表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君に送るワルツ  作者: 青木星
32/34

28話天才は懐けるのが上手いらしい

過去に囚われ続ける私に

手を差し伸べてくれた人がいた。


最初は彼が憎かった。

どうして君を傷つけたのに

許してくれるのかって。


だから記憶をもとに戻してあげた。


私の好きだった人と仲良くしていた2年間を。


これで彼は私を許さなくなるに決まっている。


これは私自身が決心したことだ。


それなのに何故、私は泣いているのだろう。


悔しいから?

憎いから?

それとも悲しいから?


いいや違うんだ。


どうしようもなく彼が真っ直ぐで

無垢で私は

背丈が伸びていつのまにかかっこよくなった

前田春馬をひさしぶりに見た時に、

最初は彼が私の憎かった人とは思わなかった。


ただ純粋に彼が気になったのだ。


あの頃の過去がなければ私は彼と

もっと距離を詰めていただろう。


そんなないものねだりを私は夜な夜なよくした。


そんな彼は記憶を取り戻し、私は息を吐く。

とても冷たい息を。


私は聞いた。


彼は答えた。


許すと。


私は怒った。


複雑な感情の波に呑まれた私を彼が救ってくれた。


彼の胸の中はとても暖かかった。


私の身体は次第に暖かい何かに包まれた。


どこか落ち着いて、優しみのある温もりが

彼から伝わる。


私は嬉しかった。


許されたんだと。


私は安堵した。


私の足についていた足枷が片方取れた気がしたから。


私は好きになってしまったかもしれない。


お母さんみたいな包容力のある君に。


私のほおを通り、唇にかすった涙を舐めた。


…、やっぱり酸っぱいや。


それでも、私の涙はどこか暖かかった。


だから、瀬奈、亜美。

 

秋良に私の思いを伝えて全てが終わったらさ。


彼を奪いに行くからね。


私は独占欲の高い人間だから。




俺は、柚の家で宿題を済ませた頃には

1日が終わっていた。


1日の始まりに起きている俺は

せめてもの感謝として、

食器を洗いに行く。


柚は俺の勉強を途中まで興味ありげに見ていたが

途中から寝落ちしてしまって今に至る。


食器を洗い終わった後、

俺は食卓で寝るのは身体に悪いと思い、

彼女をソファーにシンデレラ抱っこをして運ぶ。


そして、毛布が無いので寝室に探しに行く。


女子の部屋の寝室を覗くのはNGだと

瀬奈から注意されたが今は仕方ないだろう。


柚に風邪をひかれても困る。


寝室に入った俺は適当に

毛布らしきものを見繕い、

彼女に被せてあげようとしたが、

なんなら柚をベットに運んだ方が早いことに気づいた

俺は柚を再びシンデレラ抱っこをして

寝室に運ぶ。


普通に歩くと、柚の頭と足が廊下に入らないので

カニさん歩きで俺は寝室まで柚を運ぶ。


寝室につき、俺は柚をベットに

おろそうとした時、

柚に強引にグッとベットに引き込まれる。


完全に身体が密着し、

急なことに俺は驚きすかさず離れようとしたが

柚がそれを阻止する。


彼女の生々しい胸の感触が俺の顔にする。


真っ暗闇の寝室で

柚は、


「今日はありがとう、私の神サマ。」


柔らかい唇が俺のおでこにあたる。


俺は瀬奈に恋という感情の針が傾いていたが、

柚によってその傾きが180度だったのが150度に

なり、少し瀬奈から針が離れる感じがした。


暫く、俺は柚の柚を堪能した後

流石に寝たかなと思ったタイミングで

寝室を後にする。


俺は自分の荷物を持って自分の部屋に戻った。



ドアが開く音がする。


もういっちゃったんだ。


まだここにいて欲しかったのに…。


瀬奈は枕に顔を埋まらせ、ムーーん、と叫んだ。


それからさっきの発言を思い出して赤面する。


どうしようもなく心がモヤモヤするこの気持ちが

かつての過去に囚われていた気持ちを払拭する様に、

私の冷たかった灰色の心は

ゆずらしく暖かみのある黄色に染まっていった。


私は枕の中でムフフと笑う。


今日はいっぱい笑えたな。


久しぶりだな。


心から笑えたのは。




俺は柚が2階だったこともあり、

すんなりと自分の部屋に帰った。


今日の空には満天の星々が煌びやかに光り、

俺の疲れを癒してくれた。


俺は、風呂に入った後スマホを見る。


メールや不在着信がかなり溜まっていたのでみる。


大半が瀬奈だったが、

二通秋良からのメールが届いていた。


瀬奈には明日謝んないとなと

思い、謝罪のメールを入れた。


その後、秋良のメールを見てみると

俺は思わず息を呑み込んでしまう。


あの扱いが大変なオルガと

仲良く写真を撮って送ってきていたのだ。


その写真のついでとは言わんばかりに


  春、俺は今青春の1ページをオルガたんと

   過ごしているよ。

   逃げたことは見逃そう。いやむしろ感謝。

          17時32分ー       」


えぇ!


謎にオルガたんと呼ぶようになったのかは分からないが

地雷を回避しただけで

さすがは〝天才〟秋良だと俺は感心する。  


俺はきたメールを返したところで就寝した。


朝になり、今日はスマホをバックにしっかり入れ、

早めに家を出る。


ピーンポーン。


そう。向かった先は瀬奈の家だ。


ガタンと扉を開き、会うたびに段々と

短くなっていくようなスカートをひらりと

広げて扉を閉め、鍵をする。


「いうことは?」


「昨日はすみませんでした。」


瀬奈がプンスカしながら俺のほっぺを

ツンツンしてくる。


「もうっ!一昨日の荷物とかまだ春馬の部屋にあるから

 取りに行きたかったのに!

 後、昨日も泊まろうかなって思ってたのにっ!」


「ごめんね本当に。」


「許さないもん、プン、」


「今日一緒に昼食べよ?

 謝罪として奢るからさ?ね?」


そう俺は考えた末の結論を瀬奈に言う。


すると口の中に溜まっていただろう空気を

放出し、ほっぺが次第に膨らみを無くしていく。


「やった!今のちゃんと守ってね!」


どうやら瀬奈はこれをさせるのが目的だったのかもしれない。


満足げな顔をして、ふんふん!と

兵隊さんのように行進して歩く。


そんな瀬奈がそれはとてもとても微笑ましかった。


ノリノリの瀬名と一緒に学園に向かう。


学園に入り、お互いの教室に行く。


秋良が既に教室にいて、今日は

隣が空いていたので俺はささっとその席を

確保する。


「おはよう春。」


「ああ。」


廊下から見た時は、秋良の奥の方の隣に

誰かいると思ったがどうやらオルガだったようだ。


オルガは秋良にみっちりと密着していた。


めっちゃ懐いてるやん。


そんなオルガをよく思わないといった視線が

後ろからする。


たまに秋良といる時を見る雪白日女ゆきじろひめか

だ。


彼女の容姿は、特段として美しく

白く透き通る肌に整った顔立ちからか

他のクラスの男子からも人気だとか。


そんな彼女に嫉妬?してもらえてる

秋良はさすがだなと思う。


時間が経ち、昨日秋良に沈められ消えていった

カルミアと進之介も教室に入って気まずそうに俺を見る。


いや、俺は悪く無いよ?


ケイン先生が来て、朝のHRホームルームが始まる。

その後午前中の授業が終わり、

食堂に向かう。


食堂に向かう際、柚が俺についてきた。

瀬奈と揉める未来は容易に想像できたが、

俺がどう説得しても柚は

一緒に食べたいと譲らなかったので仕方なく

一緒に食堂に行くことに。


食堂に向かうと、既に瀬奈が

席を取っておいてくれたみたいだ。


どうやら4人席のところを瀬奈はチョイスしたので

柚も座われることに安心する。


俺が座ったと同時に瀬奈が柚に話しかける。


ここから、歯止めが効かなくなる

瀬奈と柚の笑顔の話し合いが始まるのであった。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ