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君に送るワルツ  作者: 青木星
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22話水溜りスプラッシュ

深夜に投稿していくスタイル。



僕たちは朝食を済ませた後、

瀬奈はベットのある部屋で。

僕はリビングで制服に着替えた。


夜に洗濯機に入れた運動着を手に取り、

適当な袋に畳んで詰める。


洗濯物の畳み方は、貧民街にあるクリーニング屋で

バイトさせてもらった時に学んでいるので

人に見られても恥ずかしくないレベルであるはずだ。


着替え終わった僕は部屋着を洗濯かごに入れる。

そうしてコンコン、とローファーを履き運動靴の入った袋を手に持つ。


「瀬奈ー、まだー?」


「もうちょっと待ってー」


瀬奈はそういい、待つ事10分。


「お待たせー春くん」


瀬奈はショッピングモールで買ったであろう

カーディガンを着てハイソックスを履きながら歩いてきた。


だから案の定、


「うわぁ!」


ボン。


盛大に滑って後ろに尻をつく形で転び

スカートの中が完全に見えている。


「瀬奈は白色が好きなんだね」


「この、バカ!」


テンプレのような

ラッキーハプニングに僕は喜ぶ。


瀬奈が持っていたバックを僕に投げつけられ、

見事に顔にクリティカルヒットしてしまう。


「イッタァイ」


「あ、ごめんね?」


まぁ瀬奈だから許しちゃう。テヘヘ。


かくして僕たちは

少し暖かい空気の中をトコトコと

二人で同じリズムを刻み学校まで歩くのだった。


歩いている道中に水溜りが日を反射して煌びやかになっているのがみれる。


昨日の豪雨は闘技場だけではなかったのだと

僕は思った。


そんな水溜りを普通ならば避けるのが吉だが、


ばしゅん、ばしゅん。


水溜りがあるところに両足で飛び込み、

なお転々としている見るからに頭のおかしな人がいた。


瀬奈は、笑みを浮かべながらその女の子を見る。


「おはよう、みーちゃん」


瀬奈がそういうとその女の子がこちらを振り向き、

近づいてくる。


「あの子、瀬名の知り合い?」


「うん。同じクラスの相田雅あいだみやびちゃん。

私たちのクラスのムードメーカーみたいな人だよ。

淳くんと揃ってクラスを賑やかにしてくれるんだ。」


淳くんのようなムードメーカーか…。

たしかにちょっとみんなとはネジがズレている

天然キャラっぽい人だな。


「おっは、瀬奈っち。隣にいるボーイは?」


みーちゃんと呼ばれる女の子は、

赤髪にエメラルド色の目をしたいかにも不思議そうな人だ。だけど、どこか今までに感じたことのない

圧倒的な色気がある。


その色気を僕は言葉では説明できない。

だが、確実に彼女を好きになる人は多いいだろうと僕から見ても感じる。


「前田春馬です。瀬奈とは仲よくさせてもらってます」


僕は、まるで結婚相手の父親に挨拶するような

言葉遣いで喋る。


「ふふーん。さてはお二人さん、同居してるでしょ?

してなくても一夜を明かしたんじゃない?」


「し、してないよみーちゃん」


瀬奈がわかりやすく動揺していう。

おーい瀬奈さん、演技下手くそか。


「やっぱりしちゃってるのかー!

ほれほれ、お姉さんは皆には黙ってやるから

どんな一夜だったかいってみなされ!」


瀬奈に抱きついてきたみーちゃんが

うっとおしいと感じたのか瀬奈は引き剥がそうとする。


だが、その抵抗は無意味なほどにみーちゃんの力は強かった。


みーちゃんをよく見ると上半身はあまり濡れていないが、下半身がびっちゃりと濡れていた。


そりゃ瀬奈も嫌がるか…ハハハハ。


SOSを求める目つきで瀬奈は僕を見たので

助け舟を出す事に。


「まぁまぁ、みーちゃん?落ち着いてよ。

瀬奈は朝一緒にご飯を食べただけであって

一夜を明かしたりなんてしてないよ」


「うーむ」


みーちゃんは僕の顔を隅々まで観察する。


「まぁー見逃してあげるわ!

とりあいず私は遊んでいる途中だったし

瀬奈っちも学園で会おうね!

バイビー!」


パシャリ、パシャリ。


彼女はたまった水溜りを踏みながら

全力疾走で学園に向かった。


「不思議な人だったね、瀬奈」


「うん」


何故だか瀬奈を見るとプンプンと少し怒っている。


えぇ?なんで?


僕は戸惑いつつも瀬名のほっぺに溜まった空気を

プシューッと人差し指で押し出す。


「どうしたの?」


「なんでもないよ」


ぱんぱんのほっぺから空気を抜いたのに

再び空気がほっぺに溜まり始めている。


学園に着くまでの間、瀬奈は僕に

一言も喋ってはくれなかった。


だからなんで?


学園に着いた僕たちはそれぞれの教室に向かう。

じゃあねと手を振ったらふんっと無視されてしまった。


…はぁーっ。


Sクラスの教室にはすでに数人いた。

その中に進之介がいたので話しかける。


「昨日はごめんね。右腕大丈夫だった?」


すると呆れるように進之介は僕にいう。


「春馬はキザなのかい?

ただ正々堂々と戦ったんだ。謝ることはないよ。

あと右腕は治癒士でも再生できなかったんだ。

でも右手として違和感なく動かせる義手を創造したんだ。

これには結構気に入ってるよ」


「そんなぁ」


進之介の右手を見ると確かに鉄のような色をしていた。


「そんなに心配しなくていいよ春馬。

片手で済んだだけマシさ。

それに昨日この学園専属の治癒士が見てくれた時にいっていたんだ。


〝この王国には最高の治癒士と冠される人が3人いるわ。その中の一人が私なんだけど私の分野は体力回復。意識回復。生命力回復といった内部の治癒なのよ。だから外部の怪我はある程度は治せるけど四肢のいずれがなくなるといった大きな怪我は治癒できないんだ。

だから週に一回身体の外部の治癒を得意とする治癒士がこの学園に来るのよ。

その時に腕を治してもらいなさい。〟


とね。

だから明後日に来てくれる人に直してもらうつもりだよ。それまではこいつと生活していくさ。」


僕は改めて世界が残酷であったことを思い出す。


戦争だったら死んでしまう人が多数出るのだろう。


そんな強者のみが生き残る世界に僕は人間として生きている。


僕たちはそんな世界で生き残れるよう強くなるためにこの学園にいるのかもしれない。


楽しい学園生活がいつか嘘だったと思うような日が来る。


腕を失い、それでも前を向いている進之介が

僕にとっては秋良のように眩しく感じた。


僕の中で緩みに緩んでいた蛇口が少ししまるような感覚がした。


そんなことを思っていると秋良が教室に入ってきた。


「おはよう春、進之介」


僕と進之介はそれに返事をする。


秋良は進之介の右腕を気にしないで

教室に入ってきた先生を睨む。


キーンコーンカーンコーン、


「おはようお前ら!

今日は7日間戦った成績を元に順位をつけた紙をお前らに配るぜ!しばしカツモクするんだな!」


Sクラスの生徒は皆自分の順位が気になるのか、

もらった瞬間に紙を凝視する。


何やら喜んでいる生徒や落ち込んでいる生徒など

反応は皆バラバラだ。


ちなみに順位はこうだった。


一位 光千寺秋良

一位 田口龍

三位 コルティオ・シャークリッド

三位 カルミア・セレスティーぜ・アマテラス

五位 アスラ・バルト

六位 ジョン・ハス

七位 有賀進之介

八位 前田春馬

九位 斉野津義丸さいのつぎまる

十位 オルガ・タナトス・メアリジェーン

   

が今回の上位10人だ。


やっぱりといった感じで僕は秋良が一位である事に感心する。

だが、同率で一位となっている田口くんという男が僕は気になった。


また、僕が上位に食い込めている事に感動する。

だが、借り物の力であると思うとなんだか

ずるをした感じであまり嬉しいものではなかった。


進之介の順位は、カルミア様と同格、

あるいはそれ以上に食い込むはずだ。


進之介の能力は、このSクラスの中でも

突出した力であり、

使いこなせているのだから。










読んでいただきありがとうございます。

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これ超重要!

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