。


条件反射で俺は謝った。


「すいません、ガチすいません!」


「最近真尋、謝るの早くなったよね」


「誰のせいだと思ってんだ」


クラスメイト達は「また雷だー」くらいの反応しかしていない。


本当怖い。


人類の適応速度が怖い。


担任教師が教室に入ってくる。


しかし顔色が妙だった。


「えー……ホームルームの前に連絡事項があるのですよ!」


教室が静かになる。


「本日、転校生が来ますのです!」


ざわつく教室。


「え、みいちゃん女!?」

「みいちゃん!イケメン??!」


世界滅亡の危機に瀕してるとはいえ、うちのクラスメイト達はタフ過ぎる。


「ふふふ、転校生は女の子なのです!それも……とびっきり美人さんなんですよ!」


「「「「「うおおっしゃああああ!!!!」」」」」

馬鹿な男子達が一斉に雄叫びをあげる。

勿論、俺もその馬鹿な男子の一人だ。

するとねむりが俺を見てため息をつく。


本当すいません、本能なんです。



「さ、あまりホームルームを長引かせるとみいちゃん怒られてしまうので、どうぞ!入ってきてくださいなのです!」


ガラッ。


教室の扉が開いた。


入ってきたのは、長身のイケメンだった。


「きゃー!!!!」

「え、かっこいー!!」

「イケメン過ぎ!!!」

女子の大歓声。

そして男子達はテンションがお通夜だ。

みいちゃんの嘘つき…!!


ショートカットの黒髪に余裕そうな笑み。

美人と言うより、王子様と言った感じの風貌。

だけど俺はそんな彼女?の見た目よりも触れたものを切りつけるような冷たい雰囲気に圧倒された。



「やあ、今日から1年2組に転校してきた月城玲奈です。私は王子様の様にカッコイイけどこれでも女なんだ。素敵な殿方との出会いを楽しみにしているよ」


すると俺は彼女と目が合った気がした。


教室が静まり返る。


そんな中、ねむりだけがぼそっと呟いた。


「美人だ」


お前ほんと緊張感ないな。



「じゃあ月城さん、席は後ろのー」

彼女はみいちゃんが言い終わる前に教室後方の俺の席の隣に移動した。


「よろしくね、真尋くん」


「え、ああ…うん?よろしく月城さん?」


「玲奈でいいよ」


月城――いや、玲奈はそう言って、にこりと笑った。


その笑顔だけ見れば爽やかな王子様そのものだった。


だが。


近い。


距離が近い。


というかなんで俺の名前知ってるんだ。


「……えっと、どこかで会ったっけ?」


「ううん、今回は初めて」


「??じゃあなんで――」


「好きだから」


「は?」


俺が首を傾げると、玲奈は意味深に肩をすくめた。


「一目惚れしたんだよ、私と付き合ってくれないか?」


その瞬間。


ガタン。


前の席で寝ていたはずのねむりが、ゆっくり顔を上げた。


教室の空気が変わる。


さっきまで眠たげだった瞳が、今は妙に鋭かった


「断る」


俺は反射で即答した。


なぜなら。


今この状況で変な返事をしたら死ぬ。


物理的に。


「へえ」


玲奈は面白そうに目を細めた。


「普通、もう少し悩まない?」


「命が惜しい」


「誰に殺されるのかな?」


「主に前の席のやつに」


恐る恐る視線を向ける。


ねむりは無言だった。


無言なのに怖い。


なんか周囲の空気だけ圧縮されてません?


クラスメイト達も異変に気づいたのか、ざわざわし始める。


「なんか寒くね?」

「エアコンついてたっけ?」

「窓閉まってるよな?」


いや寒いどころじゃない。


教室の壁に霜が出来てる。


六月だぞ。


「君は天羽さんだよね?」


玲奈が、楽しそうにねむりを見る。


「君、そんな顔もするんだね」


「……別に」


「嫉妬してるなんて可愛らしいじゃないか」


ピシッ。


ねむりの机にヒビが入った。


「待て待て待て待て!!」


俺は慌てて机を押さえる。


「机壊すな! あと嫉妬ってなんだよ!」


「なるほど、真尋くんは今回も鈍感なのかな?」


玲奈が首を傾げる。


ねむりは数秒黙り込み

やがて、そっぽを向いた。


「な、なあ、ねむり怒ってるか?」


「……知らない」


ああ、これ完全に怒ってる奴ですわ。


「怒ってない」


まるで俺の心を読むかのように言葉を発するねむり。

ゴロゴロゴロゴロ。


窓の外で雷雲が渦を巻き始めた。



すると玲奈がくすっと笑う。


「なるほど。やはり君が“鍵”か」


「鍵?」


俺が聞き返した瞬間。


「いや、何でもないよ。」

すると玲奈は、すっと俺の耳元に顔を寄せた。

微かに甘い匂いがする。


「単刀直入に言うよ」


彼女は囁く。


「このままだと三年後、世界は終わる」


俺は固まった。


「え、どういう……」


「さ、1限目は体育だ。私は着替えてくるよ。ほら、天羽さん更衣室まで案内しておくれ?」

玲奈の視線が、ねむりへ向く。


「わかった…」


ねむりは不機嫌そうだが、玲奈を更衣室まで案内する為に立ち上がる。


教室を出る直前。

ねむりがちら、と俺を見た。

「……浮気したら殺す」


「してねえよ!?」


「予定も含む」


「未来予知で罪を増やすな」


玲奈はそんなやり取りを見て、楽しそうに笑っていた。

「ふふ、本当に仲がいいね君達は」


「どこがだよ……」

バタン。


二人が教室を出ていく。

俺の頭には三年後世界が滅びると言う言葉が反芻していた。


一体何者なんだ??

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