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君に送るワルツ  作者: 青木星
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16話遠雷(中編)

遅くなりました。



怒号のような雨に打たれながらも、

カルミアと先生は戦っていた。


雨の影響で炎が弱まり、カルミアが不利な状態であり、

先生の一方的な攻撃が続いていた。


普段のような身体から溢れる美しさは泥によって失われていく。

あのプライドの高いカルミアは、諦めずに反撃の糸口を探している。


だが、既に糸口は絶たれていた。


「おい、こんなもんか?」


チッ、


カルミアは、小さく舌打ちをする。


雨さえ、雨さえなんとかできれば打開策はあるのに…!


くそ!、なんで嵐なんか急にくるんだ?!


先生は、興が削がれたようにカルミアを見ていう。


「なぜお前は、自身の力が弱いことを認めないんだ?」


カルミアは〝弱い〟という言葉に過剰に反応する。


「違う!弱くなんかない!

ただ…!、天候が悪いせいで力が発揮できないだけだ!

先生だからといって私を侮辱するのは…、

え?」


ぱしんっ。


「戦場でそんな言い訳が通じると思うか?

言語もわからない種族がこの世にはわんさかいるが

そいつらに向かって命ごいするのは無駄なように

弱ければ蹂躙される。


そしてな、」


カルミアの目に見えない速度でカルミアの近くへ移動してビンタをし終えた後、今までに感じなかったほどの殺気をカルミアに向けられる。


「お前さんはちょいと人を見下している。

それが俺は気にいらねぇんだ、よ!」


ほっぺが次第に熱くなり、腫れていく。


そして、カルミアは激怒する。


「見下して何が悪い?

強き者には、弱者を見下ろす権利がある。

それに、私より努力もしておらず

能力でしか人を判断できないクズたちは

人間の劣等種だと思ってないが悪い!」


先生は、呆れたようにカルミアを見つめる。


「まぁいい、嫌でも〝いつか〟わかる日が来るさ。

それだからお前は兄貴にいつまでも勝てないんだ」


「兄様は関係ないだろう!!!」


カルミアの逆鱗を先生が買ってしまった。


カルミアは、今までに見たことのないような灼熱の炎を見にまとう。

カルミアの肌は、熱無効などの炎系防御を帯びている。


雨の勢いなぞ関係なしといったように、

逆らう敵を蹂躙するほどの炎を身に纏ったので

一瞬にして運動着は溶けてしまう。


そして、上手いこと炎で大事な部位は隠されているが

普段露出しないお腹や尻、ダイナマイト級の胸の谷間などが見え、男子陣は一斉に野獣へと変貌していく。


その中、先生だけはいたって冷静な目でカルミアを見つめる。


やっぱり、アイツに似ているな…。

短期なところもナイスバディなのも全てが…。




俺、ロビンフは、200年前ある女に惚れていた。


そいつはドジで、短期で、男っぽくて、カッコいい女だった。


俺とそいつと理想ばかりいつも口にする男は幼馴染であり、

毎日3人で遊んでいた。


だが、王の命令により鉱山に仕事へ向かっていた父が死んだという知らせが俺と母にきた。


優しくて俺のことを可愛がってくれた父がこの世にいなくなってしまった。


そのことで悲しみに打ちひしがれながらも母と一生懸命に仕事をしながら、生きた。


幼馴染の2人とは、この頃から会う機会が減って俺と二人の間に溝ができていった。


しかし、母は首を吊って先に逝ってしまった。

置き手紙を残して。


そこにはただ、


ーごめんね、ロビンー


両親を失った俺は、自分も死のう、

父と母のところへ行こうと思い

海に飛び込んだ。


最初はカサが膝までしかなかったが、

徐々に深くなり、全身すっぽり入る深さに到達し、

俺は安らかに眠りについた。


俺は、沈没した船のようにゆっくりとあぶくをたてながら目を閉じた。


数秒して目を開けると、ぼやけながらも

暗い闇の中に煌めく黄金の輝きを放っている物を見つける。


海に入ったのはいいが、思ったよりまだ苦しくはなかったので闇の奥底へ俺は泳いでいく。


沢山の青、シルバー、黄色の魚が俺を囲うように泳いでいて、神秘的な光景に感動した。


煌めきの元に向かうもいつまで経ってもそこには至らず、途中で俺はぶくぶくっと頑なに今まで閉じていた口を開き、この世界にお別れをした。


目が覚めると、あたり一帯白色のなんとも異質な空間に俺はいた。


ここは、天国なのかと俺は思った。


そして、俺の目の前に6対の翼を持つ神のような方が現れた。


その方のあまりの美しさに俺は、ここが天国の入り口なんだろうと確信する。


だが、それは違った。


その方からいわれたことは予想の斜め上を行くものだった。


「君の父と母は、もうどこにもいないよ。

既に記憶が消されて転生されているし。」


え?


意味がわからない。転生ってなんだ?


その方は、俺の心を見透かしたように微笑む。


「新しく生まれ変わったってことだよ。0から。」


俺は驚く。


じゃあ俺も今から記憶を消されて転生されてしまうのか。


いやだ…。いやだ、いやだ!


父と母に会えないで、

幼馴染の二人に別れの挨拶ができないで、

全てを終わりにしたくない。


だから、だから!


「助けてください」


「どうして?君自殺したんだよ?

尊い命を自分から葬ったんだよ?」


「それでも、生きたいんです」


「君は、〝もう〟死んだんだ。

だから、〝普通に〟生き帰らすことはできないよ。」


「そう、ですか…。」


俺は、悔いる。


どうして幼馴染の2人に別れの挨拶をしなかったのか。

どうせならもっとあいつらと一緒にバカしたかったな。


なんで父も母も俺を置いていなくなっちゃったんだろう。俺が悪いことでもしたのかな。


その方は、俺に慈愛の笑みを見せていった。


無料タダで生き返らせることはできません。

君の肉体は既に深海で魚の餌となって骨と化しているからね。

でも、私と契約という手段であれば

君の前の肉体を復元して生き返らせることができます。

パチパチパチパチ。

もちろん、私を裏切ったりしたら即死亡だよ。雷鳴にうたれてね。

それで、君はどうしたい?フフフ」


その方は、既に俺が選ぶ道を知っていたのだろう。


「契約します。」


その方は、俺がそういうと、おでこに手を当てて

何かを唱え始めた。


待つこと数分、


おでこにビリィーっと電流のようなものが走り、それが直接脳に、神経を通して全身に流れた。


ニコッと笑みをこぼしてその方はいう。


「契約は3つです!

一つは、君の国の王の悪政から国民を救うこと。

二つ目は、絶対に死ねないこと。

三つ目は、私の忠実な僕となって人間をやめること。


大変だと思うけど、頑張ってね、フフフ」


「人間を辞めたら何になるんですか?」


「安心して、君は人間から究極進化して半神になるんだ。普通の進化だと何になるかわからないし、

人間ぽい見た目じゃないのも困るよね。


だから私の権能で、半分神、半分人間の半神にしたんだ、フフフ。


それに、私の配下になるんだからちゃんと強くないと。

あと人間だと、もてる器が小さいし。


君が、空を飛びたいと念じれば、ニ対の白き翼が背中から現れるよ。最初は痛いと思うかもだけど、

慣れれば足で歩くように自然に扱えるようになるよ。」


俺は、安堵した。

これで生き返る姿がネズミとかだったらいきなり

ゲームオーバーだし。


「あ、あと君同様、強力な能力アビリティを授けた者が9人いるよ。

君は、その中でも一番恵まれているんだから

みんなをまとめてね?フフフ」


その方は、俺にキスマークを送り、ウインクをしてきた。

うう、眩しすぎる!

心も身体も弱かったこの頃の俺にとって、その方は、

手を出してはいけないほど美しく、2、3次元ほど違うのではないかと疑うほど超次元級の容姿だった。


特に胸元の破壊力がレベチすぎた。


「それじゃ、そろそろ旅立ちの時間だよ、フフフ。」


「あなたの名前は?」


俺は、聞いてはいけなかった気もしていたが、我慢出来ずに聞いてしまう。


すると、まるで子供を見るかのような母性を感じる眼で僕を優しく見つめて、


「私は、最高神の一人、〝慈愛〟のヴィーナスだよ、

フフフ。…じゃあ元気でね。

君が無事仲間と共に活躍したら、また会ってあげにいくね。」


そういい伝えると、

俺とヴィーナス様の間に次元の歪曲が発生し、

次第に俺は意識を失った。



目が覚めると、海岸の沖で大の字で俺は倒れていた。

身体を起こし、海から見える地平線をぼんやりと眺めていると、遠雷がこちらに近づいてくるのが見えた。


そして、俺は一度死んだことや、ヴィーナス様との契約を思い出す。


雷が危険なように今、俺の母国で命の危機に陥っている人が沢山いる。


早く仲間を探し出して、この国を王の悪政から救い出さなければならない。


そう思い立ち上がると、背中に潮風があたって優しく両親に〝いってらっしゃい〟といわれた気分になり、


歩きづらい砂浜を一歩一歩力を込めて 

別れの涙をこぼしながら歩いていった。









読んでいただきありがとうございました!


後編では、とあるところに仕込んだ伏線回収するつもりです。

ぜひお楽しみに。

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