12話ハリセン
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僕は瀬奈と一緒に寮に向かって歩く事数分、
寮に着いたのはいいのだが近くの自動販売機で
何やら揉め事が起こっていた。
「ぅざけんなよ!なんで俺が悪いんだよ!
最初にケチつけてきたのはあんたたちだろうがよ!」
「Eクラスのくせに調子乗んなよ底辺が!
お前のような奴はAクラスである俺たちに従って媚び売ってればいいんだよ!」
僕がみる限り、Aクラスの数人グループがEクラスだという人を貶めてはめているように見えた。
「そもそも俺はこいつのようなブスなんて興味ねぇんだよ!勘違いしてんじゃねーよ!」
「ブス!?私、胸を触られた上に名誉毀損されたんですけど、中村」
「可哀想だね亜衣。クク、お前に亜衣が痴漢されたって
先生に言っといてやるよ。ククク。
今日の所は撤収だ。いくぞお前たち」
中村という、このグループのリーダー格の人がまさに撤退しようと仕掛けた時、
「彼に冤罪をかけなおかつ内容も稚拙とはな。
どうやら君たちは救いようのない人達らしい」
そう鼻筋が美しく通った眼鏡をかけた男の声に中村たちが反応すると、
「あぁ?誰だお前?」
「僕かい、僕はただ今の一連のやりとりを見ていたただの傍観者さ。」
ハハッと中村率いるグループは揃って笑い出す。
「いかにもマジメそうな傍観者サンか、ククク。
今のを見なかったことにしたらお前に一万やるよ、
どうだ?ククク」
「たしかにこの学園では金である程度の事は解決出来るかもしれない。
でもね…。
君達のような低俗な人間からもらう金で食べるご飯はきっと貧相な味をしているのだろう。
要するに、見逃すわけにはいかないよ。」
「あぁ?テメェ、見逃してやろうと寛大な俺は思ってやったのにシラをきる気か。ククク。
Aクラスである俺たちにお前は喧嘩を売ったんだ。
覚えとけよ?ククク。いくぞお前ら。」
「ちょっと中村!あいつを潰すんじゃなかったの?」
「いや興醒めだ。そのかわりに、いたぶりがいのありそうな獲物が釣れたし満足だ、ククク。」
「私の胸ってそんなぽいぽい人に触らせるほど安くないんですけど?」
「俺の命令に逆らうのか?」
「う、ううん。やっぱなんでもない。」
中村たちのグループの声が次第に遠のいていく。
「たかがクラスで見栄を張るとは馬鹿馬鹿しい。
これでは低俗以下だな。」
僕は、この人を知っていると遠目から見て思ったが
声を聞いた瞬間に確信する。
「有賀くん、今の人たちに話しかけられるなんてすごいね。」
「いいや、大した事ないさ。
今さっき寮に着いたばかりだしね。
それに、嘘が嫌いなんだ僕は。
それよりも春馬くんの隣にいるのは?」
有賀くんが気になっていたので僕が紹介しようとすると
「私は、安土瀬奈です。
先程はどうもありがとうございました。」
そう瀬奈が微笑んだ瞬間、有賀くんは、しばらく心を掴まれたような顔つきになる。
わかる、わかるよその気持ち。
瀬奈は、先はどの一連の流れを見て怯えていたのが
手を通してわかっていたので、
ありがたいという気持ちが強い。
だがそれと反対に、先程有賀くんが言っていたことに少し怒ってしまう自分もいた。
「君に対しては何もしてないさ。」
「あ、あの!」
先程のEクラスのいかにもやんちゃそうな男が有賀に対して、口を開く。
「さっきはありがとうございました!
まじ困ってたんで感謝っす!
名前だけでも教えてください!」
有賀くんは、華麗に手を軽く振ってその場を後にした。
なんて、優雅で上品な対応だろうか。
待ってくださいよぉ〜!と男は有賀くんに向かって言うが、有賀くんは、すでに僕たちの見える場所にはいなく、能力を使ったのだろうと悟る。
有賀くんがいなくなってがっかりしていた男は、
何か閃いたような顔をして、僕に向かってくる。
「さっきの人の名前、わかりやすか?」
「有賀進之介くんだよ。」
こんなに軽々いっていいのか時になったが、
彼が喜んでくれるのであればいいと僕は思った。
すると白く光輝く歯を大胆に見せるように笑顔になり、
「有賀さん、進之介師匠、…兄貴……!
兄貴だ……!!!!」
彼は一人ぶつくさと何かを考えるような姿勢になり、
何か閃いたようだ。
「自分、山田竜二っていいます!
じゃあさようならっす!」
唐突に消え去ったな……。
と僕と瀬奈は呆然としていた。
「それにしてもすごかったね、あの人たち。」
「実力があるからこそ、ああいう行動をしただろうしね。」
暫く僕と瀬奈の間では沈黙の時が流れる。
本来なら僕から会話切り出す必要があったのだが、
あまりにも話題が思いつかなかったので瀬奈を頼ってしまった。
我ながら情けない…。
「ねぇ、春馬って寮の部屋どこなの?」
寮は、学園の敷地内に9つ存在する。
6つは2.3年生の寮であり、各学年ごとに校舎は分かれているので自然に寮も別れる。
僕たち1年生の寮は3つ。
3つはそれぞれA棟、B棟、C棟と呼ばれている。
A棟は、職員とS.Aクラスの生徒が使用する部屋であり、
B棟は、B.Cクラスの生徒が使用する部屋であり、
C棟は、D.Eクラスの生徒が使用する部屋である。
この中で、一番大きい寮は、C棟であるが、
一番部屋の環境が良いのはA棟である。
B棟は、どこをとっても、微妙らしい。
単純に、D.Eクラスは他のクラスに比べ、
能力や学力に劣れがかなりあるのでその分学園側が人数を通常より10人増やしている。
通常というのは、A.B.Cクラスの人数のことである。
また、Sクラスはその逆で人数が通常より10人少ない。
要するに、
Sクラスー40人
A.B.Cクラスー50人
D.Eクラスー60人
というわけだ。
そして、僕と瀬奈の寮は必然的に違うことになる。
「僕は、A棟の301号室だよ。瀬奈は?」
「私は、B棟の102号室だよ。
違う棟になっちゃったけど、春馬の部屋に遊びにいくね?フフフ」
願ってもない話で僕は興奮する。
「ぜひ来てね、ハハハハ」
そういうと、瀬奈は少し小悪魔な顔をして、
「無防備な私にあんなことやこんなことをしたいの?」
「ちっちがうよっ!」
「だって鼻の穴広がってるよ?フフフ」
「本当に違うって!」
「とは言いつつも?」
「ちょっとだけ卑猥な妄想をしてしまいました。
申し訳ございます。」
「えっへん、素直でよろしい。フフフフ」
僕は頭が上がらなかった。
でも仕方ないよね?
可愛い子と同じ部屋で二人きり。
50%を超える野獣となった男の子は、
本能的に、卑猥な方の妄想をしてしまうのだろう。
これも人間というプログラミングされた本能という
データの中に創造主がおふざけで組み込んだのが悪い。
悪いのだ!
やけくそになった僕は、瀬奈を見て、
「今日うちに来る?」
ばちぃーーーーーん!!!!!!!!
手のひらから僕のほっぺへ、ハリセンの如く響くビンタの音に比例するかのように僕は首が180度曲がっていきそうな勢いで打たれた。
一瞬のことに気がつかなかった僕のほっぺは、次第に打たれたことを理解して、赤く、ふっくらとはれていった。
「瀬奈さん、タイミング完璧でっせ。
このままうちらコンビ組んで芸人で、てっぺん狙えますよ?」
「まったく、春馬ったらしょうもない事考えて」
そういい、瀬奈はクスクスと笑う。
それにつられ、僕も笑う。
こうやってくだらない事で笑っている今しか訪れないこの瞬間を僕は楽しんでいた。
とりあいず、自分の寮に荷物を置いてから、先程、中村たちがいた自動販売機のところで折り合わせる約束をした。
僕と瀬奈は手を振って、お互いの部屋へと向かった。
僕は、部屋の玄関の鍵を開けて部屋に入る。
僕は、靴を飛び跳ねるように脱ぎ、廊下を
ローラースケートの如く舞いながらリビングへの扉まで到達し、開ける。
僕が元いた貧民街の家と比べてみましょう。
なんということでしょう!
ボッロボロで埃っぽかったあのリビングとは違い、
朝から腹一杯の日差しが当たるような大きな窓!
そして、ここは寮なのか?!
と錯覚してしまうこのシンプルモダンインテリア達!
床にはなんとインテリアにあった上質な灰色のタイルがきっちりと敷かれています!
なぁんということでしょう!!
あのボロ家にはなかった、風呂があるだと!!!!!
これにはおじさんも飲んでいた缶ビールから思わず吹いてしまうことでしょう!
はぁーっ、はぁーっ、疲れたぁー。
あまりの豪華さについはしゃいでしまった。
まるでスーパーで売られていた死にかけのえびが
水槽に入れると生き返るみたいに。
なぜだろう。無性にダンスを踊りたくなる。
僕は、一度だけ見たことのある、
とあるバレリーナを真似して気分良く踊る。
はぁー! と気持ちよく踊り終えた後、窓の外を見る。
すると、僕の今の踊りを見ていたのか、
3人組の女子に腹を抱えて笑われる。
…。
なんてこった…やんなこった…。
僕は豪華な部屋に浮かれていた気持ちから一変して
深く落ち込み、
肩を下げながら瀬奈と待ち合わせた自動販売機へ向かうのであった…。
兄貴ぃー




