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君に送るワルツ  作者: 青木星
19/34

17話遠雷(後編)



海岸から離れて1時間ほど歩くと、灰色の煙に満ちた

街を見つけた。


その街ではもくもくと、いろんな場所から灰色の煙を出しておりこのままではこの街は人間が住めなくなってしまうと俺は感じた。


浄化系の能力アビリティを持っている人がいれば

これほどまでに煙に覆われることは無かっただろうが、

浄化系の能力を持つ者は、皆王都に集められているし希少なため今に至るのだろう。


広大な大地に灰色の煙に覆われた街。


俺はこの煙の色がこの国の国民の心の中を表しているように見えた。


俺は目的の地へ行くのに寄り道する時間はなかったのだが、既に時刻は21時を過ぎていて暗き空に星々が煌めいていたので宿を探そうと街に入った。


街の中心部らしいところまで歩いたのは良かったが、

誰一人としてすれち会わなかったので不安になる。


俺の地元は、夜も皆外でわいわいと酒を飲んでいたり、

踊っていたりと毎日祭りのようだったので

この街とのギャップに唖然とする。


たしかに、俺の地元も王の悪政により死亡者が続出すると新聞で見かけた時くらいからかつての活気は失われていったが、夜でも人は沢山外にいたのは覚えている。


俺はただぼぅっとしてても仕方がないので街で一番大きいであろう施設の扉をノックした。


「誰か、誰かいませんか!!」


大きな声で何度もノックをしたが、返事が返ってこない。


扉を開けようとすると鍵がかかっておらず、中に入れた。

ドアノブの金属が溶けて変形していたのに疑問に思ったが深くは考えなかった。


中に入った途端、焦げ臭い臭いがした。


ゲホッゲホッ、と咳をして中にはいる。


街を入って思っていたが、明るいところが何一つない。

暗くて何も見えなく、ただ今まで嗅いだことのない強烈な臭い二驚きつつ、歩いていると俺が今から入る大きな施設だけが少し明かりを灯していた。


この街には人がいないのではないかと思ったが、

とりあいず探索してみることにした。


俺が入った施設は、4階建であり、一通り回るのに1時間ほどかかった。


生活の後のようなものが少しあったので

誰かいるのかもしれないと思ったが探索して見つけ出すことができなかった。

この施設の2階に埃だらけでありつつもベッドがあったの

でそこで一夜明かす事にした。


ただ、心残りが俺の中で一つあった。


人がいないのに何故煙がもくもくと発生していたのか。


それを気にしつつも、俺は目を閉じた。


太陽がこの灰色の煙に覆われた地に相応しくないほど

眩しくのぼろうとする時間、

俺は、はらわたあたりに何か強い激痛を感じて飛び跳ねるように目を覚ました。


目の前には大剣が自分の腹に刺されていて、

俺の周囲には兵士らしき人が数人いた。


「いでぇぇぇぇ!!!!!!!!」


あまりの激痛に喉がはち切れるほどの声を出した。


生々しいほどに血が吹き出し、

埃っぽくとも白かったベッドは既に真紅に染め上げられようとしていた。


「隊長、こいつ刺しても刺しても死にません。」


兵士らしき人たちは兜を顔にしているので

すがおがわからないが、ニチャァ〜と悪い笑みを浮かべていることはなんとなく感じる。


この部屋の中で、肩に赤いマントをつけているのが一人しかいないのでそいつが隊長なんだろう。


兵士の話からして腹にはいくつか刺された跡があるのかと俺は痛みに耐えながらも思ったが、

どうやら服は破れているが傷跡は再生してなくなっているらしい。


だが、この大剣に刺されたまま再生していくので

大剣を腹から抜くときにまた激しい痛みが伴った。


腹から大剣を抜いた俺に周りの兵士たちは

俺に警戒し、驚きながらも手を出してこなかった。


すると隊長らしき人が俺に近づいて拍手をしてきた。


「いやぁ、ここまでの再生能力は見たことがない!

すごいぞ君!」


そういうと、俺の周りの兵士も隊長に従って拍手をした。


何故褒められているのかが分からなく、俺は混乱する。


「君、ここ近くの鉱山からの脱走者か?」


「鉱山?この街に山なんかないじゃないですか?」


俺は隊長らしき人に言う。

すると、


「だよな。君みたいなやつが鉱山に働かされるわけないし配属先は兵士だっただろう。

でも何故お前がここにいたのかが気になるな。」


何か観察するような目つきで隊長が俺を見る。

 

「あなたたちは誰ですか?」


俺がそういうと、

ハハッと隊長が笑い、真面目な顔つきになる。


「俺は帝国軍第三軍隊隊長のガンマだ。

そして廃墟予定地を巡回していた者だ。

この地にいる者は全員皆殺しにせよとの命令が出ている。というわけで俺たちは君を殺さなければならない。

だ、が、だ?」


周囲の兵士はニヤニヤしながら俺を見ていたが、


俺は例外だというような目で隊長はいう。


「どうにもさっきから何回刺しても君死なないんだよね。ほんと困るよ。

そこで提案があるんだ。君、兵士にならない?」


突然のことに驚いたのは、俺というよりも

周りの兵士たちだった。


「隊長!何処の馬の骨かわからないやつを

仲間にするなんて僕は納得できませんよ!」


「おい、この俺に逆らうとは生意気になったものだなお前たち」


そう隊長が言うと、兵士たちの身体が急に燃え出し

生々しい叫びと鼻が折れそうな臭いとともに

兵士たちは死に、この場には俺と隊長だけになった。


隊長は周囲に俺以外の人がいない事を確認して、

兜と鎧を外した。


声からして屈強な顔だちをしているのかと俺は思っていたが、兜を外しあらわとなった顔を見て俺は絶句する。


紅蓮の炎を連想させるような赤髪をした美しい女だった。


「はぁーっ、疲れたぁ。変身って変な汗かくなぁ。」


「あなたは、?」


先ほどまで、鎧だけでなく身体つきもがっしりとしていたのに鎧を外した瞬間に、身体が凝縮されるように

女の姿へとなった。


女は、微笑んで


「私の本当の名前は、アン・セレスディーゼよ。

君が10人のうちの一人だと私は君を見て確信した。

一緒に王を討ちましょう。」


俺は〝10人〟という言葉や、〝王を討つ〟という言葉が

彼女から出るとは思わなかったので驚く。


それと同時に憤慨する。


「その前に何故、帝国の兵士の隊長が

自分の兵士を殺したんだ?彼らを殺さなくてもよかったではないか!」


俺は、人を殺す場面を初めて目撃したので

悲しみ、怒り、恐怖、苦しみだったりという感情の波に呑まれていた。


そんな俺を見て彼女は俺の隣に座り、

彼女の太ももの上に顔を倒された。


彼女の太ももは、何かを失ったようにどこか冷たく、

少し乾燥していだが、

それでも柔らかくて僕の心を魔法のように温めて、

正気に戻してくれた。


それなら俺の髪を撫で、耳元で囁いた。


初めて会った人にここまでするか?

俺は初めての膝枕にドギマギしてしまう。


だが、そんな初めても無惨に死体と化している兵士たちを見ると青ざめてしまう。


「そこの兵士たちはね、いっぱい悪い事をしたの。

この街の皆を痛ぶったり、身体を貪り尽くしたり、

街の人たち同士で戦わせて勝った方を生かしてやる、

とか言いつつ勝った人も殺したりね。


そんな光景を泣きながら隠れて見ることしか出来なかった無力な私でも変身、という能力でこの残酷な兵士たちから私の友達、いつも挨拶してくれるおばさん、

優しい兄さん、他の人達を助けたいって思ったの。


最初は、せっかく見つからないで死なずに済んでいるからずっと彼らがいなくなるまで隠れてようって思ってたの。


でも、それから一週間くらい毎日叫び声や鳴き声、

血が吹き出す音を聞いてて我慢出来なくなったの。


…私だけ生き残るなんてずるいってね。」


最初は、平然と喋っていた彼女だが、次第に震え出し、

涙をポロポロ流しだした。


そんな彼女の哀しみが、俺のかつての痛哭に

リンクする。


彼女の哀しみを理解できる。

俺も同じような苦しみを味わっていたから。


俺は彼女の柔らかくとも震え、冷えている太ももから

顔を離し、座り直す。


そして、今度は俺が彼女の傷ついた心を少しでも守って温めようと思い、彼女の顔をを俺の太ももに引きつけて、頭を撫でる。


ヴィーナス様が俺の着ていた服をラベンダーのような匂いにしてくれたおかげで彼女は吸い付くように横に倒れ俺の太ももに顔を置いた。


そうすると、今まで溜めてきた苦しみを全て吐き出すように涙を流して、何を言っているのかわからないくらいくずれながらも喋った。


「わたしはね、兵士の中で一番偉いと見て思った人の姿に変身したの。

そして兵士達の元へと行こうとした時にね?

温かい声が脳に直接響いたの。


【最高神、ヴィーナスの名において

勇気ある君に祝福を贈ります。

この力が貴方の支えになりますように。

そして10人の選ばれし騎士のうちの一角を君が担い、

王都に向かい、王の悪政から国民を救い出してください。私の慈愛を君に。】


ってね。

そしたら身体からありえないほどの力が湧き上がってきたの。

そして怒りに呑まれていた私は無我夢中でこの街にいる人間を焼き尽くしたの。


そしたらね…、そしたらね…、グスン、」


「これ以上は言わなくていい。

苦しい思いをしたんだな。俺も同じような思いをしたからわかる。


……、、。


…だからさ、この不条理な今を作っている

王を撃とう、俺と君とこれから出会う8人で。」


こくん、と彼女は頷き暫く横になっているのであった。


太陽が空高くに位置した頃、

俺とアンは王都に向かった。


道中で一休みしていた時、みずみずしい空気に浅瀬のせせらぎのするところで不思議な男の子と出会った。


彼は、10人のうちの一人であり、

君達もその中の二人だよねと微笑み

俺たちと一緒に王都に向かった。


男の子は30分もしないうちに疲れたといい、

馬車を創り出して一緒に乗ろうと言った。


アンは絶句し、俺は最初から馬車創っとけよと

軽く愚痴をこぼした。


本来馬車は、平均時速12km/hで走ると俺は聞いた事があるが男の子が創り出したこの馬車は、

時速20km/hの速度で野原をかけていった。


馬車の中では、男の子はぐっすりと寝ていて

俺とアンは自分の友達や地元の話で盛り上がっていた。


アンはとにかく仲間想いが強く、

誰に対しても対等に向き合い、

誰からも好かれるんだろうなと俺は感じた。


そして、俺は幼馴染の2人との思い出について話すと

アンはクスクスと笑い、ロビンフはバカだねと

軽くバカにされた。

俺は乗り心地の良い馬車で二人で話した時間が

このまま永遠とわに続いてほしいなとその時思った。


そんな俺とアンの会話に男の子は、ぷんぷんと怒り出し、僕を仲間ハズレにしないでよ!と言った時は盛大に二人で笑った。

寝ていた人が何言っているんだってね。


そして、馬車の中で王を討ち取るのは明日の夜に決定した。


王都に着いた俺たちは、身分証と呼ばれるものが必要だと関門兵に阻まれたが、

男の子がなんの造作もなく俺たちの身分証を出して

王都には入る事ができた。


こいつ、身分証を創り出したな…。

とりあえず入れたので男の子に俺たちは感謝すると、

調子に乗ったのか元気よく馬車を降りていつもより確実に大きな歩幅で歩き出していった。


俺たちも馬車から降りた後、男の子は馬車を

収納したかのように消した。


俺たちは皆ヴィーナス様に王都に入って少し進んで右にある教会に行くように言われていたようなので

行くことに。


そこに行くと、教会の前で立っていた白服のハゲおっちゃんに貴方らの信ずる神はと聞かれたので

俺たちがヴィーナス様と言うと、おっちゃんは目の色を変えて俺たちを教会の中へと案内した。


入ってすぐに聖堂がありお祈りするところがあったが、

おっちゃんが何かぶつぶつと唱えてると

何やら地下に繋がる階段が出現した。


俺たちは、その階段を下ると、そこには、10個の席に

白服を着た人たちが何人か立っていた。


そしてすでにその席のうち、7席に人が座っていた。

どうやら俺たちが最後だったみたいだ。


俺たちは、白服の人に指定された席に座る。


俺の座る席だけ少し大きい気がした。


そして、ヴィーナス様に10人の中でまとめる役割を任されているのを思い出した俺は

リーダーシップを発揮する。


「待たせてすまない皆。

俺たちは、ヴィーナス様より力を授かった選ばれし10人の騎士である。

そしてヴィーナス様にこの中でリーダーを任された、

ロビンフだ。宜しく。」


皆、俺がリーダーとなるのは知っていたかのように頷く。


「明日の夜24時、日付の変わるタイミングで

王城に襲撃する予定だ。

何か質問はあるか?」


すると、背丈の高い女が手を挙げる。


「王城を守る兵士達は殺していいのかしら?」


「降伏した場合は絶対に殺すな。

あくまで俺たちに敵対するものと王を殺し、

国民を救うのが俺たちの役割だぜ。」


「わかったわ、フフフ」


魔性の女という名がふさわしいほどの容姿を持ち、

なお頭がおかしそうなのを俺は感じた。


「言いたい事は以上だ。

…、そうだ、自己紹介がまだだったな。

俺から時計回りにしよう。」


暫くして全員がし終えた後、白服のおっちゃん達が

俺たちを見て涙をする。


「あぁ、これでこの国の人々が救われる。」


俺はその言葉の重みを理解した。


「後は、俺たちに任せてください。」


俺は、白服の人達に向かってお辞儀をした。


思念伝達系の能力をヴィーナス様から授かった

眼鏡をかけた黒髪の青年が、この国の王も含め全ての人に王の首を取りこの国を悪政から救い出すと

革命の宣言を伝えた。


これにより、革命当日の王城の周りには、数万の兵が埋め尽くされた。


それに王のいる部屋には、4重の防御系のバリアが張られていた。


王は数人の美女と戯れていたが、

王の側近たちは、万が一を恐れ万全な準備をしていた。


革命当日の夜23時、俺たちは、2人ずつの能力の相性が良いペアを組みそれぞれの持ち場へ着く。


俺は、一緒に王都へ向かった男の子とペアを組み

王城正面で様子を見ていた。


王城の周りには全ての国民が出禁になっていて、数百人の兵士が常に巡回している。


男の子が、隠れ身のマントというものを創り出して、

俺たちは誰にも見つからずに王城正門の近くまでたどり着く事ができた。


出撃合図は、雷系の能力を授かった執事でいそうな60歳くらいの銀髪の紳士な男性が落雷を強烈に落としてくれるらしい。

俺たちはそれに従う形だ。


海岸から見て遠くにあった遠雷の雲も既に王都に近づき

雨を降らしている。


だが、龍化という能力を持つ頭の悪そうな女の子が

破壊の息吹を雲に向かって放つと、

雲は王都の上から散っていった。


それが合図でいいじゃん!と男の子はつぶやいていたが、俺も全く同じことを言おうとしていた。


雲が散っていった直後、王城の真上に術式が構築され、

強烈な落雷が

どっかダァン!!!!!

と王城を目掛け落ち、俺は、男の子を置いて一人で正門に向かい走る。


「侵入者だ!第一軍隊、速やかに討伐せよ!」


「うぉぉ!」


2対対1万、これを見たら勝ち目はない。


1万の軍勢に突進する俺は思ったが、

後ろから男の子が、


「勝手に行かないでよ、ってやっぱ人多いいな〜!

じゃあこっちも戦力を増やさないとね〜。

いっけードラゴンたち!」


そう、男の子は5対のドラゴンを創造クリエイトした。

それぞれが通常のドラゴン並の戦力である。


ドラゴンは、この国の兵士が5000人がかりでやっと一体倒せるというのに、5対もいるのだ。


これで実質25002対1万でこっちの有利となった。


しかし、まだまだ男の子は創造クリエイトし続ける。


「いっけーおっきくて強い巨人タイタンたち!」


全長25メートルの巨人たちが5対出現した。


巨人は、この国の兵士が1000人いて一体倒せると言われている。


つまり、実質30002対1万という事である。


そして、男の子は俺に分身という能力を創造してくれた直後、


「後は、頼んだよ、ぐっ!」


男の子は俺に頑張れサインを出して横に倒れた。

そんな彼を白服のおっちゃんが救出する。


「ここまでやってくれればもう勝ったも同然ですよ!

有賀太郎様!」


おっちゃんは涙を流しながら戦場と化したこの地を後にした。


俺はすかさず分身する。

分身できる数は、1度に100人らしい。


よって最終的には、


30002−1+100対1万


30101対1万である。


ドラゴンたちが無慈悲に兵士たちを焼いたり、

凍らせたり、食ったりしている。


あれ?これ俺いなくてもよくね?


この怪獣たちが暴れているのを見て、

俺は思った。


まぁ行くか!


俺は敵陣に向かって突進する。


めっちゃかっこよく突進できていると自分で思っていたら、


兵士から受けた風の斬撃のようなものに俺はスライスされ1キルされた。


そしてすぐに再生した俺は、再び先程の風の斬撃の力を吸収して突進する。


1時間後、


合計で500回くらいキルされた俺は自分でも驚くほどの力が身体から湧き出ていることに気づいた。


既に、ドラゴンや巨人達の活躍により

正門にいた兵士は全滅した。


ドラゴンや巨人たちは、それを見届けた後、

男の子の元へ戻るように消えていなくなった。


俺は正面から王のいるところまで

5分もしないうちにたどり着き、

美女たちと戯れているのを目撃する。


近くにいた側近を俺は怒りのまま殺し、

王に言う。


「今からお前を殺す。大義名分の元にな。」


王は美女たちから1度目を離し、俺を含む周囲を見渡す。


そして、側近が死んでいることに俺は怯えると思っていたが、王は自信満々という、


「ここまで来れたのは褒めてやろう下民よ!

だが、我が最強の配下であるベルディーゼが作ったこの4重のバリアを破壊するのは不可能だ、ハハハ!」


怒りで正気を失っていた俺は今まで吸収した力で

たんたんとバリアを破る。


ついに最後のバリアを破ったのに王と近くにいた美女は怯え、命乞いする。


「お、お願いダァ、命だけは助けてくれぇ、

そ、そうだ!お前が望むならこいつらもやる、

金もやる!だから!」


俺はその言葉が耳に入っていなかった。


ただ、このクズのために父が死んだこと、母が死んだことの怒りで無慈悲にこの場にいた全ての命を葬った。

…拳で。


王を討ち、俺は意識を失い倒れた。

気づけば朝になっていた。


「もう、大丈夫?」

アンをふくむ8人が俺を心配してくれていた。

「ああ、ありがとう。

これで…、だな!」


「うん!」


俺たちは、革命成功の喜びを噛み締めあっていた。


気づけば朝になっていた。


国民たちは、朗報を聞き、

歓喜して王城を取り囲んだ。


俺たち9人におっちゃんが王城に連れてきた回復した男の子を合わせて10人で正門にたち、

王の首を国民に見せた。


すると、国民は、皆喜びお互いに抱き合い、泣いた。


そして、この国は滅び、

新たな国、アマテラス王国が誕生した。


その日から数日たち、

俺は、幼馴染の二人の家に向かうことにした。


俺と幼馴染が住む地元の街は王都から馬車で

半日かかるが、男の子が創り出した馬車で3時間ほどで着いた。


俺は、精神的にも身体的にも強くなった姿を

あの二人、特に好きだった女の子に見てもらいたかったし、会いたかった。

ちなみにその女の子の名前はユイ・ローズマークだ。


だから、最初にその女の子の家に向かうことにした。


だが、女の子の家まで歩いていると、

ある男に出会う。


そう、幼馴染のカルタ・パングリッドだ。

やけに絶望したような顔つきをしていたので俺は声をかける事にした。


「久しぶりだな、カルタ。

どうしたんだ、そんな落ち込んで。」


すると俺の声に反応したカルタは俯きながらも話した。


「やぁ、ロビン。王の首をとったらしいね。

街のみんなは感謝していたよ。

あと、ね…。」


やけに深刻そうで絶望した顔をしたカルタは俺に言った。


「ユイが…、昨日、死んだんだ。」


俺は、手に持っていた花束を落とし、地面に膝を落として、絶望した。











絶望の後編、完

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